YUIMETALとMOAMETAL(+SU-METAL)の舞踊=「振り」とは、
ヘヴィ・メタルの「演」奏である。
このことを、『イジメ、ダメ、ゼッタイ』を具体的に分析しながら、確認していきたいと思う。ただし、僕は、音楽もダンスも残念ながら専門知識は持ち合わせていない(BABYMETALをより深く知るために、これからきちんと学ぼうとは思っているが)ので、あくまでも<素人の目・耳による気づきの提示>でしかないのだが。
『イジメ・ダメ・ゼッタイ』は、今まで何百回と聴き、映像も楽しんできた(だって、1日1回以上は視聴しているのだから)のだが、
改めてつぶさに検証してみると、曲も舞踊も、
実に精緻につくりあげられていることに気づき驚嘆している。
(バンドや振り真似などのコピーをされた方は、構成の妙には早くから気がついていたのだろうが、
単純に、曲を聴き、映像を観、では気づかない「仕掛け」がいろいろあることに、今回改めて気づいたのだ)
例えば、この曲の「振り」で僕がいちばん好きなのは、
「泣き顔はみたくない~」のところ、
SU-とMOAが(向かって)左へ、YUIが右へ、祈るように腕を伸ばすところだが、
(後述、パートⅤの15Kのおわり)
ここが感動的なのには、構成上の「仕掛け」があったことに、分析してみて気がついた。
また、この曲のなかでYUI・MOAは4回左右の位置を替えることで「X」を描くのだが、これも改めて「演」奏として見てみると、このサイド・チェンジは、単なる見栄えのよいダンスではなく、ふたりの交差という「振り」による、この曲のテーマの一つ「X」の体現でもあるのだ。(後で詳述したい)
この曲を、大きく六つのパーツに分けたうえで、
市販のバンド・スコア(株式会社フェアリー)の表記に従いつつ17の小パーツに分けてみる。(「赤い夜」「黒い夜」にはなかったが、「お立ち台アリ」がこの曲の「演」奏の基本形だと思うので、それを前提に分析をすすめる)。以下の区分をたたき台として、何回かに渡って、分析してみたい。
パートⅠ イントロ
01:Intro1 はじめから「ルルルー」の後のタメまで(16小節+αタメ)
02:Intro2 激しいリフ、SU-の「X」ポーズYOI・MOAクラウチング・スタンバイ(赤い夜ではYUIが「いくぞ~」と片手を突き出している)、「アー」でYUI・MOAの疾走→2度交差して中央へ(16小節)
03:Intro3 ターラ・ラーラというギターに合わせて片手を挙げてジャンプ(8小節)、「X」ポーズでとまり、手を戻す(2小節)
パートⅡ いわゆる「一番」の歌詞
04:A 「ゆめをみること~みつめつづけてくれたあなた~」(16小節)前半がいわゆる「駄々っ子ヘドバン」&筆記体の「X」描き、後半がなめらかに腕や手首の交差等で様々な「X」を描く。最後にピッキング・ハーモニクスに合わせて「投げキス」
05:B 「(じし)ん持てずに~じぶんさよならー」YUI・MOAの合いの手。歌詞を「振り」で表現しつつ、カニ歩きで左右チェンジ(8小節)、「ばいばーい」お立ち台へ(1小節)
06:C「(イジ)メ~、ダメ、…」(8小節)いわゆる「×(ダメ)」ジャンプ。「ダメダメダメダメ」のところも腕でつくった「×」を押す。「(キツ)ネ、トベ、…」も、全身で「×」のカタチをつくる(8小節)+「(きみ)をまもる~か~」(2小節)
パートⅢ 間奏その1
07:D「(か~)らー」(4小節)サム・アップで三姫見つめ合い、敬礼+その場で疾走再現、左右からSU-に手を向ける
08:E ミニ・バトル (4小節)YUI・MOA左右入れ替わり→「×」→組んだ両腕をつきあげる祈り(2小節)
パートⅣ いわゆる「二番」の歌詞
09:F「なみだみせずに~…ひ~と~り~」祈りのポーズ→左右で直角をつくり傾ける(8小節)
10:G「きずつけたのは~…な~か~ま~」「駄々っ子」向き合う(4小節)+「駄々っ子」正面(4小節)
11:H 「(なに)も~いえずに~」YUI・MOAの合いの手→壇上へ「ポイ捨て禁止」「イエスタデイ」(8小節)「バイバ~イ」(2小節)
12:C’「(イジ)メ~、ダメ、…」(8小節)「(キツ)ネ、トベ、…」(8小節)+「(きみ)をまもる~か~」(2小節)
13:I「(か~)らー」台から降りて歩みよる、サム・アップ「いたみ、かんじて…」で中央へ(8小節)「もう~」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」(8小節)
パートⅤ 間奏その2
14:J バトル(8小節)左右入れ替わる(8小節)(8小節)くるくる(2小節)
15:K「(いと)し~くて~」腕の振りでやわらかく「X」を描く(4小節)「(これ)以上~」(4小節)三人が外を向く祈りのポーズ(1小節)
