昨日、下高井戸シネマで「ALWAYS三丁目の夕日」を見ました。私は25分くらい前に入ったのですが、けっこうお客さんがたくさん集まっていました。そして、上映直前は、下高井戸シネマで初めてみた光景でしたが、通路も後ろも補助席をいっぱい出して、満席状態。素晴らしい!スタッフの女性二人が一生懸命、がんばって席を作っていました。私はこんなに人気のある映画をこの映画館で見たのははじめてです。
原作はコミック漫画ということですが、懐かしい昭和30年代を再現し、ユーモアあふれて人情もたっぷり、本当に作り方がうまいというか、完全に引きずり込まれてしまいました。途中からショルダーバッグに手を突っ込み、タオルのハンカチを取り出して涙を拭うのですが、その回数が半端じゃなかったです。こんなに泣けてこんなに面白い映画、初めて!
舞台は昭和33年の下町。私は生まれたてでしたね(32年12月なので)。もう戦後は終わったというけれど、戦争の傷跡がちらほらと伺え、その中でも、街医者の宅間先生の逸話には泣かされてしまいました。三浦友和が演じていましたが、彼ももうそういう渋い役をするようになったんですね。茶川竜之介という主人公の売れない児童小説家に吉岡秀隆、小料理屋のママに小雪、茶川が店主の駄菓子屋の向かい、鈴木オートの店主が堤真一、その奥さんに薬師丸ひろ子、そして子どもたち。家の様子も本当にレトロで、よく再現されていました。見ていて、楽しくてしょうがないんですよ。そう、懐かしさでいっぱいだし、本当にうれしい感動ばかり。人がみな、おせっかいだけれどかかわりあって固まって暮らしていた。一家総出で鍵閉めないでぱーっと出てっちゃうなんて、昔よくあったような・・・。
いまはどこでも、みな携帯を覗き込んで、自分だけの世界、ほんの狭い人数のかすかなつながりだけを大事にしているなんて、対照的な光景です。自分のことしか考えなくて、昭和33年からおよそ50年、はたして当時夢見ていた未来のような今なのかしら。かえって夢がなくなってしまっているような気がします。
子どもの頃、住んでいた下町を思い出しました。私の記憶では、都電は黄色かった。家の近くに、チョコレート色の電車をそのまま住居にしている地域があった・・・。戦後の名残でしょうか。みんな、貧乏だったけれど、子供たちは外で思いっきり遊んでいました。あのオート三輪、母の実家の八百屋で使っていました。なんだろう、この気持ちは。まるで日本版、ニューシネマパラダイスみたいなのかな、懐かしいな。帰宅後、この感動を夫に話したら、「オレも見に行くから、もう話すな!」ですって。そう、下高井戸シネマで来週金曜日まで上映しています。ぜひ、見てください。絶対に損しないですよ。
昨日、下高井戸シネマで映画「四月の雪」を見てきました。昼1時5分の回でしたが、全員観客は女性、それも私よりも年上の人たちでした。けっこう連れ立ってきている人が多く、おしゃべりがすごかったです。上映中も、ビニール袋をクシャクシャと音を立てたり、終いにはある一角では平気でおしゃべりをしていたり、年配の方でもマナーが悪いのに閉口しました。ほとんどが、ヨン様ファンでしょうか・・。彼のベッドシーンは、皆さん心の悲鳴をあげていたかも、とファンではない私はサディスティック気味に考えてしまいました。でも、きっと、すぐに相手役は自分に置き換えて、うっとりしていたのでしょうね。
私はホ・ジノ監督の「八月のクリスマス」がとても気に入っていました。その後の「春の日は過ぎ行く」ではちょっとがっかり・・。そして今回もラブストーリー。でも、感動の涙は出ませんでした。多分、あるんだろうなという設定で二人の恋愛が進んでいきますが、淡々としたなかに、あまり情感が見られない。ただ、韓国の葬式とか風習を見る上で、お勉強にはなりました。風土と現代的なものとの混合がねらいだったのでしょうか。主人公インスのコンサートなどの照明スタッフという必然性が感じられない。ペ・ヨンジュンの肉体美には度肝を抜きました。あれはまるで、ミケランジェロのダビデ像です。あの容貌からはとても想像がつかないほど・・・。特訓の成果でしょうね。それが一番の目的で、ヒットしたのかも。あまり意地悪ばかり言ってはいけませんね。ただ、映像は素晴らしく美しかったです。
