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BABYMETAL探究(「なぜ泣いてしまうのか?」考)

2015-07-13 22:07:40 | babymetal
BABYMETALを観たり聴いたりしながら、泣いてしまう。

これは、他のミュージシャンの音盤や映像盤を観たり聴いたりすることとは明らかに異質な、視聴者にとってのBABYMETALの主要な、ある意味では最大の、独自性だと言えるだろう。
(以前にも書いたが、先日の幕張でのライヴは超絶に楽しくて泣くどころではなかったので、これは、僕においては、今のところ、音盤や映像盤の「鑑賞」時における特徴的な反応なのである)。

いや、もちろん、今までにもヘヴィメタルの音盤を(名曲を)聴いて涙ぐむことはあった。だからこそ僕は、ヘヴィメタルを人生の伴侶として聴きつづけてきたのだ。
しかし、それとは頻度や強度がまるで違う。
BABYMETALを視聴しての「泣いてしまう」を基準にすれば、今までそんなことはなかった、と言ってしまえるほど、BABYMETALの「泣いてしまう」は際立っている。
むやみやたらに、というくらい涙が出てくるのだ。毎日毎日(数限られた)映像盤をとっかえひっかえ観るなかで、昨日まではなんてことのなかった1シーンに今日は涙ぐんでしまう、ということが繰り返されるのだ。
よく考えてみれば、(映画ならともかく)音楽の映像作品を観て泣いてしまうなんて、僕は経験したことがなかった
そうした意味で、まさにBABYMETAL(の映像盤)は、唯一無二なのである。

ネットには、「なぜBABYMETALに泣いてしまうのか?」を語りあうスレッドもある。「泣いてしまう」ことはBABYMETALに関して探究する価値のある大きなテーマのひとつなのだろう。
ひょっとしたら、これがBABYMETALの核心、なのかもしれない。

まずはじめに、それはおっさんだから、という点を確認しておくことは重要である。
「なぜ泣いてしまうのか?」という発問自体、おっさんである僕自身に向けているのだ。
「なぜ泣くのか?」スレッドも、書き込みをしているのはほとんどがおっさんのようで、確かに、自分がもしも今10代だったならば、BABYMETALを視聴して泣いてしまう、なんてあるはずがない、とも思う。
楽しい、カワイイ、かっこいい。そんなふうにしか感じないのではないか。
それは、僕たちおっさんたちの、泣いてしまうという(加齢臭的な)反応とは異なる、健康的な爽やかな反応だ。むしろ3姫にはそちらの反応をこそ差し上げたい、のぞましい感想だ。
だから、現在の若いBABYMETALのファンが、今回のこのブログの文面を見たら、気色悪く感じるだろうな、ということも想像できる。
しかし、仕方がない。だって、実際に泣いてしまうのだから。
若い人のことを慮って抑える必要などないのである。

なぜおっさん(である僕)(たち)はBABYMETALを視聴して泣いてしまうのか?

パッと思いつく要素は、6つである。それぞれは重なり合い・絡み合って涙腺に襲いかかってくるのだろうが、あえて分析するならば、次のように腑分けできるだろう。

1.楽曲が(ヘヴィメタルとして)感動的だ。
2.SU-METALの歌声が心に沁みる。
3.楽器隊の演奏が凄すぎる。
4.エピソードがドラマチック。
5.ひたすらステージで一所懸命に歌い・踊る3人の少女に胸を揺さぶられる。
6.すぐれたアスリートのパフォーマンスを見る時の、「すごい」という感動。

これらの総体が、「おっさんが泣いてしまう」BABYMETALの魅力、ということにまずはなるはずだ。おそらく僕だけでなく多くのおっさんファンも、(人によって各要素の濃淡等はあれ)この1~6が綯い交ぜとなって涙腺に襲いかかってくる、という経験をしているのではないか。
(外国のメタルヘッズたちは、どうなのだろう?1~3はともかくとして、4~6への感傷的な思い入れは、僕たち(大和おっさんたち)ほどはないのだろう、か?)

