検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

電気料金値上げ、根拠をきちんと説明せよ

2012年02月04日 | 東京電力の値上げ問題

電気料金値上げ、根拠をきちんと説明せよ
 東京電力の電気料金値上げ問題は、他の電力会社もかたずを飲んで成り行きを見守っているようです。
 それにしても1月17日に発表した東京電力の「自由化部門」(大口需要者)を対象にした17%になる電気料金値上げ発表は誰もが納得できないものでした。
 大幅値上げをするのに「根拠」資料の公表がまったくないのには驚きました。普通の会社は「理由」を説明書も作って理解してもらうため、頭を下げ、ていねいに説明します。
 東京電力には頭を下げる姿勢がまったくありません。記者会見で料金値上げは「権利であり、義務だ」と西沢社長は発言し、社会の批判を浴びましたがそれに対する反省はまったくありません。心底、料金値上げは「権利であり、義務だ」と思っているからです。
この姿勢は「地域独占企業」のおごからきます。この体質は東京電力だけではありません。他の電力会社もすべて「地域独占体」です。例外を除いて、電気は購入先を選ぶことができない環境をよしとして電気料金を「通告」で値上げしようとする行動を生んでいます。だが今回の東京電力の振る舞いには道理がありません。道理のない振る舞いは「横暴」です。
 そうした中で、東京電力を除く8社の平成23年第3四半期(4月から12月)の決算を1月末にあいついで発表しました。2月1日、朝日新聞が「9社が使った石油は、前期の2.3倍の958万kl、液化天然ガスは1.3倍の2,099万㌧、東京電力は11年度全体の燃料費が前年度比、8,300億円増える見通しを明らかにしている」との記事と共に22年度比燃料費増加額の各社別一覧表を載せました。
この記事を読むと、どう読んでも「電力会社は大変なことになっている」としか思えない記事です。電気料金値上げもやむを得ない。原子力発電も早く再稼動した方がいい。読者をそんな気持ちにさせる記事です。

朝日の記事、出所が不明朗
 朝日の記事と電力会社が発表した「平成23年第3四半期(4月から12月)決算」を比較すると燃料費に下記表のような違いがあります。従って朝日の数値は発表の決算資料とは別の情報による数値だと推測するのですが「9社が使った石油は、前期の2.3倍の958万kl、液化天然ガスは1.3倍の2,099万㌧」は、「本当!」とびっくりです。
 原子力発電が相次いで停止している関係で火力発電の稼働率はあがり、火力発電の発電量は対前年比で上がっているのは事実ですが「電力調査統計」の毎月統計を集計すると、火力発電が前年同月比、2.3倍稼動した数値はありません。どこから出てきた数値なのか、朝日は出所も明らかにすべきです。
 ただ、各社の有価証券報告書を見ても、昨年4月~12月、電力生産がどのように行われたのか。どうように経費が増加したのか、説明はできていません。今後、電気料金値上げは間違いなく浮上します。電力会社は国民が状況を理解できる資料を公表し、ていねいに説明すべきです。
 昨年4月~12月、電力生産はどうであったのか。資料公開・説明で何が欠けているのか。(次号につづきます)

 上記表、左欄の数値は朝日新聞が掲載した燃料費、右欄の数値は各社の中間報告から拾った燃料費。「燃料費」が多かったり、少なかったり。電力会社はていねいに状況を説明すべきです。