今日は、楽しみにしていたカタログハウス東京の学校でした。下高井戸シネマで「いのちの食べかた」を見損なって、どこで見られるのか調べていたら、なんとカタログハウスの8月の学校でこの上映会があったのでした。早速申し込んで、上映後のトークのゲスト、内澤旬子さんの著書「世界屠畜紀行」も図書館で予約していました。そして昨日、ようやく八王子の図書館でこの本を借り、読んでみたらなんと面白いこと!もう、釘付けでした。写真撮影が禁止の場所も多く、彼女のルポライターという特技でその様子はイラストで描かれているのですが、とにかく文章も絵も素晴らしく面白いのです。イキイキとしていて、ワクワクしました。
映画は、ナレーションがまったくなく、映像を見ながら自分で想像するしかないのが不安でしたが、訴えたいことはその分、自分で想像から創造することでより強烈になってくるという不思議なドキュメンタリーでした。
つまり、大規模化による食の生産、屠畜の現場から、現代人が遠く離れてしまった食のリアルな姿を見て学ぶことができるのです。本来なら当たり前のような常識がすっかり見えなくなっている現実を実感させられました。
動物を食べることは、きちんと感謝していただくことだったのです。それを忘れた現代人は、きっといつか、動物界、自然界からしっぺ返しを食うとは思っていましたが、それがBSEやO157だったということでしょうか・・・。
私が食文化にこだわるのも、以前にNHKBSで、ドイツの田舎の農家が飼っていたブタを一匹屠畜して全てを使いきってソーセージなどを作る番組を見たからです。あの番組には感動しました。その農家の子供たちにも、大事に飼っていたブタを殺すところを見せるのです。食べるということがどういうことかを強烈に体感できるわけですから。すごいと思いましたね。目を背けず、そして食の大切さを覚えさせる、なんという素晴らしい世界!!
70年代までは日本も、放送でそういうシーンもあったそうですが、それ以降はマスコミが自主規制してすっかり報道しなくなったそうです。そのわけは??部落問題がそこにあるからです。明治期の映画の「橋のない川」から何も変わっていないのでしょうか??
家畜を肉にすることは決して穢れとか不浄の行為ではないはずなのに・・・。それに、そこから革を作る作業なんて、私も教えてもらいたいくらい。私は以前にも書いたけれど、本革が大好きです。ブランドものの人工皮革なんざ、軽蔑の対象でしかありません。
ユニコーンのマークのフランスの革製品のバッグに一目ぼれしたのは、パリに友人と遊びに行った20年近く前です。あのきめ細かくビロードのような素晴らしい肌触りにぞっこんほれ込んでしまったのでした。その前から、革のバッグは大好きでしたが、もう虜になりました。日本では手に入らないのが残念。メンテナンスもよくなかったのか、今ではあの当時の肌触りは味わえないのですが、それでも今も素敵・・・。そのときにカルティエの財布も買ったのですが、その後なくしてしまい、夫が質屋で買ってくれたのがいまひとつ気に入らず、日本では後発の型押しの財布になってしまって二度と手に入らないと思っていたら、6年前にシエナの料理研修に行ったときのパリの空港で同じものを見つけ、ようやく又手に入れることができたあの革の肌触り、たまりませんね!いいものはいいとして、ずっと作り続けることこそ大事なのです。うーん、ブランドは嫌いとはいいながら、カルティエだけは別・・?!
と、革が大好きな私としては、肉は食べて革だけ残酷なんて動物愛護の言い分にはとても納得がいきません。全てを捨てることなく使い切ること、これこそがその犠牲にしたものへの恩返しになるのではないでしょうか?革に文句があるのなら、肉も食うな!ですよ。シルクと革は自然の素晴らしさと美しさの最高峰です、うーーん、たまらないなー。
えらく、本筋から外れてしまった気がしますが、食文化の裾野は広いのです。日本も、屠畜現場はもっと明るくオープンになってほしいですね。私は内蔵系が大好きですから。
というわけで、図書館で借りていたのに会場でも内澤さんの本を買い、早速サインまで貰って帰宅し、とにかく「肉が食べたい!」とばかりにスーパーでチョリソソーセージの半額になっているのを見つけ(ラッキー!)さらに缶ビールも買って、家でさっそく食べました。ああ、なんて幸せ!肉はおいしい。
最後に、屠畜現場を見ていて思い出したのは、大好きな映画「薔薇の名前」の最初の殺人事件発覚現場。中世の教会内の、ブタをさばくところでのブタの血を溜めていた大きなつぼから遺体が発見されたというシーン。
食に関して、延々と蜘蛛の子を散らすようにあちこち話が飛んで、とまりません。この辺でおしまいにするとして、この映画のサイトはこちらです。ぜひ、多くの人に見てもらって現実を知ってほしいものです。内澤旬子さんはいま、朝日新聞の連載小説「徒然王子」の挿絵を描いています。だからではないけれど、作家島田雅彦さんになぜだか似ていると思いました。彼女は、あまり外に出たくないと言っていましたが、もったいなーい、とても美人です!島田雅彦を女性にした感じです(彼も美形ですから)。彼女の本はものすごく面白いので、ぜひ、読んでみてください。