何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

誰かにどこかに、愛を①

2021-01-20 09:51:25 | 
ワンコ 
ワンコが天上界の住犬になって5年の歳月がたってしまったよ
 
四季が一巡りするまでは、
ワンコがいない桜、ワンコが帰宅を待ってくれない夏山登山、ワンコが落ち葉をバリバリいわせて歩かないポプラ並木、ワンコとストーブ前の覇権を争わない冬、
そんなものに意味がないように思えて、泣き暮らしていたけれど、
 
ワンコの名前の由来の一つの、穂高神社への旅での奇跡を体験した頃からかな?
ワンコの思いと守護を感じるようになったんだよ
それに、ワンコは、ワンコの日に読むべき本をお告げしてくれるようになったから、
触れることはできないけれど、
本を通じてワンコとおしゃべりできるようになったよね
そのおかげかな?上手く言えないんだけどさ、
ワンコをものすごく身近に感じているんだよ
 
そんなワンコからのお告げ本
一昨年の秋から昨年の2月にかけてワンコは、感染症やパンデミックや医療崩壊の本ばかりお告げしてたよね
ワンコの慧眼には恐れ入っているから、
今月の本の意図を汲み取るのには、困っているよ
 
「誰か somebody」(宮部みゆき)
 
読んだことがある本の再読を促すお告げなので、
余程お告げしたい内容が含まれているのだろうと思って読み始めたんだよ
読んだことがある推理小説のわりには、内容をすっかり忘れていたので、
気分転換にいいや、と楽しく読み始めたのだけど、
読み終えて、
まさにワンコの日の本として、ワンコは一体なにをお告げしたいのだろう?
分からないから報告書が書けなくて、また時間マジックを使ってしまったよ
でも時間を醸成させているうちに、感じ取れるものもあるからいいんだよ 言い訳だけどね
 
本書は後にシリーズ化される「杉村三郎」ものの一作目なのだが、平凡なサラリーマン(平凡といっても、大企業の会長の愛人の娘の婿)が主人公なだけあって、推理の切り口は、イヤミスの女王ばりな感がある。
基本 主人公の人へ向ける眼差しは温かいのだが、会長の娘婿(といっても、娘は婚外子)としてその企業に勤める杉村は、表向きの言葉に隠された人の本音を汲み取ることに長けてくる。そんな視点で謎を解くのだから、シャーロックホームズが虫眼鏡で証拠を探すのとは手法が違う。
本書は、ひき逃げ犯を見つけるために本を出版しようとする姉妹をめぐる話で、ジャンルとしては推理小説なのだろうが、本書の謎解きは犯人を追う事ではなく、人がもつ最も醜い部分が家族に向けられたときの嫌さ加減を謎解きの本題にしているもので、イヤミスの王道をいく物語のように、私には思える。
 
ねぇワンコ
そんな危険が我が家にもあるのかい?
人が持っているものが欲しい、という人は確かにいるけれど、それを家族にやられると堪らないね
これがワンコからの警告だとしたら、哀しいね
 
ところでさ、本書には「車屋さん」(美空ひばり)「恋に落ちて」(小林明子)など幾つかの曲が効果的に用いられているのだけど、その曲が本で果たす役割はともかく曲そのものに、世代のせいか親しみがない。
それで、本書のタイトルである「Love some body」を久しぶりに聞いてみた。

踊る大捜査線 Love Somebody (CINEMA Version ⅳ)

あの頃は、「事件は現場で起きているんだ」というセリフにも、カップ麺をすすりながら仕事する姿にも実感はなかったのだけど、最近カップ麺を掻き込みながら「現場を分かってないよな」と嘆いている自分にふと気づくことがあったので、何だか、この曲を思い出させてくれたことこそがワンコからの贈り物のように思えたよ

和久さんの
「正しいことをしたければ、偉くなれ」の言葉も降ってきたしね

そうして再度本書を手に取ると、さいしょは気付かなかった言葉が目に飛び込んできたよ

『でもあなたは幸せになれる。
 何かに、誰かに追いかけられて、キャッと叫んで机の下に隠れても、
 いつかはそこから出なくてはならない。
 出ていけば、世界はまだそこにあるのだ。』(『 』「誰かsomebody」

ワンコの日五年目のワンコからの贈り物は、この言葉だと信じ、
今年も頑張ってみるよ ワンコ

 


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