父が昔からアマチュアで絵を描いていたので、家には美術書もたくさんあり、私はよく、父の書斎にもぐりこんで画集の絵を見ていたものでした。子どもの頃は、家族揃って「浅井忠展」(たしか、ブリジストン美術館)に行ったりしていました。そんなわけで、昔から絵に興味があり、一人で展覧会も行きました。初めて買った絵は、塙太久馬氏の木版画でした。私の部屋に2枚飾ってあります。
やはり、本物の絵と画集の印刷物の絵では、色合いは微妙に違います。どんなに技術が進歩しても、全く同じというわけにはいかないでしょう。父の絵も、本物とHPでの画像は、やはりニュアンスがちがいます。和紙に描いた色の柔らかさが伝わらないのです。父の青年時代は、カラーのものもなかったわけですから、モノクロの画集で絵の色を想像したのでしょう。それでも、ゴッホのアーモンドの花の絵に感動したというのは、すごいと思います。その絵に憧れて作った父の絵はこちらです。
日本には、色の名前がたくさんあります。印象派に影響を与えた日本の浮世絵の色合いは、まさに驚愕の事件だったのではないでしょうか。木版でその色を出していたのですから。ここに、「和の色」というサイトがあります。本当に素晴らしい世界です。たしかに、コンスタブルやターナー、フラゴナール(私が大好きな画家)、プッサン(父が好きだった)などに憧れますが、色の豊富さとその表現力は、日本が誇る世界でしょう。色の名前の多さは、日本の優れた文化です。これだけの語彙を使いこなしていたんですよね。それにくらべて、いまの私たちの、色への表現力の拙さは情けないです。もっともっと、言葉を持つこと、それが表現力をひろげます。こういうことをもっと知らなくてはもったいないですよね。たまにこのサイトを訪れては、面白い名前の色を見て、いろんな想像をして楽しみます。