何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

Reverse 子供時代

2015-09-08 18:51:02 | 
机の上の書類箱を整理していて、ショックなことに気が付いた。

湊かなえ「リバース」刊行記念プレゼント~「リバース」スペシャルブレンド抽選で150名様にプレゼント~の〆切が8/31だったのだ。
応募葉書を出そう出そうと思いながら、気が付くと九月も前半が過ぎつつある。
こういった応募で当たったためしがないくせに、応募さえしていれば今回こそは当たっていたかもしれないなどとグチグチ愚痴を言っている。
グチグチ愚痴を言うのには理由がある。
我が家のコーヒー豆を用意するのは私だからである。何時からそうなったのか、気が付いたら私が調達してくるものとなっていたのだが、最近コーヒー豆が高騰しているので、「リバース」特別ブレンドが当たるというのは、美味しいかも?という期待とは別の思惑もあったのだ。

「リバース」(湊かなえ)の主人公はコーヒー(豆)の目利きでもあり、彼の入れる芳しいコーヒーを中心に人間関係ができ話が進んでいくのだが、私はコーヒー豆は購入するもののコーヒーの味の良し悪しが今一つ分からない。分からないので小説で読んだことのある豆を選んでいるだけで、家族から特にリクエストが無い限り、ドクタースカーペッタがマリーノに勧めるグァテマラを買うことが多い。

「リバース」の主人公は大学生にして既にコーヒー豆の目利きであり、彼のコーヒーを目当てにする友人がいるほどなのだが、人様はいったい何歳くらいからコーヒーを飲み始めるのだろうか。
このような事が気になるのは、(たぶん)帝国ホテルのシェフだった人のラジオでの語りが強く印象に残っているからだ。
北海道出身のシェフさんの話を要約すると。
日本人は味覚が鋭いといわれるが、それは「うまみ」が分かるからで、「うまみ」は幼少時に昆布などを食べて育つと敏感になる。だから優れたシェフと言われる人に昆布を食べて育った北海道出身者が多い。
この「うまみ」などを感じる能力は、子供時代に基本が出来るので、レトルト食品やジャンクフードで育った子供が、大人になって高級グルメを食しても、実はその料理がもつ本当の味は分かっていない。
子供時代に高級なものを食べなければ味覚が育たないというのではない、季節ごとの食材を甘いものは甘く苦いものは苦く、調理する音と香りを子供に感じさせながら食事の用意をすれば、想像力と味覚の優れた子が育つ。
とにかく味覚の大部分は幼少時に出来上がってしまう。
(シェフさんが名だたる音楽家から聞いたところによると)音楽も同様。
最近学校の音楽の授業では、分からないからツマラナイという理由で、クラッシックや唱歌などを避け、歌謡曲を楽しく歌わせる傾向があるが、これは間違い。
良い音色や幅広い音域を聞き分ける能力も、幼少時に出来上がる。
クラッシックや唱歌ばかりを授業ですべきというのではなく、日頃それに触れる機会が少ないからこそ、学校ではクラッシックなども聞かせて、さまざまな楽器がもつ味わい深い音色や幅広い音域に触れさせておくべき。

寝ぼけ眼で聞いた深夜のラジオ番組であったので正確ではないが、話しの要点は合っていると思う。
そこで、コーヒー。
私はコーヒーの味が分からないと書いたが、それは「コーヒーは子供の飲むものではない」という信念?をもつ両親のもと、大人になるまでコーヒーを飲んだことが無かったので、未だにコーヒーの風味が今一つ分からないのかと気になったのだ。

「リバース」を読むと、コーヒーにもフルーティーやら花の香りやらのするものがあり、しかもそこにミカンなどの蜂蜜までいれて楽しんでいるので驚きだが、私にとってコーヒーとは、苦さであり、朝の目覚まし薬であり、ここ一番の気付け薬でしかない。
これも、幼少の砌にコーヒーに親しんでいなかったからだろうか、などと本筋とは全く違うことばかり考えているうちに、話しが終わってしまった。

ところで五感とは、一般には視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚をさすが、細かく分類すれば平衡感覚なども含まれ、その数は20種類にも及ぶという。
夏季オリンピックの選手が日本全国から選ばれているのと比較して、冬季オリンピックの日本代表に北海道や長野出身の選手が多いのは、優れた平衡感覚を要するウィンタースポーツに幼い頃から親しむことができ、その能力がより開発されているからだろうか。
そこで思い出すのが、皇太子御一家の春のスキーだ。
年に一度のスキーくらい気持ちよく楽しんで頂きたいと私自身は願っているが、毎年毎年嫌がらせのようなバッシングに遭いながらもお出かけになるのを拝見していると、少し不思議な気持ちも持っていた。しかし、何事も幼少の頃の経験が大切だとすれば、なんと批判されようとも、お出かけされる理由も分かるというものだ。
皇太子ご夫妻は、敬宮様の学校生活においては他の児童生徒と同じようにと願われているそうだが、東宮のお子様であれば身につけておかねばならない教養や経験は当然のことながら、我々と同じというわけにはいかない。
幼少の頃から外国語の勉強をされているのも、受験のためなどでは勿論なく、将来日本を代表して海外の要人と会われた際、通訳を介さずに会話されるためであろうし、その会話が空虚なものとならないためにも、さまざまなスポーツや楽器(ピアノやチェロやヴァイオリンなど)に通じておく必要があるのだと拝察している。

ほんの小さい頃から御両親の薫陶をうけて学んでこられた敬宮様は、今年3月28日デンマーク皇太子同妃両殿下をお迎えして東宮御所で催された晩餐の前の懇談の加わり、和やかに会話を楽しまれたという。
敬宮様の御経験が活かされる世の中になることを祈っている。


蛇足
よって、コーヒーのみならず料理一般に私の味覚が乏しいのは、私のせいではない。
私の音感はワンコより劣るのは確かだが、それは幼少時に自分の下手なピアノを聞き過ぎたからに違いない。「ワンコの愛 その2」