1.楽曲が(ヘヴィメタルとして)感動的だ。について。
BABYMETALの楽曲は、どの曲もヘヴィメタルとしてのさまざまなとんがった魅力にあふれているのだが、「泣いてしまう」楽曲といえば、何といっても「紅月」と「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の2曲だ
私的な感涙のヘヴィメタルの超名曲の数々、例えば、Michael Schenker Groupの「Into the Arena」、Helloweenの「Eagle Fly Free」、Vandenbergの「Waiting for the Night」、Y&Tの「Forever」、等々に匹敵する、あるいはそれらを超える、泣ける名曲である、この2曲。
楽曲の人気投票でも必ず最上位に入るこの2曲を、ごく初期のうちからレパートリーにしているということは、BABYMETALが(僕にとって)本物のヘヴィメタルであることの証でもある。
どちらも、直接的にはXの名曲たちのオマージュなのだろうが、個人的にはやや長すぎると感じてしまうこともあるXの楽曲のインストパートの、いちばん美味しいところだけを必要にして十分にフューチャーした、「完璧」な楽曲2曲だ。
(ただし、この二曲以外、例えば「4の歌」でも泣いてしまう、というのがBABYMETALの恐ろしいところなのだ。だから、なぜ?を考察したくなるのである。)

2.SU-METALの歌声が心に沁みる。について。
「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の、イントロのSU-METALの「るるる~」の後の、「あー」のシャウトだけで泣いてしまうことのある人もいるだろう。僕も(いつも、というわけではないが)そのひとりだ。
SU-METALの「心に沁みる」声質についてはいくつかのサイトで専門的な考察もなされているようだが、素人なりの僕の素朴な印象を言葉にすれば、倍音をたっぷり含んだみずみずしさ至極の歌声、という感じだ。
この声は、おそらく、あらゆるジャンルの歌を歌ってひとを感動させることのできる、そんな魅力をもった、天から与えられた声、まさに至宝、なのだろう。
それに、あの、圧倒的な声量。さながら爽やかな倍音バズーカ、だ。
でも、その至宝である天賦の声を、いかにも「うまいでしょ」的な歌に使うのではなく、ただただひたむきな歌声として聴かせるのは、歌っているのがヘヴィメタルだから、という側面も多分にあるのではないか。そこがいっそう僕たち(おっさんメタルヘッズ)を泣かせるのではないか。
今、新春キツネ祭の再々放送分の録画を流し観・聴きしながらこれを書いているのだが、例えば今流れてきた「Road of Resistance」という楽曲、これは、そうしたSU-METALの声という至宝が、ヘヴィメタルを歌うことによってそのひたむきさの純度を高めている、その精華だといえる楽曲ではないか。
SU-METALの熱唱、あの「かかってこいやー」、その後の「We are!」のシャウトの連呼を聴きながら、今夜もやはり涙が出てきてしまった。
(にしても、「We are!」だけでおっさんを泣かせる、というのは、とんでもない「実力」である。)

3.楽器隊の演奏が凄すぎる。について。
残念ながら、僕は少しギターをかじったくらいで、本格的なバンドの経験もないのだが、そんな素人の僕でも、神バンドの演奏の凄まじさは感じることが出来る。ましてや、本格的にバンド等の楽器演奏経験がある人たち(おっさん達)には、BABYMETALのライヴ(映像盤、音盤)は「なんじゃこりゃ!」という畏怖を伴う感動を与えるものだろう。
単にうまい、というのではなく、過剰に、凄・す・ぎ・る、のだ。だから泣いてしまう。
”アイドルのバックバンド”(ある意味では、まさにそうなのだが)には全く必要のない超絶的なスピードと爆音とテクニック。はじめてメタリカを聴いた時の(僕は「Fight Fire with Fire」だった)衝撃に似た息づまる感触に、ライヴ(映像、音盤)のいろいろなところで遭遇する。
例えば、「Road of Resistance」の冒頭からのドラムスのドコドコドコドコの凄まじさには、涙をさそわれる。
BRIXTONライヴ音盤のメギツネのギターリフで泣いたことは以前にも書いた。
(1.の「紅月」や「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の感動にも、この3.は大きく寄与している)。
テクニックが凄いヘヴィメタルのバンドは数多くいるが、BABYMETALの場合はその凄さが「むきだし」に襲いかかってくる。
表面が甘いからこそ、その激辛が強烈で、余計に涙腺を串刺しにするのだ。
アイドルとヘヴィメタルとのギャップ(の音楽的な意味)とは、まさにここにこそあるのだろう。

