検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

総括原価方式を温存した料金値上げはとんでもない

2012年02月14日 | 東京電力の値上げ問題
 上記図は東京電力が電気料金の値上げ説明に使っているものです。(東京電力HPから作成)
 この図から東京電力の今回の電気料金値上げの妥当性を検証します。

「燃料費等」と「燃料費等以外の費用」
 まず費用の問題です。「燃料費等」と「燃料費等以外の費用」と区別していますから、今回の値上げは「燃料費」の他、燃料費にかかわる保管・貯蔵費用など付帯的な費用の増加を含んだものであると推定できます。そう考えると「燃料費以外の費用」が燃料費本体を上回ることはありえません。
 実際、燃料費等について東京電力は「火力燃料費、核燃料費、購入電力料など」と説明をしていますから「燃料費」の増加を問題にしているのは明らかです。ところがよく検証すると「違う」のです。

有価証券報告書の燃料費
 火力発電には石炭火力、石油火力、天然ガス火力の種類があります。それらを含めて火力発電と呼んでいます。東京電力の有価証券報告書の損益計算書に電気事業営業費用明細書があります。燃料費の内訳として石炭、燃料油、ガスに区分して燃料費を記載しています。その合計金額は1兆4,329億円です。
 一方、20年度営業費用明細に記載している電気事業営業費の汽力発電費は2兆3,654億円です。これは今回値上げ説明に使っている2兆3,656億円とは端数の違いを無視すれば一致します。東京電力は電気事業営業費を基準にしていると推認できます。
 そうであれば東京電力が問題にしているのは「燃料費」ではなく「経費」全体を問題にしていると言えます。そうなると話はまつたく違ってきます。

総括原価方式の特権を撤廃する
 問題になるのは電力会社だけに認めている「総括原価方式」という特権的、特例的な会計処理です。「総括原価方式」ではすべての経費に一定利潤を上乗せしたものが「原価」です。投資をすればするほど、お金を使えば使うほどパイがふくらむシステムです。だからテレビでオール電化の宣伝をじゃんじゃんする。原発立地の自治体に寄付金をふんだんにつぎ込む。記者や政治家を接待する。学者・研究者に研究費を渡して取り込む、OBが天下った子会社に世間相場より高い単価の仕事を発注したり、備品を購入します。
 それらすべてが経費になり、その上に利潤を乗せることができるのです。普通の会社は違います。経費削減に努力どれだけ努力していることか。みなさん、体験していることです。
 この「総括原価方式」を残して従前の利益を確保するのが今回の料金値上げです。これはとんでもないです。普通の企業と同じ会計処理、税法を適用し、現行「総括原価方式」は撤廃することです。そうすれば寄付金、広告費、接待交際費を削減することになり、現在の営業コスト増加は電力会社内部で吸収できます。
 重ねていいます。電気料金の値上げは必要ありません。