仕事を持つ妻が出張中に交通事故にあうのですが、それが出張ではなくて休暇で浮気相手と一緒に事故にあってしまったのです。相手の男性は入院治療中に死亡。お互いの配偶者はそうして出会い戸惑い、復讐もあってか、恋に落ちる。私は夫が裏切りの果てに亡くなった女性のほうが気の毒でなりません。だから、映画のラストでまた二人の関係が続くと想像させてくれたのですが、できれば、未亡人の彼女が幸せになるまで、その関係は続けてほしいと思いました。
不倫と言っても、おそらく結婚前に既に関係があったと思えるそれぞれの配偶者なので、偶然再会して火がついたのかもしれないし、まだ罪は重くないかなとも思うのは、いけないことでしょうか。交通事故に遭わなければ、きっとずっとその関係をひそかに続けていたのかと思うと、人を騙す不気味さを感じます。
結論から言えば、救いのない映画でした。「白いカラス」みたいです。最後、また会えたのはよかったかもしれないけれど・・・・。このストーリーにユーモアをもとめる私がおかしいのかもしれないけれど、どこかにほっとするユーモアがあれば、と思ったのは確かです。
そういえば、私が一番泣いた映画って、何かしら?多分、「エデンの東」、そして邦画なら「砂の器」。これの2作は、どっと涙があふれます(どうしようもなく涙が出るのは「火垂るの墓」、もうお岩さん状態です)。テレビで見た映画では「道」「風の谷のナウシカ」も出る出る、涙が。ま、映画を見るのは、泣きたいからではないのですが、やはり「感動」したいから見るのはたしかです。
下高井戸シネマでは「有頂天ホテル」も上映予定だそうです。やっぱり私は笑って泣く映画が好きですね。あれ、これは泣かない???期待してます。
今日は、下高井戸シネマで映画「メゾン・ド・ヒミコ」を見てきました。火曜日レディースデーということもあり、かなり大入り満員で、補助席が出ていました。この小さな映画館が繁盛するのは、本当にうれしい限りです。友の会会員として、いつも応援しています。
この映画は、なんとなくタイトルが気に入り、それに、注目している俳優陣ということもあり、ぜひ見たいと思っていました。たしかに、面白い映画でした。田中泯がゲイの役をやるというのも、見たい理由のひとつでした。私は彼の前衛舞踏家としてのステージを見たことがあるのです、結婚前に!そりゃもう、びっくりでした。その彼が、いまは俳優として磨きをかけていると知ったのは、「たそがれ清兵衛」からでした。今回も、なかなかにミステリアスな人物を演じきっていて、見事でした。ゲイということを非難し差別する地元の周りの住民や子供たち。その中で何とか平穏に生活しようと努めるホームの人たち。そして、田中泯の演じる卑弥呼と若い恋人のオダギリジョー。母と自分を捨てた父親をずっと恨み憎んでいる沙織(柴咲コウ)の内面の葛藤もよく描かれていました。そして、ユーモアが救いとなり、最後はほっとする場面もありました。悪がきの一人は、ホームに手伝いに来たり、ちょっと未来への希望も見えて、なかなか面白い映画でした。
ゲイというのは、未だに差別される存在なのでしょうか。すっかり市民権を獲得したと思っていました。でも、実際に自分の家族となると、なかなか理解するには時間がかかるのでしょう。ただ、自分に正直に生きていくという意味で、そういう生き方もあって当然だし、偽りの積み重ねで生きていくのは、もったいないですよね。もっともっと、自然として受け入れられていけばいいのに・・・。ゲイやホモの人って、女性よりも女らしくて、繊細で心が優しいと思うのですが。男女という関係だけを尊いと決めたのは、どうしてかしら。宗教上やいろんな意図があったと思うのです。だって、ローマ時代や日本の戦国時代は、男色は当たり前だったのですから。
それはともかく、性についてとても考えさせられました。生と死、そして性とは、すべて繋がっているわけですから。切ないですね。
ゲイバーではないけれど、どうも、赤坂に本当に「卑弥呼」というバーがあるようです。たしかに、店の名前として、いいですが。昔、ファッションブランドにも卑弥呼というのがあったような気がします。
昨日、レディースデーのシネスイッチ銀座で映画「イノセント・ボイス」を見ました。かなりショッキングな内容の映画で、目を背けたくなるシーンも多々ありました。でも、それが世界のどこかでの、おそらくいまもある現実なのです。私たちが知らないだけ・・。