4.エピソードがドラマチック。について。
以前にも少し触れたことがあるが、BABYMETALの来歴、ストーリーは、マンガを超えている。あまりにもドラマチックな逸話が満載である。(ていうか、BABYMETALの実話をそのままマンガ化・アニメ化するだけで、とんでもない感動の名作マンガになることが保証されている、そんなエピソード・物語がてんこもりだ。)
この項目をもう少し細分化すれば、
4①成長
4②快挙
4③事件

のように区分できるだろうか。
もちろんこれが絡み合ってさまざまなエピソードを構成しているのだが、①②③は、それぞれ、異なる涙のツボを刺激する、のだと思われる。

4①成長、というか、飛躍、というか、変化、というか。
実生活上の、息子や娘たちも、もちろんすくすく成長しているのだ(ろう)が、常に身近にいるからそれはなかなか見えにくい。ところが、BABYMETALの3人は、そのとんでもない成長・飛躍・変化を、とんでもない濃度に圧縮して見せてくれる。(いちばん古い映像作品の「LEGEND I」から、まだ3年も経っていないのだ!)。
SU-METALの最近の映像作品でのアップに、つい、可憐girl'sのSUZUKAの顔を思い浮かべてしまうと、もうたまらない。(というか、MVで、SUZUKAの、こりんとした顔を見るだけで、泣けてくるのだ。…何なんだ?これは)
BABYMETALを作りはじめたときに、こんなことは想定していなかったはずだし、少なくとも計算などできるはずがない。計算などはるかに超えた、とんでもない速度での飛躍・成長・変化。少女たちだから、ということに限らず、成長のストーリーには、ひとを泣かせる力がある、ということだろうか。

4②快挙。
ソニスフィアを典型例として、とんでもない結果を出しつづけてきたBABYMETAL。
半信半疑の、あるいはむしろ否定的な先入観を持っていた、観客たちが、「あれ?」→「これは…」→「ひょっとして、本物?」→「いやいやいや、これは凄い」→「なんじゃ、こりゃ!楽しい!」→「最高!!」と反応を変化させ、陥落していく様を目にするのは、まさに「ガラスの仮面」「BECK」の感動と同種の経験だ。
この夏にも、レディング&リーズ・フェスがある。
国内でもまだまた「快挙」のネタは残っている。METAL HAMMER は早速注文したが、BURRN!誌の表紙を3姫が飾る日が来たら、本屋の店頭で滂沱するおっさんたちは続出するだろう。もちろん僕もそうだ。号泣する準備はできている。
この感情は、乱暴な言い方をすれば、やはり、同胞としての誇り、なのだろう。
オリンピックやワールドカップ等で、日本チームや日本人アスリートが、勝つ、ゴールを決める。思わずガッツポーズをし、よっしゃ!と叫ぶ自分がいる。目をウルウルさせながら。
BABYMETALに泣いてしまう成分の何割かは、そうした涙だ。

4③事件。
とりわけ「赤い夜」がその筆頭だが、ソニスフィアの冒頭のMOAのイヤモニの不通、などなど、小さな事件は、それこそいくつもあった。僕たちおっさんを泣かせるのは、それらの事件が、(今のところは)最終的にそれをたくましく乗り切る3人の少女の凛とした姿を見せる契機になっていることだ。
ピンチはチャンス。ライヴは戦い。アウェイこそホーム。
そうした姿には、それなりに人生の辛酸をなめ、栄光も挫折もそれなりに経験し、紆余曲折を味わってきたおっさんとしては、泣かずにはいられないのだ。

5.ひたすらステージで一所懸命に歌い・踊る3人の少女に胸を揺さぶられる。について。
ひょっとしたら、他のアイドルのファン(おっさんたち)の心理もこうしたものなのだろうか?
全く想像もつかないが、BABYMETALの3人へのおっさんたちのこの5.の涙は、アイドル=「偶像」という意味からは、大きく逸脱したものだ。
今まさに目の前に、懸命にパフォーマンスする少女たちの生きた身体が心がある、その確かな存在感。
これはもちろん4.とも深く絡み合っている涙なのだが、とりわけ事件や快挙には関わらずとも、ステージ上で汗だくになりつつキリリとした表情で一語一語に心をこめながら歌うSU-METALの顔や、例えば「イジメ、ダメ、ゼッタイ」での「駄々っ子ヘドバン」のYUI・MOAの汗を飛び散らせ腕をふり身体を揺らしながら髪の毛をぐるんぐるんぐるんぐるん振りまわすその姿は、それ自体がおっさんたちを泣かせるのだ。
可憐、とはまさにこのことなのだろう。
決してなよなよとした弱っちい泣かせ・媚態、ではなく、凛とした懸命さ、「命を削りながら」という言葉が決して大袈裟ではない、まさにそうとしか形容できない熱演だ。
これも、僕が10代だったら、このように感じることができたか、といえば、かなり微妙である。
やはりここには父兄的な目線、あるいは、自分自身がこれほど「懸命」にはなれないことから逆照射される、若さの眩しさ、を感じる、その涙なのだろう。

