検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

東電の決算を検証

2012年02月16日 | 東京電力の値上げ問題
東電の23年度第3四半期決算から下記のことが分かりました。
 火力発電総合単価=10.5円

22年度同期比
 電力販売量は257億kwhの減少。(23年度販売量は1,930億kwh)
 電気料収入は1,908億円の減。(23年度電気料収入は3兆3,715億円)
 火力発電量は228億kwhの増。(23年度火力発電量は1,478億kwh)
 火力発電の燃料費は4,844億円の増。(23年度火力発電燃料費は1兆4,913億円)
 燃料費価格の上昇(全日本原油CIF価格)。通期平均1.2倍の上昇、3,350億円増。為替レートの円高
 原子力発電の発電量は391億kwhの減少。(23年度の原子力発電量は246億kwh)

以上のことから下記のことが分かります。
 販売電力の原価は1kwhあたり7.42円
 電気料収入減(1,908億円)÷販売電力量減(257億kwh)=7.42円

 平均販売電力料は1kwhあたり17.46円
 電気料収入(3兆3,715億円)÷販売電力量(1,930億kwh)=17.46円

火力発電燃料費、4,844億円の増について。
 この4,844億円には輸入燃料費の価格上昇分が含まれています。
この間の円高による為替レートを勘案した燃料費の上昇分は2,580億円です。この上昇分は「燃料費調整」で電気料金に上乗せしてすでに徴収しています。したがって原子力発電停止による火力代替で増加した燃料費は2,200億円ですが発電した電力は販売しています。原価(10.5円)でなく17.46円(平均販売電力料)で販売していますから燃料費以上のお金が電気料金収入として入っています。ところが東京電力は原子力発電停止による火力発電の稼動によって燃料費が前年同期比4,844億円も増えた。と大問題にしています。収支バランスで見ると火力発電の稼動は電気料金収入を上げているのです。

火力発電単価の引き上げの問題
 火力発電の単価は22年度は8.06円でしたが23年度は10.5円に大幅に上っています。この間、化石燃料価格が大幅に値上がりしていますが、値上がり分は需要者(消費者)に「燃料費調整」で転嫁して回収しています。電力会社としていっさい負担をしていません。したがって23年度の火力発電総合単価=10.5円はみかけの単価(水増し単価)です。実際に近い単価は「電気料収入減(1,908億円)÷販売電力量減(257億kwh)=7.42円」です。
 このように東電の決算報告には不透明で辻褄が合わないことがいくつもあります。だれもが分かる資料公開と説明をしなければいけないと思います。電力事業は民間企業とはいえ公共的事業です。わかりやすく透明であることが大事です。