12歳の子どもが武器を取って闘う、兵士として訓練を受けるということが私には理解できませんでした。つい昨日まで村の友達だった子供たちが、ゲリラ側、政府軍に分かれて撃ち合いをするなんて、それも本人の意志ではなく!当然、家族は絶対にそうしたくないから、子どもを隠すけれど、見つかって政府軍に入れられるか、その前に子どもの意志でゲリラ側に参加するか。そうしない限り、生きていけない・・。というより、どう選択しても殺されるまで生きるだけのような希望のない未来が待っているのです。こんなことがあっていいのか、本当に信じられませんでした。怖くて怖くて、見ていて涙ばかり流れます。主人公達少年3人が、政府軍に引っ張られる前に決心してゲリラ側のアジトに向ったその日の夜、政府軍に尾行されていて襲撃を受け、彼らはつかまってしまいます。連行されて山深い道を雨の中連れまわされ、川のほとりで処刑されるのです。12歳ほどの子どもが後ろ向きに立たされ、銃で殺されるところなんて、余りにも酷すぎて悲鳴をあげたくなります。主人公チャバの番になったとき・・・・。
銃を取るということがどんなことか、本当におそろしく思いました。大人だって武器を持って闘うなんて、あってはならないと思いますが、子どもが持つということがどんなことか・・・。結果的に、チャバは発砲できなかった。それは当たり前です。
内戦は、日常生活の場が戦場になります(内線だけではないけれど)。とても日本では想像できないけれど、太平洋戦争では、親の世代がそれを経験してきたのです。こんなことは、どこの国でも絶対にあってはならない。国の未来を担う子どもに、そんな目にあわせてはならない。この映画をもっともっと多くの人が見て、平和への思いを大きくしていってほしい。先日のイラン映画といい、知らないということに罪を感じます。
いまは、アフリカの紛争地で実際にこういう事が起こっていると思います。それと、アルカイダとか、自爆テロに子どもも利用されています。こんなこと、いつまでも続けないでほしい。そして、内戦という、大事な子供たちを犠牲にしてしまう状況を、はやくなくすよう、国連が努力してほしいです。あの、エルサルバドルの内戦では、アメリカが政府軍にかなり援助していたそうですが、こんなことがあっていいの??内戦の原因と調停にもっと努力すべきで、武器を持たせることが解決の道であるはずがないのに!!チャバが本当はアメリカに行きたくないといったことには、もっと根深いものがあったのだと気づきました。でも、彼は生き延び、家族もいまは平和なところにいる、それが救いです。
今日、久し振りに下高井戸シネマで映画を見てきました。モーニングショー上映のイラン映画「亀も空を飛ぶ」です。今日は1日なので、サービスデー、8割くらい入ったと思います。このがんばっている映画館に大勢集まるのはうれしい限り。
この映画は、最初岩波ホールで上映していました。なんとなく、タイトルが気になったものですが、この映画は、私が反対していたイラク戦争の話です。私たちは、アメリカ主体のメディア報道ばかり見ていました。この映画には、私たちが知りえなかった本当の姿があるのです。ぜひ、多くの人に見ていただきたいと思います。戦争や民族間の紛争がどういうものか、その世界の中で、子供たちがどう生きていくのか・・・。
この映画に写っている子供たちの一人一人がとてもかわいくて、抱きしめたくなります。彼らの未来が明るいよう、祈るばかりです。よくぞ、この映画を作ってくれました。イランのバフマン・ゴバディ監督に感謝です。下高井戸シネマでは、10日まで、午前10時50分から1回の上映です。「亀も空を飛ぶ」のサイトはこちら。今年最初の映画にこの1本を選んで、私は幸運でした。
話題になっている「ホテル・ルワンダ」、日本での上映を目指して活動していた方たちのおかげで、ついに今週土曜日から、映画上映が決まったそうです。
私たちが人権に関して無関心でいられるのは、唯私たちの国が一応平和だからということについて、あまり真剣に考えたことがなかったのですが、多分、この映画を見たら、きっと考えがかわるでしょう。知らないことがいいことではなく、さらに、知ろうとしないことがますます世界の格差を生んできているのかもしれません。国を超えて、すべての人たちが同じような条件で人権を尊重されることを願うばかりです。
知ろうとした人たちの活動で、ようやく日本でもこの映画を見ることができるのは、本当にうれしい限りです。ぜひ、シアターN渋谷まで、見に行こうと思います。