6.すぐれたアスリートのパフォーマンスを見る時の、「すごい」という感動。について。
とりわけYUIMETALの、信じられない動き。
そこに気がつく頃にはもう後戻りできないBABYMETALの深みに嵌っているのだ。
僕がBABYMETALにここまで夢中になってしまった大きな要因も、これだ。
もちろん、YUIMETALだけではなく、3姫ともに、その身体能力は、超人的である。ここは、ファンになればなるほど強く実感するところだろう。
何せ、その年齢、女の子であること、可愛らしいルックス、それらがカーテンとなって覆い隠してしまうために、3姫のアスリート的なとんでもなさを初めのうちはきちんと観ることができないのだ。せいぜい、「よく動くなあ」「結構ダンスもキレキレだな」という程度の感想だろう。
ところが、視聴を重ねていくうちに、いつか、「この娘たちってバケモノだ!」と畏怖を感じる瞬間が、遅かれ早かれやって来るのだ。涙を流しながら。
幕張ライヴでも、僕自身は、冒頭の2曲(BABYMETAL DEATH → ギミチョコ)でもうヘトヘトだったが、3姫たちは、これらを皮切りに残り90分の「巨大天下一メタル武道会」を、ノンストップで歌い踊り続けたのである。空調などがひどく、とんでもない悪コンディションだったのに。おっさんであるこっちは、「すごい!」そして「面目ない」とひれ伏すしかなかった。
本当に、掛け値なしに凄い、のである。
たぶん、こんな「畏怖」を感じさせるところは、他のアイドルともヘヴィメタルバンドとも、異なる、BABYMETALの独自性の大きなひとつ、だろう。
このブログでしつこく書きつづけているYUI・MOAの「バトル」も、この6.の「すごい」を鋭く感じさせる動きだ。迫力のある、殺陣の美しさ。
あとは、例えば、「赤い夜」「黒い夜」の、「ウキウキ★ミッドナイト」。これはとんでもない。
あの高さ・狭さで踊り・跳ぶのだ。ニコニコしながら、である。そのすごさに、涙が出る。

と、ここまで、1~6、すいぶん駆け足で大雑把な分析を重ねてきた。
どれか1つだけを見ても、ファン(のおっさんたち)を泣かせる力を十分にもっているのに、これが6つも縒り合されて襲いかかってくるのだから、おっさんたちはイチコロである。
これは、泣くのが、必然だ。

そして、さらに、この6つ以外にも、「泣いてしまう」秘密はある。
とりあえずあと2つ、気がついたので加えて今回の長文を終えたい。
(テーマが大きすぎましたね。それぞれを、またより深く探究する日がいつか来る、のか?)

7.(圧倒的な)美しさ。
これは、具体的には、「赤い夜」の「BABYMETAL DEATH」を観ていて強く感じたことだ。
(振りかえって見れば、おそらく上記の1~6の根底にあり続けていた要素なのだろう。)
DEATH!DEATH!DEATH!と、3姫が揃って飛ぶ場面(とりわけ、狂乱のパートが終ったあとの曲の終わり近く)を観ていて涙が出てきたのである。
しかし、これは、なぜだ?と問いかけても、1~6では説明のできない涙なのだ。
これはあえて説明的な言葉で表現するならば、美しいから、としか言いようがない。
3人であること。身長のバランス。赤、黒、銀の配合。肉体と人工の融合。光と影。デスヴォイスと3姫の容姿がユニゾンでジャンプをしていること。
そうした様々なバランスの調和が絶妙に美しいのだ。

