社会福祉法人さざなみ福祉会

てんかんや精神障害者の人の作業所などを運営しています

報道より

2007-02-16 10:06:56 | Weblog
2007年2月16日朝日新聞西部本社版

揺れる障害者作業所
措置→ 支援費→ 自立支援法政策相次ぎ変更
ここ4 年の間に国の障害者福祉政策はめまぐるしく変わった。戦後長く続いた「措置制度」から「支援費制度」、そして06年4 月スタートの障害者自立支援法へ。利用料の原則1 割負担を強いる同法には、障害者団体から「暮らしを壊す」などと批判の声が強く、昨年12 月に政府は新たな負担軽減策を打ち出さざるをえなくなった。民間主導で障害者の生活と仕事を支えてきた「作業所」は、政策の変転に翻弄されている。(神谷裕司)

「職場に利用料おかしい」
福岡市早良区にある知的障害者通所授産施設「ひかり作業所」(定員30 人)。19 ~44 歳の比較的重度の22 人が通い、菓子箱やふきんなどを作っている。同市中央区から週5 日通う女性(20 )は、菓子箱用の厚紙を本にはさんでパタンと閉じ,きちんと折り目をつけるのが仕事だ。
家族と一緒に暮らしており、「娘は家にいるときは動き回って目が離せない。作業所がなければ支えていけない」と母親(53 )。現在の利用料は月7500 円。低所得者向けの軽減措置を受けているので1 割に満たない負担だが、他に毎月、昼食費約5 千円と送
迎費約6 千円が必要だ。収入は年間約100万円の障害基礎年金と月約3 千円の工賃だけ。工賃より利用料の方が高い。
「厚紙に折り目をつけることが重度障害の彼女にとっては大切な労働。そうした労働の場に通う障害者からも利用料を取るのはおかしい]と所長の下村英作さん(54)は話す。
同作業所の前身は、77 年に設立された「ひかり共同作業所」だ。障害者や家族らが廃品回収などで資金をつくり、九州初の障害者福祉作業所としてスタートした。91 年に社会福祉法人として認可され、92 年、現作業所が開所した。
当時の制度(措置制度)では障害の種別や程度をもとに本人や家族の意向を踏まえ、行政が施設などを決めた。費用は、支払い能力に基づく「応能負担」だったが、障害者は所得水準が低いため、ひかり作業所で費用を負担する人は、ほとんどいなかったという。その措置制度は、03 年度の支援費制度導入で一部を除いて終わった。支援費制度は身体、知的、精神の各障害者のうち身体、知的障害者に適用された制度。「利用者本位」
という理念に基づき障害者側と施設などとの「契約」を導入したが、利用料は措置制度と同じ「応能負担」だった。
ところが、この制度は財源不足などから、わずか3年で終わり、06 年度から自立支援法が始まったH=表参照
厚生労働省は「3 障害を区別せず、障害施策全体の底上げを実現させるのが狙い。低所得者らには、きめ細かい軽減措置も取る」と説明。介護保険と同じように1 割負担と認定制度が導入され、同保険との統合も議論されている。
ひかり作業所は、制度が変わるごとに運営が苦しくなった。予算で見ると02 年度の措置費収入は約6460 万円。それが04 年度の利用料収入は約5540 万円、06 年度は約4070 万
円に。