「ホテル・ルワンダ」日本公開を応援する会のサイトはこちらです。今日のNHK総合のニュース10でこの会が取り上げられるそうです。楽しみです。
今日、テレビでジャン・レノが主役を演じた「WASABI」を見ました。かなり、ヘンでした。日本が舞台ということですが、どうみても、日本的じゃない感じがするのです。演じた俳優女優も、なにかがおかしい。こんな人、日本人?と疑ってしまいました。どうみても、日本で暮らしている日本人には見えないのです。言い方をかえれば、どうも、ハリウッド周辺に住んでいる日本人俳優ではないかと・・。
それに、大道具、小道具が、どうもヘン。煎じ詰めれば、外国人のイメージする日本って、こういうことなのかと、何かおかしくも悲しくなりました。夫とゲラゲラ笑ってしまいました。
最初のほうの、秋葉原あたりの弁護士事務所のセットがヘン。それに、新宿と言っていたのに、秋葉原??弁護士事務所が、これ見よがしに東洋的にするわけないし、普通、障子なんか事務所にはない。娘の住むおばさん宅も、芸者の置屋みたいで、かなりおかしい。
どうしちゃったの?国際化する前の日本っていう感じなのです。これが、外国人のイメージする日本なんでしょうか。あまりに現実的じゃないのにびっくり。
案の定、映画の中味も、かなりヘン。ま、お約束のアクションがあって、広末涼子もかわいいし、それでよければ我慢する??夫と、映画館で行ってまで見なくてよかったよね、と話しました。困ったものですね。
うーん、国内も、時代錯誤的(防衛省だって??ぞっとします。イラク派遣延長ですって?他の国はどんどん派遣をやめているのに。まず、防衛省は、国内の防衛で、学童の安全を確保しましょう!)、国外も、かなり時代錯誤。そのうえ、昭和のノスタルジーもブームだというから、これはますます混沌としてきますね。みながみな、現実逃避ですか・・・。とはいえ、珍妙な日本の描き方に、苦笑してしまいました。映画は娯楽だから、それはそれで、いいというしかないのかな・・・。
今日の昼、NHKスタジオパークを見ていました。ゲストは別所哲也さん。彼は、英語が得意なんですよね。いま、朝ドラ「風のハルカ」に出演中。今日のトークで、初めて知ったのですが、彼は、日本でショートフィルムのフェスティバルを主催しているそうな。外国では、映画監督は最初、ショートフィルムを撮るらしいのですが、日本ではあまりなじみがない。それを、ぜひ日本で見てもらおうとフェスティバルを作ったとか。うーん、すごい人です。私は、彼は日本のロバート・レッドフォードみたいと思いました。そう思ったら、何か、顔まで似て見えるから不思議。
その、彼が代表をしているフェスティバルがこちらです。もっともっと、大勢の人に知られるといいですよね。
サンダンス映画祭は、こちらです。英語だから、よくわからないけれど・・・。
こうして、何か行動を起こす勇気とパワー、素晴らしいです。ずっと続いてほしいですね。最近、忙しくてちょっと映画に行く暇もないのが、悲しい、とほほ。
そういえば、結婚前だから20年以上も昔、自主制作映画がブームだった頃、その8ミリフィルム映画を三百人劇場で見ましたっけ。この劇場、来年末には、老朽化のために取り壊されるそうです。
昨日、下高井戸シネマで「ミリオンダラーベイビー」を見てきました。最終日でした。なかなか、すごい映画で、感動しました。アメリカ映画らしからぬストーリーですね。それに、リアリティーがすごい。貧困も丁寧に描いていて、見事でした。
主人公は、貧しい家庭から13歳で飛び出し、その後ずっとウエイトレスをしてボクシングを必死で続ける31歳の女性マギー。犬にあげるといいながら、客の残したステーキなどをそっと包んで持ち帰り、自分でたべ、貯金をコツコツためて、トレーニングする。そして女性はお断りと言われながらも食い下がり、ついに念願のフランキー(クリント・イーストウッド)に弟子入りする。それは、彼の育てた有望なボクサーがタイトルマッチのタイミングでトラブルになり、逃げたからでした。微かに見え隠れするそんなファイトマネーの世界と、初めて見る女性ボクサー界。タイトルを持つ、ドイツの元娼婦で「青い熊」という反則ばかりする女性ボクサーも、すごかったです。思ったとおり、ただのスポーツ根性ものではなく、「その後」が、長いのでした。マギーの意地と誇りも、見事でしたし、フランキーが選んだことも、ある意味、愛情があったからこそなのです。これは、簡単に男女の肉体関係なんか介在しない、深い恋愛映画なんだと思います。13歳から這い上がっていきながら最後まで純粋だった彼女とそれを支えた孤独なトレーナー。二人に共通する家族という問題と、次第に太くなる絆。アメリカも、まだまだ、いい映画作るじゃないの。「マディソン郡の橋」とはまた違った、心をえぐるような恋愛映画でした。