映像盤の中では、何といっても「赤い夜」が、この圧倒的な美しさを堪能できる、と個人的には思っている。とりわけ「BABYMETAL DEATH」での神々しい美しさは、比類のないものだ。オープニングではなく、武道館公演初日のいよいよラスト3曲の皮切りの、静謐さを伴った激情とも言うべき演奏の温度、ここまでライヴを進めてきた3姫の心身の熱し具合など、比喩的に言えば「黄金比率」が実現されたのではないか。腕をクロスしているため、顔の見えないSU-METALの凛とした美しさ。髪をふり乱した後のMOAMETALの妖艶な笑顔。その遠くに見えるYUIMETALの後姿の可愛さ。

言葉を恐れずに言えば、ここまで神々しい美しさを見せるアイドル、とは空前絶後ではないか(山口百恵には、それがあったのかもしれない。中森明菜にも、そうした気配はあったのではないか)。
とりわけ近年の、素人くささを前面に押し出したわちゃわちゃしたアイドルたちとは全く異質の美しさを見せる瞬間がBABYMETALにはあり、その神々しさにおっさんの涙腺はゆるんでしまうのだ。

そして、最後に、
8.絶対的な肯定性
これも、1~7のすべてを根底で支える要素であり、BABYMETALがヘヴィメタルにもたらした最大の新機軸(あるいは逆説)というべきものだ。
具体的には、「新春キツネ祭り」のWOWOW映像(完全版入手まであと1カ月になった、わくわくが止まらない!)の、「ヘドバンギャー!!」で、YUI・MOAが「ひさしぶりにー、いくよ~!」と言いながら、駆け、スモークガンを手に取り、「いくぞ~!」(MOAMETAL)「いくよ~」(YUIMETAL)と叫びながら噴射する、その一連の姿。これに、泣いてしまったのである。もちろん、頬を緩ませながら、だから、つまりは泣き笑いの表情になって、だ。
これは、1~6でも、7でも、説明できない涙、だ。
で、なぜ涙が出るのかを問いかけて出てきたのが、この、絶対的な肯定性、という文言だったのだ。
スモークガンの噴射、とは、本来、ヤンチャな行為、攻撃性の表現、というべきものだろう。ところが、これを、YUI・MOAが行なっている姿には、”やさぐれた”感じなどみじんもないのだ(ファンにとっては当たり前だが、これは改めて考えてみると実に実にとんでもないことなのではないか)。
最も凶悪な、というべきヘヴィメタルを、まったく負の印象を与えることなく歌い・「演」奏する、ということ。観ている人間に、絶対的ともいえる肯定性な”しあわせ”を感じさせること。
あるいは、「4の歌」等でのYUI・MOAや、時にはSU-の、煽り。
ここにもまったくダークな感じがない。(ディスるつもりは全くないが、乃木坂46のライヴ映像で目にした「コウモリよ」の煽りには、やさぐれた感じがあった。ヘヴィメタル風にする、とは、そうしたやさぐれ感・棘をつけるということなのだ、普通は。)
これは、受け手である僕の主観的印象だから、絶対化はできないが、しかし、どんなにヤンチャなことをやっていても、常に気品を失わず、前向きの凛とした姿勢として、それが表現される、ということ。
これって、実に貴いことだ。そこに、涙が出たのだと思う。
国境を越え、言葉を超え、BABYMETALがファンを広げているのは、単に楽曲やパフォーマンスの素晴らしさだけではなく、3姫の一挙一動ににじみ出る、絶対的な肯定性に心打たれるひとたちが増えている、ということなのかもしれない。
なぜ、BABYMETALの3人はそんな風でありうるのか?には、わからない、としかいいようがない。生まれも育ちもよい3人が奇跡的に集まった、ということなのか。
ただ一つ、彼女たちが、ヘヴィメタルをよく知らない(全く知らなかった)ということが秘密の大きな鍵であるような気がする
たいへんな逆説、だが。
ほんの少しでも知っていたら、ヘヴィメタル風のダークな匂いや色香がほんの少しとはいえ纏わりついていたのではないか。そうなると、今僕たちが涙を流すこの奇跡のBABYMETALにはなっていなかった、のではないか。
いわば、マリアの処女懐胎、のような聖性を、BABYMETALはそのなりたちにおいて帯びている、ということになりはしないか。

7や8は、もはや音楽から離れた、宗教的な陶酔の悦楽・至福、とでもいうべきものなのかもしれない。
こうした種類の言説は、公共の場に載せるのははばかられるものだが、しかし、BABYMETALを観ていて泣いてしまう、その秘密のなかには、確かに宗教にも通じる、人間離れしたものがあるのだ、と、僕は思う。

