何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

本が薬 ほんの薬

2019-03-07 07:03:07 | 
超極暖を着るほどでもなかった、という冬がいつのまにか、通り過ぎていったようだ。



庭の石垣をつたうレンギョウは盛りをすぎ、蕗の薹は今年も天ぷらになってお腹に春をもたらしてくれた。




だが、この季節は私にとって、かなり危険で、先週から酷い体調不良が続いている。

どういうわけか私は早春の候、一度はぶっ倒れる。
ただならぬ胸の痛みを覚えることもあれば、眼精疲労からくる酷い頭痛に襲われることもあるし、扁桃腺を腫らすこともあれば、喘息かというほど咳が止まらなくなることもある。
季節の変わり目に弱いということもあるのだろうが、どうもpm2.5が悪いのではないかと、かってに当りを付けている。

だが、今年のそれには、心当たりがある。

先月をもって、右腕だと思っていた後輩が移動になった。
全てにおいて絶対の信頼を置いていた後輩の移動は、ただでさえ忙しい私に物理的な負担を増やすものだが、それに伴い見えてきた不協和音や自らの力不足に落ち込み、悩み、眠りの浅い日々が続き、ダウンしてしまった。

この一年、ダウンするしか休むことができないほど忙しかった。
趣味というより癖であった読書ができないほど忙しかった。
その忙しさは増すばかりなのだが、もう「やけのやんぱち」で、5日間寝倒した。
ふて寝し、本を読んでいた。

図書館に予約していた本が届いていたのだが、それが偶然にも、三冊とも医療にかかわる本だったので、ふて寝しながら面白く読んでいた。

やっぱり本は、いい。

―それぞれ背表紙のあらすじ紹介より引用―
「火焔の凶器」(知念実希人)
安倍晴明と同時代に生きた平安時代の陰陽師・蘆屋炎蔵の墓を調査した大学准教授が、不審な死を遂げる。死因は焼死。火の気がないところで、いきなり身体が発火しての死亡だった。殺人。事故。呪い。さまざまな憶測が飛び交う中、天医会総合病院の女医・天久鷹央は真実を求め、調査を開始する。だが、それは事件の始まりに過ぎなかった...。

「お悦さん」(和田はつ子)
出産が命がけだった江戸時代、妊婦と赤子を一流の医術で救う女医・お悦。助産に限らず市中に蔓延する流行病も治すお悦だったが、世話をしていた臨月の妊婦が骸となって見つかる。新入りの弟子・賢作や定町廻り同心・細貝と真相を探るうちに、大奥を揺るがす策謀に辿り着いてしまう……。病と悪を退治する6話を収録した、痛快無比の傑作時代小説。

「口中医桂助事件帖 毒花伝」(和田はつ子)
いよいよ大詰め、シリーズ第15作!
桂助の治療処〈いしゃ・は・くち〉に、骨董屋の隠居、上川屋啓右衛門が看取女の真穂とともに治療に訪れた。その後、実は痛みを抱えた真穂を治療した桂助の処で、彼女が休養することになる。真穂は、桂助の元で手伝いをするようになった。
品川の宿で、簀巻きにされた男の骸が発見された。死体を検分した桂助は、その人物が自分が治療したことのある千住品三郎という侍だったことに気づく。品川では、その前後でツクヒ(破傷風)で亡くなった男が往来で見つかり、その男を焼いた伝助や、はぐれ馬も亡くなっていた。品三郎の遺体を戻そうと、千住家を訪ねていった桂助は、その真相を突き止めようと約束する。
そして、投げ込み寺で見つかった八つの死体は、寺の知らぬところで埋葬されており、全ての遺体に歯がなかった。
調べを進めると、この一連の事件にさる藩が関わっていることが判明。
そして、行方不明になっていた志保の消息が!
桂助は、志保を助け出そうと決心するのだった――。


人生を変えるような格言や 心揺さぶるような名言が散りばめられているわけではない医療&捕物・サスペンスだが、医療系の本はちょっとした知識欲は満たしてくれるし、謎解きモノは一時思考を違う世界へ連れて行ってくれる。
おかげで、三冊読み終わり、ふて寝の床から這い出した頃には、体はともかく気分は幾分マシになっていた。

やっぱり本は、いい。

そんな気分で見る花には、明るい色がさしている。

レンギョウの花言葉、期待 希望

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