パートⅥ エンディング
16:C''「(イジ)メ~、ダメ、…」(8小節)「(キツ)ネ、トベ、…」(8小節)+「(きみ)をまもる~か~」(4小節)
17:L「(イジ)メ―ダ~メ―、ゼッタイ~」(8小節)首を振りながら(弱駄々っ子)前へ「(イジ)メ~ダ~メ~」お立ち台へ(8小節)台を下りて、三姫が天に組んだ手を伸ばす祈りのポーズで終わる(3小節)
大きな構造として見たときにわかるのは、単純な繰り返しがない、ということ。
いわゆるAメロにあたるのが、パートⅡの04Aと、パートⅣの09F・10Gなのだが、04で「駄々っ子ヘドバン&手をX(あるいは∞に)振る」動きを4小節+4小節行って、なめらかな腕で様々な「X」を描く振りを8小節行なうのだが、「いわゆる二番」にあたるパートⅣのFでは、曲調も荘厳に変わった祈りの「振り」を8小節行なってから、Gで「駄々っ子ヘドバン」を4小節+4小節行う、というダイナミックなねじれがある。しかも、パートⅡでの「駄々っ子ヘドバン」は2回ともYUI・MOAが向き合うかたちだが、パートⅣ後半の「駄々っ子ヘドバン」は、1回目はふたりとも正面向きで行ない、2回目はパートⅡ同様の向き合いになっている。
「2番」が「1番」の繰り返しでありながら繰り返しでない、という緻密な構成が、楽器でも「振り」でも表現されている。というか、この曲を視聴しながら、09Fが04Aのある種の繰り返しである、ということの方が、気づきにくいことなのかもしれない。楽器隊の演奏も、三姫の「演」奏も、あまりに雰囲気が異なる(04Aの激い動、に対し、09Fの荘厳な静)が、ただ、SU-の歌声は同じメロディを奏でているのだ。
また、Bメロも、パートⅡとパートⅣとを比べると、小節の数が異なる。それは、YUI・MOAの「バイバ~イ」の「~」の長さの違いで、ここでも、繰り返しのいわば安心感と、非繰り返しの緊張感とが複雑に組み合わされている。
小節数の変化などというのは、今回分析しながらはじめて見えてきたもので、「やってみるものだな」というのが正直な感想である。そして、冒頭に書いた「泣き顔はみたくない~」の感動も、この小節数と大きく関わっていたのだが、すでに結構な長文になったので、つづきは次回以降にしよう。
さらに細かく、『イジメ、ダメ、ゼッタイ』の「振り」の意味を探っていきたい。歌詞との関係や、他の楽器との関係などから、「演」奏としての「振り」を検討していこう。
ヘヴィ・メタルの「演」奏である。
このことを、『イジメ、ダメ、ゼッタイ』を具体的に分析しながら、確認していきたいと思う。ただし、僕は、音楽もダンスも残念ながら専門知識は持ち合わせていない(BABYMETALをより深く知るために、これからきちんと学ぼうとは思っているが)ので、あくまでも<素人の目・耳による気づきの提示>でしかないのだが。
『イジメ・ダメ・ゼッタイ』は、今まで何百回と聴き、映像も楽しんできた(だって、1日1回以上は視聴しているのだから)のだが、
改めてつぶさに検証してみると、曲も舞踊も、
実に精緻につくりあげられていることに気づき驚嘆している。
(バンドや振り真似などのコピーをされた方は、構成の妙には早くから気がついていたのだろうが、
単純に、曲を聴き、映像を観、では気づかない「仕掛け」がいろいろあることに、今回改めて気づいたのだ)
例えば、この曲の「振り」で僕がいちばん好きなのは、
「泣き顔はみたくない~」のところ、
SU-とMOAが(向かって)左へ、YUIが右へ、祈るように腕を伸ばすところだが、
(後述、パートⅤの15Kのおわり)
ここが感動的なのには、構成上の「仕掛け」があったことに、分析してみて気がついた。
また、この曲のなかでYUI・MOAは4回左右の位置を替えることで「X」を描くのだが、これも改めて「演」奏として見てみると、このサイド・チェンジは、単なる見栄えのよいダンスではなく、ふたりの交差という「振り」による、この曲のテーマの一つ「X」の体現でもあるのだ。(後で詳述したい)
この曲を、大きく六つのパーツに分けたうえで、
市販のバンド・スコア(株式会社フェアリー)の表記に従いつつ17の小パーツに分けてみる。(「赤い夜」「黒い夜」にはなかったが、「お立ち台アリ」がこの曲の「演」奏の基本形だと思うので、それを前提に分析をすすめる)。以下の区分をたたき台として、何回かに渡って、分析してみたい。
パートⅠ イントロ
01:Intro1 はじめから「ルルルー」の後のタメまで(16小節+αタメ)
02:Intro2 激しいリフ、SU-の「X」ポーズYOI・MOAクラウチング・スタンバイ(赤い夜ではYUIが「いくぞ~」と片手を突き出している)、「アー」でYUI・MOAの疾走→2度交差して中央へ(16小節)