だって、これだけ多くの(世界中の)おっさんが、彼女たちの超絶に楽しいパフォーマンスを観て聴いて、泣く、のである。
これはもう、事実として、BABYMETALが宗教的な力を持っているということ、だろうから。(このことを大声で主張しようなんて、もちろん思いはしないが)。
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8 コメント

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追体験 (もいもい)
2015-07-17 10:39:12
たいへん楽しく読ませていただきました。
適切な分析に感心しました。
もう一つあるとすれば「追体験」についてはどう思われますか。
いろんなタレントさんが黒歴史を見つけられたりしていますが、
三人に関しては小学生からの(あるいはそれ以前)懸命に芸能活動に取り組んだ記録がネットで直接見られます。
その辺りも子どもがの幼いときからすくすくと正しい道を歩んできた姿と重なるのではないでしょうか。
おじさんが涙を流すのはこの「成長記録」がすぐ見られる点も大きいように思います。
Unknown (Unknown)
2015-07-22 22:08:09
正直に言います。
読ませていただきながら、何故か号泣している俺がいました。
素敵な文章でした。
ありがとうございました。
Unknown (にんじん)
2015-08-27 03:45:09
日本の慣用句に「鬼に金棒」って言うのが有る

只でさえ滅茶苦茶強い奴にそいつの一番得意な武器を持たせた状態を表すフレーズだ

最近、ベビーメタル関連でバンドリーダー的存在であるBOHが自分のツイッターに「僕ら無敵
ですから」と書き込みをしていたと言う記事を見て腑に落ちた事が有る

数ヶ月ほど前から海外でのベビーメタルの活躍を見て何故かついつい感動して、時には涙ぐん
でしまっている自分がいるのだが多分これが原因だ

自分の陣営の中にこの「鬼に金棒」のチームが居る事の心強さと誇らしさに感涙しているのだ

全く、スーメタルだけでも大したもんなのにユイやモアを従えてその上神バンドの強力なサポ
ートを受けている今の状態は「鬼に金棒持たせて最新戦車部隊率いている」様なもんじゃないか
Unknown (anji)
2015-09-09 23:33:23
100%同意です。なんとなく感じていたことを、適切な表現で表してくれて、素晴らしいです。
Unknown (Unknown)
2015-10-17 02:26:55
6日前に、メギツネをyoutubeでみて
10数年ぶりにアルバムCDを購入した40のおっさんです。

CDが届いてから、ぶっ通しで毎日2時間以上聞いてます。

AKB大嫌いだったはずの俺が、
ハードロックはアースシェイカー(しかも小学生)まで
しか聞いたことのない俺が、まさか、俺が・・・

俺は頭がおかしくなったんだろうか?

・・・いや、俺の耳は、「これだ!!」と言ってる。

やっぱり、俺は頭がおかしくなったんだろうか?

その繰り返しで、
あり得ない>いや、デモデモダッテ
あり得ない>いや、デモデモダッテ
を3回ほど繰り返し今日に至ってます。

で、分析みました!!
100%同意します。
「ヤサグレ感がない」  「ひたむきに清冽に歌う」
言われてわかりました!!

そうです!!これですよ!!
やさぐれてないんですよ!!

まっすぐ、清冽に、ひたむきに歌う!!

格好はヘビメタなのに、歌う声と心が聖歌隊なんですよ!!
AKBは乙女じゃありませんが
babymetalは乙女ですよ。しかも聖歌隊のね!!

これが超絶技巧のバンドと襲い掛かってくるんですから
おっちゃん一発KOですわ~
同感です (Unknown)
2015-11-15 18:44:58
まったく共感します。何度も読ませていただいております。
Unknown (Unknown)
2016-05-01 22:06:00
ありがとうございます。
本当になんでこんなに涙が出るのか不思議でしたが
自分だけじゃないとわかってちょっと安心しました。
素晴らしいですよねー♪
Unknown (Unknown)
2016-06-23 12:27:43
楽しませていただきました。


ご考察の7,8に特に同感です。sonisphereのパフォーマンスと聴衆の反応になにか宗教性を感じました。


キリスト教国の聴衆に処女懐胎をイメージさせるものが、IDZの中元すず香に宿ったのかもしれません。

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