社会福祉法人さざなみ福祉会

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きょうされん差別解消法についての見解

2013-05-31 14:44:14 | Weblog
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(障害者差別解消法)についての見解
 
2013年5月24日
きょうされん理事会
 
 4月26日、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(以下、法案)が閣議決定をされ、本日、衆院での審議入りとなった。
 障害のある人と関係者は、障害のある人の差別を禁止する法律を長年待ち望んでおり、この間、障がい者制度改革推進会議・差別禁止部会、障害者政策委員会・差別禁止部会等で、そのあり方について熱心な議論が重ねられてきた。この議論の成果は「『障害を理由とする差別の禁止に関する法制』についての差別禁止部会の意見(以下、意見書)」としてまとめられている。
 この意見書の水準から見ると、今回の法案は甚だ不十分と言わざるを得ない。しかし、障害のある人の切実な願いを踏まえ、その暮らしを一歩でも前進させる観点から、党派を超えた徹底した議論を経て、今国会での成立を求めたい。
 その上で、国会審議を通して、確認答弁や付帯決議等を含めて、下記の諸点についてさらなる論議の深化と改善を求めたい。
 
①法律の名称を差別禁止法に
 障害を理由とする差別の実態についての国民や事業者等のいっそうの理解を広げ、法の意図を明確にするために、名称を「障害を理由とする差別禁止法」とするべきである。
 
②差別についての定義の明記を
 意見書を踏まえ、直接差別、間接差別、関連差別を不均等待遇の定義として明記すべきであり、これを禁止することを明示すべきである。
 
③合理的配慮の定義と拘束力を障害者権利条約と同等に
 「必要かつ合理的な配慮」は、障害者権利条約(以下、条約)の定めている合理的配慮と同じものであることと、その不提供が差別であることを明記すべきである。事業者による合理的配慮の提供は努力義務にとどめるのではなく、義務とすべきである。
 
④地方公共団体のガイドライン作成の義務化を
 差別や合理的配慮についてのガイドラインに当たる対応要領について、地方公共団体による作成は努力義務にとどめるのではなく、義務とすべきである。
 
⑤紛争解決・救済のしくみの拡充と機関の創設を
 紛争解決については、既存のしくみの活用が中心となっているが、法の施行状況や差別事例の分析等を通じて、実質的な救済のためのしくみの創設・拡充をすべきである。
 
⑥大臣からの助言、指導、勧告に従わない場合の措置を
 主務大臣が対応指針に関して、事業者に求めた報告をしない、または虚偽の報告をした場合の罰則は定められているが、加えて大臣からの助言、指導、勧告に従わない場合の措置を規定すべきである。
 
⑦法の施行と見直し時期を早めるべき
 法の施行を2016年(平成28年)と定め、必要な見直しは施行後3年を経過した場合とされているが、できるだけ施行を早めるとともに、施行後3年を待たずに必要な見直しを行うべきである。
 
⑧法が効力を発揮する各分野の明記を
 意見書に述べられている各分野に関する事項を法に反映させるべきである。
 
 以上の内容面での改善に加え、手続き面では意見書を受けての法案の検討、策定段階で障害者政策委員会への説明がまったくなかったことの問題を付言しておく。
 雇用分野の差別禁止等について新たな規定を設けた障害者雇用促進法の改正にあたっては、法案要綱が労働政策審議会障害者雇用分科会に諮られた。それに照らせば、本法案の策定段階でも、障害者政策委員会に説明と意見聴取があって然るべきであった。条約でも謳われている、政策策定過程における当事者参画の重要性を改めて強調しておきたい。
 また、いくつかの地方自治体では、独自の差別禁止条例が制定され、また現在、制定準備がすすめられている自治体もある。本法が施行されることによって、これら既存・新規の条例の改善が促進されることはあっても、条例の水準引き下げの根拠となってしまわないように、必要な措置を講じるべきである。
 なお、法案が成立すれば条約批准に近づくものと思われるが、批准はゴールではなく障害のある人が他の者と平等に生きることができる社会の実現に向けたスタートである。官民一体となってこの法を意見書の水準にまで充実させるとともに、条約の批准後速やかに、条約の定義・原則等との整合性をつける法改正に着手すべきである。
 

病気理解や交通面支援を てんかん学会と協会、都内で緊急シンポ 

2013-05-14 10:46:24 | Weblog

病気理解や交通面支援を てんかん学会と協会、都内で緊急シンポ 

 学術団体の日本てんかん学会と社会的理解の促進を目指す日本てんかん協会は11日、東京都内で、「事故をなくしたい-病気や障害と自動車社会の共存をめざして-」と題した緊急シンポジウムを開いた。発作を伴う病気に関連し、悪質運転や運転免許の不正取得の罰則を強化する法案が国会に提出されたことを受けて開催。二つの法案への反対意見や慎重論に加え、公共交通の整備など、患者と障害がある人を社会全体で支援する仕組みづくりを求める声が出された。

 事故防止と病気や障害がある人の社会参加の両立を模索するのが狙い。患者や障害者団体、報道関係者ら約100人が参加した。

 鹿沼6児童死亡事故などを受け、政府は今国会で、発作を伴う病気の影響による死亡事故を15年以下の懲役とするなど悪質運転を厳罰化する新法案と、運転免許取得時に病状を虚偽申告した場合の罰則新設を柱とする道交法改正案の成立を目指している。

 同学会の兼子直理事長は冒頭のあいさつで、「果たして厳罰化だけで交通事故が減るのか」と問題提起。基調報告した国立精神・神経医療研究センターの大槻泰介てんかんセンター長は「患者が正確な病状申告をしなくなり、治療もできなくなる」と両法案を批判。「病気の申告が(患者の)支援に結びつく仕組みが必要だ」と主張した。

 埼玉県上尾市、今野こずえさん(29)は患者の立場から「都心部と地方では交通事情がまったく違う」とし、通院や実生活を送る上で公共交通の整備や交通費支援が必要だと強調。認知症の専門医や弁護士、新聞記者らもパネリストとして参加し、両法案に対し「障害者や弱者を差別し排除する制度改正だ」との意見や、危険を回避する研究開発中の運転支援技術の説明もあった。

 同協会の鶴井啓司会長は「どんな立場でも鹿沼のような悲惨な事故をなくしたい思いは共通する。病気や障害がある人が運転免許を取らなくても不便がなく、社会参加で不利益を受けない環境整備が解決策だ」と訴えた。

 同協会は両法案の慎重審議を求める署名活動を行っており、近く国会に提出する予定だ。下野新聞