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Bechtel (2006) 2.5 編制と還元の諸水準 Levels of Organization and Reduction 訳[中断]と生気論者ビシャの事項

2016年08月22日 00時12分32秒 | システム学の基礎
2016年8月22日-1
Bechtel (2006) 2.5 編制と還元の諸水準 Levels of Organization and Reduction 訳[中断]と生気論者ビシャの事項



   2.5 編制と還元の諸水準 Levels of Organization and Reduction [p.40]

 或る機構の構成部分とその構造の間の部分ー全体関係性は、様々な水準での存在者たちの諸型へ規律性 orderliness を持ち込むために、体系学的生物学者たちやその他の者たちが長く使ってきた階層的、部分学的枠組みの型のうちに分類されるものとして理解され得る。或る機構の構成要素的働きと全体の機能は、おおざっぱには同一の特徴を持っている。しかし、この類いの関係性を体系化することには、それほど注目は払われてこなかった。ここで重要なことは、両方の類の構成要素(諸部分とそれらの働き)が、その機構自身(或る機能を持つ或る構造)よりも下位の水準を占めていると見なされ得るということである。水準でのこの違いのゆえに、機構的説明は_還元主義的 reductionistic_であると、特徴づけられているのが通例である。[^14]しかし、機構的説明とともに生じた還元という概念は、一般的な議論において現われてきた還元とも、最近の科学哲学において現われてきた還元とも、大変異なっている。それの帰結は〔それ=最初の方の還元、の帰結も〕、かなり違うのである。これらの議論において、より低位の水準への訴え〔要請〕は、より高位の水準の効力を否定すると考えられている。或る機構の機能は、それの構成 constitution に依存する一方で、それが編制のより高い水準でのシステムのうちに組み込まれていることを含めて、それはまたそれの脈絡に依存する。機構的還元主義は、脈絡、またはより高い水準の編制の重要性を否定しないし、機構が行なうものを説明する際の或る機構の諸構成要素だけにもっぱら訴えるということもしない。諸構成要素への訴えは、いかにしてその機構が或る与えられた脈絡のなかで特定の現象を生成するのかを説明するという、大変限定された目的に、事実、かなうものである。

[20170821、訳を休止。p.45のビシャーについての箇所へ]

   2.6 編制;デカルト流機構から生物学的機構へ

 〔略〕

[p.45の第2段落]
 生物学的機構にとっての編制の意義は、19世紀に、機械論ども mechanisms[機械的仕組み]は生命という現象を説明できるということを否定する生物学者たちからの挑戦によって、思い知らされた。これらの生物学者たちは、_生気論者 vitalists_として知られ、生物学的システムが、非生物学的システムとは異なって機能する方法を強調した。クサヴィエ ビシャ Xavier Bichat (1805) は、重要な一例である。多くの点で、ビシャは機械論的説明 mechanistic explanationの企画を追求していた。彼は、身体の様々な器官の振る舞いを、組織(これらから器官は作られる)によって解明しようとした。これらの器官を様々な型の組織へと分解した。組織は、働きにおいて変異があり、彼は、どんな違いを器官が行なうのかを説明するために、様々な型の組織の働きに訴えた。しかし、組織の水準に到達したとき、ビシャは機械論の企画を棄てた。これは、彼が機械論的説明を否定すると思った二つの特徴を、組織が示したからである。第一に、組織は、外的刺激に対する反応が予見不可能〔非決定論的 indeterministic〕である。対照的に、機械ども machines は、彼が考えるところでは、つねに同一の刺激が与えられたら同一の反応をする。第二に、諸組織は、それらを脅かす環境の諸力に抵抗するように思われる。機械をばらばらにしたり中断したりして、その働きを止めることは、比較的容易である。しかし、生きている組織は、阻止したり殺したりすることが、しばしば難しい。これらの違いは、ビシャの考えるところでは、生きている組織についての十分な機械論的説明を提供するどんな希望も弱めるものである。
 数十年後、クロード ベルナール Claude Bernard (1865) は、ビシャへの機械論的回答の概略を述べた。それは、ビシャが指し示した諸特徴を説明できるであろう、生きているシステムでの編制の諸原理を同定することを含んでいた。ベルナールは、