貧困問題は、やはり、アメリカにも現実として、存在しているのです。そう、あのアメリカでも、まだまだ・・・。格差はどの国も広がっていくのでしょうね。その中で、夢のように駆け抜けたマギー(ヒラリー・スワンク)の生涯、とても忘れることが出来ません。
脇役も見事でした。ボクシングジムに現れる人間のユニークなこと。周りの背景にも気を配り、それぞれに物語をからませて、プロットがうまいですよね。
いい映画でした。ファイトシーンは余りにすごくて、ちょっと目をそらせてしまいましたが、リアリティーを追求したイーストウッドの映画は、いいですね。いい男だなーーー。
そう、印象的なのが、イエーツの詩が大好きなフランキーがつけたゲール語「モ・クシュラ」という彼女のリングネーム。アイルランド人たちが歓喜して声援します。タイトルマッチでは、フランキーはバグパイプ隊も雇っての入場でした。その意味を「勝ったら教える」と言っていたのに・・・。最後にその意味を知ったシーンでは、もう、わんわん泣いちゃいます。
昨日、下高井戸シネマで、例の映画「コーラス」を見てきました。平日でしたが、けっこう観客が集まりましたね。7割くらい入ったでしょうか。
私はフランス映画のあの独特な雰囲気が大好きです。特に、ちょっと昔の感じがなんともいえなく、好きです。それにこの映画は、フランスの少年がたくさん出てくるのです。なんてかわいいのでしょう、日本人とは大違い(おっと失礼!)。一番チビのペピノなんて、本当、お人形さんみたい。とはいえ、いろいろ問題を抱えている子供たちの寄宿舎ですから、そんな生易しいものではありません。そこに、落ちぶれた音楽家のマチュー先生が舎監として赴任され、校長先生に反対されながらも、トラブルばかり起こす不良の子供たちに歌を教えていくのです。
一番悪で、天使の顔をした悪魔といわれるモランジュには、まさに天使の歌声の少年。この子だけ、本当の声を使っているのです。サン・マルク少年少女合唱団の団員なんですから。いずれは声変わりで彼の声もかわってしまう、その前の奇跡の歌声のボーイソプラノ、この声に、世界中のおばさまたちが魅了されてしまうのです(私もその一人)。この少年が、演技が始めてなんて、とっても思えないくらい、素敵で切なくて、少年の屈折した心理を演じきっているんです(たまりませんね)。この子を見出したマチュー先生の演技も、なかなか素晴らしい。彼に会いに来るお母さんは若くて美しい。舞台が1949年だから、きっと戦争でご主人を失ったのでしょうか、それとも未婚で彼を産んだのでしょうか、とにかく毎日レストランで一生懸命働いているのです。面会に来ると、マチュー先生は、身だしなみに気を使ってそりゃもう、大変(かなりお熱のようです)。お子さんを音楽院に進めるようにアドヴァイスしたり、彼も必死。そして当然のように失恋してしまうというエピソードもちょっとコミカルに描かれていました。古い体制の、何か悪いことをすると体罰ばかりの、いまの考え方からは想像もつかない教育方針の中で、マチューは苦慮します。自分のことしか考えない校長、心を開かない子どもたち。でも、歌うことが少年たちを変えていく。いいですよねー。美しい歌声。
でも、映画館の音響が、最初何か故障していたのか、ひどい音質でした。苦情を言いたくなったくらい。途中から直ったのか、気にならなくなりました。音楽がテーマの映画なんだから、音質はちゃんとしてほしいものです!
この映画は、本当に地味ですが、フランスではじわじわと口コミで広まり、ついにはあの変質者としか私には思えない「アメリ」を超えたそうです。トーゼンよ。
子どもには希望がある。そう思うと、涙が止まらないですね。いい映画を見ました。そしていい歌声を聞きました。いつもは、パンフも買わないのですが、今回は、パンフと、そしてサントラ盤のCDまで買ってしまいました。散財したので、帰りにノリエットに寄るのは止めて帰りました。でも、帰宅後すぐにこのCDを聞いて、また癒されました。少年合唱団が嫌いな夫には、まだ買ったことを報告していません・・・。