<LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 最終日◇25日◇宮崎カントリークラブ・宮崎県(6471ヤード・パー72)>
金字塔を打ち立てた。国内女子ツアー初の同一年度公式戦3冠を達成した申ジエ(韓国)。「信じられない1日でした」と、激戦の19ホールを振り返った。
【写真】勝者の裏で… 鈴木愛はまさかの3パットで涙
最終組を回るジエとペ・ヒギョン(韓国)がトータル11アンダーで並び、プレーオフに突入。1ホール目でパーセーブに失敗したヒギョンに対し、難なくパーとしたジエに軍配が上がった。「メジャーでは震えを覚えます。最後はドキドキしながらやりました」というものの、貫禄の逆転勝ちだった。
ジエは14番のボギー(9アンダーに後退)で、鈴木愛(11アンダー)とはその時点で2打差がつき、「ジエは消えたか…」と観るもの誰もがそう思ってもおかしくなかった。しかし、解説の塩谷育代を含め、ジエの底力を間近で知るLPGAの重鎮たちは「集中した表情」と、ジエに注目。その読みは正しく、直後の15番から18番までが圧巻だった。
15番でバウンスバック、16番の171ヤードも硬いグリーンをものともせず、5Uで放った球は真上からピン奥1mにズドン。連続バーディを決め、わずか2ホールで首位に追いついた。17番のパー4はティショットを右へ。「ピンへは打てない」と誰もが思う中、深いラフから50°を振り抜き、松越えの右サイドのピンへまさかのベタピン(このホールはパー)。そして、最終ホールでもピン一直線の2打目を放った。
この間、全てのショットがピンまっしぐら。優勝会見ではその理由を明かした。「ゾーンに入っていました。ティグラウンドからピン以外は目に入らなかった」と話す。そして「毎年(ゾーンに入るのは)10回はあったけど、今年は6回目。でも、これだけ長い時間、周囲の景色が消えてコースで私だけがプレーしている感覚は初めて。集中力を保てた結果です」と、新たな境地を明かした。
諸説はあるが、“ゾーン”や“フロー状態”、つまり超・集中状態に入るためには、明確な目標を持ち、頭の中をクリアにし、気を散らすものを意識から締め出す必要があるという。ジエの今季3度のメジャー制覇は、獲りたい試合でその状態を作るセルフコントロールが上手くなった結果と言えるだろうか。
面白いことに、同じクラブ契約フリーでも、賞金女王になったアン・ソンジュ(韓国)は「クラブを替えることで気持ちまでが切り替えられる」と、プラスのモチベーションに変えるタイプ。逆に、今大会のジエは、前回優勝時からクラブは不変。信頼し、使い慣れたクラブを替える必要がないため、プレー中の余計な考えを排除できるとも言える。
もちろん、2人が高いテクニックを持つことは言うまでもない。だが、本当に見るべきことは、勝負に勝つために最も大切な「セルフマネジメントが卓越している点」ではないだろうか。日本人選手が彼女たちを越えるために、クラブだけでもどういうアプローチが必要なのか。ジエが、ソンジュとは異なる答えをくれたと捉えたい。(文・長岡幹朗)
【申ジエの優勝セッティング(WITB=What's in the Bag)】
1W:キャロウェイ ローグサブゼロ(9°スピーダーEVOLUTION4 569 / S / 44.75インチ)
3W:テーラーメイド M2ツアー(15°)
5W:ミズノ プロトタイプ(18°)
UT:キャロウェイ GBB EPIC(20,23°)
6I~PW:ミズノ ミズノプロ518
A,SW:キャロウェイ MD4(50,54,60°)
PT:オデッセイ ホワイトホット#4
BALL:タイトリスト Pro V1
以上、アルバニュース
ウッドはキャロウェイとテーラーメイドでアイアンはミズノですね。
また、ボールはタイトリストV1も長く使っています。V1はスピンがかかり過ぎるボールです。
得意のUTはキャロウェイのエピックを使ってますね。20°が気になります。