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2012年9月27日
日本てんかん学会「てんかんと運転に関する提言」最終案
日本てんかん学会理事長 兼子 直
同 法的問題検討委員会委員長 松浦雅人
てんかんのある人の運転については、すでに道路交通法に則った運用が行われているが、てん
かんのある人における交通事故抑制と人権尊重・社会参加促進の両立をさらに推進するために、
日本てんかん学会は、現行制度の見直し並びに施行令の適正運用について以下の提言を行う。日
本てんかん学会はてんかん学を専門とする国際的な学術団体であり、その提言は科学的根拠に基
づき、世界の情勢を鑑み、てんかん病態の多様性に対応するものである。
1. てんかんの診療にあたる医師は、てんかんの病態と運転適性について標準的な知識を備え、
法令が適正に運用されるよう患者および家族に充分な説明を行い、てんかん発作による交通事故
をなくするべく必要な措置を講ずるよう努める。
2. 運転適性のないてんかんのある人の運転をなくするための実効的な行政措置の実現を支援す
る。行政措置とは、運転不適性者の交通手段に関する社会保障制度や、運転免許証以外の身分証
明証の実質的普及の促進、相談指導窓口の充実などである。
3. (道路交通法第九十条ならびに第百三条について)「免許を保留ならびに停止することができ
る」期間を、運転に必要な無発作期間と同一にする。または、てんかん発作によって運転免許を
失効したものが、その後の経過で運転適性を再び得た場合には、免許再取得手続きを簡略化する
などの配慮を行う。
4. (道路交通法施行令第三十三条の二の三の2の一について)てんかんの除外規定「発作が再
発するおそれのないもの、発作が再発しても意識障害及び運動障害がもたらされないもの並びに
発作が睡眠中に限り再発するものを除く」のうち、「発作が再発するおそれのないもの」について、
医学的にこのように断言することが不可能であるため、診断医師に逡巡が生じている。このため、
「発作が再発するおそれのきわめて少ないもの」などの表現に変更する。また、「意識障害及び運
動障害がもたらされないもの」について、運転の支障になる発作はこれらのみではないため、「意
識や行為に影響を及ぼさないもの」に変更する。
5. (道路交通法施行令第三十三条の二の三の2の一について)てんかんの除外規定「発作が再
発するおそれの(きわめて少)ないもの、発作が再発しても意識や行為に影響を及ぼさないもの、
並びに発作が睡眠中に限り再発するものを除く」をより正確に適用する。具体的には、現行の運
用基準を以下のように改める。
なお、道路交通法施行令で「発作を起こすおそれがないもの等」を例外と定義し、その下の運
用基準はその具体例を挙げている。運用基準に挙げた各条件そのものが、今後発作が再発するお
それが(きわめて少)ない、今後症状悪化のおそれが(きわめて少)ない状態を示しているので
あり、現行運用基準にある「今後、発作が起こるおそれがない」「今後、症状悪化のおそれがない」
の文言は重複するので外す。
(1)「発作が再発するおそれのきわめて少ないもの」について
(i) 1年以上、無発作で経過し、その後も同じ治療を継続する場合。
(ii) 1年以上、無発作で経過し、医師の指示により抗てんかん薬を減量・中止し発作が再発
したが、以前の治療内容に戻して3ヶ月間発作の再発がなく、その後も同じ治療を続ける場
合。なお、抗てんかん薬の減量中ならびに減量・中止後6ヶ月間は運転せずに経過観察する。
(iii) 1年以上、無発作で経過し、医学的・社会的にやむを得ない理由(災害による薬剤入手困
難、腹部手術時など)で服薬できずに発作が再発したが、以前の治療内容に戻して3ヶ月間発
作の再発がなく、その後も同じ治療を続ける場合。
(2)「発作が睡眠中に限り再発するもの」について
1年以上、覚醒中の発作がない場合。
(3)「発作が再発しても意識や行為に影響を及ぼさないもの」について
1年以上、意識や行為に影響を及ぼす発作がない場合。
(4)てんかんではない発作、診断時点ではてんかんと確定できない発作について
(i) 誘発発作(急性症候性発作、状況関連性発作)は、その後6ヶ月間発作がなく、原因が
除去されている場合。ただし、医師の判断により6ヶ月未満でも、「発作が再発するおそれ
がきわめて少ないもの」とできる。
(ii) 初回の非誘発発作で、その後6ヶ月間発作がない場合
6.「今後、X年程度であれば」をやめ、5年以上発作が抑制されるまで免許更新時に診断書を提
出することとする。
7.大型免許および旅客輸送にかかわる免許について、過去に1回のみ非誘発発作があったもので
は、抗てんかん薬なしで5年の経過観察期間に発作の再発がない場合、過去に2回以上の非誘発
発作があったものでは、抗てんかん薬なしで10年の経過観察期間に発作の再発がない場合のみ
を除外規定とする。