54のパラレルワールド

Photon's parallel world~光子の世界はパラレルだ。

タイムライン/マイクル・クライトン

2005年01月28日 | ハコ
この作品の中で主人公たちは中世へテレポートするのですが、このテレポートについて説明したいと思います。
おおまかにいうと、人間を量子コンピュータで解析してその情報を電子の列にして量子の泡から別の宇宙へ送り出す、というものです。
「別の宇宙」とは多世界解釈からくるもので、これは宇宙はたえず分岐していて僕たちが住んでいるこの宇宙が無数にある宇宙の中のひとつであるというものです。
なかには9.11同時多発テロ事件が起こらなかった宇宙があるかもしれないし、核戦争で地球が滅んでしまった宇宙があるかもしれません。そして進化のスピードが遅くて僕たちの宇宙でいう中世を現在として存在している宇宙があるかもしれない。
このテレポーテーションは過去に行くのではなく、別の宇宙の過去へ行くということなのです。
「量子の泡」とは量子のレベルでは無数の穴が存在していて、その穴が別の宇宙につながっているというもの。この穴から人間の情報を送って別の宇宙へ行く、と。

で、ここから釈然としないのは復元方法がわかっていないということ。
情報を送ったはいいが復元方法がない。小説では、われわれが復元方法を知らなくても、復元方法を知っているそっくり同じ宇宙から無事転送されるから問題ない、という説明で、納得できない。
帰還方法も、宇宙間での転送が行われると潜在的な(ばねが戻ろうとするような)エネルギーが生まれて簡単に戻れる、とこちらも納得できない説明。
しかしこれは、量子力学が広く実用化されているのに誰もそれを説明できないということとつながっているのかもしれない。アイディアがなくてこっちにつなげた、と。

ここからは僕の考えです。多世界解釈は受け入れがたいので、実用化するなら同じ宇宙間での転送だろう。電話ボックスのような装置に入って、行きたい場所(こちらもボックス)のアドレスを入力。
転送ボタンを押すと、一瞬で移動できる。一瞬というのが疑わしいかもしれないが
量子コンピュータなら可能らしい。これなら実現できそうな気がするがどうでしょう。