03:Intro3 ターラ・ラーラというギターに合わせて片手を挙げてジャンプ(8小節)、「X」ポーズでとまり、手を戻す(2小節)
パートⅡ いわゆる「一番」の歌詞
04:A 「ゆめをみること~みつめつづけてくれたあなた~」(16小節)前半がいわゆる「駄々っ子ヘドバン」&筆記体の「X」描き、後半がなめらかに腕や手首の交差等で様々な「X」を描く。最後にピッキング・ハーモニクスに合わせて「投げキス」
05:B 「(じし)ん持てずに~じぶんさよならー」YUI・MOAの合いの手。歌詞を「振り」で表現しつつ、カニ歩きで左右チェンジ(8小節)、「ばいばーい」お立ち台へ(1小節)
06:C「(イジ)メ~、ダメ、…」(8小節)いわゆる「×(ダメ)」ジャンプ。「ダメダメダメダメ」のところも腕でつくった「×」を押す。「(キツ)ネ、トベ、…」も、全身で「×」のカタチをつくる(8小節)+「(きみ)をまもる~か~」(2小節)
パートⅢ 間奏その1
07:D「(か~)らー」(4小節)サム・アップで三姫見つめ合い、敬礼+その場で疾走再現、左右からSU-に手を向ける
08:E ミニ・バトル (4小節)YUI・MOA左右入れ替わり→「×」→組んだ両腕をつきあげる祈り(2小節)
パートⅣ いわゆる「二番」の歌詞
09:F「なみだみせずに~…ひ~と~り~」祈りのポーズ→左右で直角をつくり傾ける(8小節)
10:G「きずつけたのは~…な~か~ま~」「駄々っ子」向き合う(4小節)+「駄々っ子」正面(4小節)
11:H 「(なに)も~いえずに~」YUI・MOAの合いの手→壇上へ「ポイ捨て禁止」「イエスタデイ」(8小節)「バイバ~イ」(2小節)
12:C’「(イジ)メ~、ダメ、…」(8小節)「(キツ)ネ、トベ、…」(8小節)+「(きみ)をまもる~か~」(2小節)
13:I「(か~)らー」台から降りて歩みよる、サム・アップ「いたみ、かんじて…」で中央へ(8小節)「もう~」「イジメ、ダメ、ゼッタイ」(8小節)
パートⅤ 間奏その2
14:J バトル(8小節)左右入れ替わる(8小節)(8小節)くるくる(2小節)
15:K「(いと)し~くて~」腕の振りでやわらかく「X」を描く(4小節)「(これ)以上~」(4小節)三人が外を向く祈りのポーズ(1小節)
パートⅥ エンディング
16:C''「(イジ)メ~、ダメ、…」(8小節)「(キツ)ネ、トベ、…」(8小節)+「(きみ)をまもる~か~」(4小節)
17:L「(イジ)メ―ダ~メ―、ゼッタイ~」(8小節)首を振りながら(弱駄々っ子)前へ「(イジ)メ~ダ~メ~」お立ち台へ(8小節)台を下りて、三姫が天に組んだ手を伸ばす祈りのポーズで終わる(3小節)
大きな構造として見たときにわかるのは、単純な繰り返しがない、ということ。
いわゆるAメロにあたるのが、パートⅡの04Aと、パートⅣの09F・10Gなのだが、04で「駄々っ子ヘドバン&手をX(あるいは∞に)振る」動きを4小節+4小節行って、なめらかな腕で様々な「X」を描く振りを8小節行なうのだが、「いわゆる二番」にあたるパートⅣのFでは、曲調も荘厳に変わった祈りの「振り」を8小節行なってから、Gで「駄々っ子ヘドバン」を4小節+4小節行う、というダイナミックなねじれがある。しかも、パートⅡでの「駄々っ子ヘドバン」は2回ともYUI・MOAが向き合うかたちだが、パートⅣ後半の「駄々っ子ヘドバン」は、1回目はふたりとも正面向きで行ない、2回目はパートⅡ同様の向き合いになっている。
「2番」が「1番」の繰り返しでありながら繰り返しでない、という緻密な構成が、楽器でも「振り」でも表現されている。というか、この曲を視聴しながら、09Fが04Aのある種の繰り返しである、ということの方が、気づきにくいことなのかもしれない。楽器隊の演奏も、三姫の「演」奏も、あまりに雰囲気が異なる(04Aの激い動、に対し、09Fの荘厳な静)が、ただ、SU-の歌声は同じメロディを奏でているのだ。
また、Bメロも、パートⅡとパートⅣとを比べると、小節の数が異なる。それは、YUI・MOAの「バイバ~イ」の「~」の長さの違いで、ここでも、繰り返しのいわば安心感と、非繰り返しの緊張感とが複雑に組み合わされている。
小節数の変化などというのは、今回分析しながらはじめて見えてきたもので、「やってみるものだな」というのが正直な感想である。そして、冒頭に書いた「泣き顔はみたくない~」の感動も、この小節数と大きく関わっていたのだが、すでに結構な長文になったので、つづきは次回以降にしよう。
さらに細かく、『イジメ、ダメ、ゼッタイ』の「振り」の意味を探っていきたい。歌詞との関係や、他の楽器との関係などから、「演」奏としての「振り」を検討していこう。
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