検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

直接でも間接でも排出を増やしている電力会社 連載小説341

2013年07月26日 | 第2部-小説
 このグラフは、直接排出(一次エネルギー消費)と間接排出(最終エネルギー消費)の京都議定書の基準年(1990年)からの二酸化炭素排出量の推移を各部門別に表わしています。

 直接排出とか間接排出とか言われても「分からない」人が多いと思います。そこでちょっと説明します。直接排出は一次エネルギーの消費です。電力会社は化石燃料(石油や石炭)を焚いて発電します。家庭で使う石油ストーブは灯油を焚きます。原料を直接燃焼した時に排出した二酸化炭素の排出量、それが直接排出です。間接排出は最終エネルギー消費です。化石燃料を焚いて作られた電力を使う。これが最終エネルギー消費です。

 さて、話をグラフに戻します。
2つのグラフを見ると直接排出でも間接排出でも増やしているのはエネルギー転換部門(発電部門)だけです。政府やメディアは家庭部門の排出を大きく取り上げますが家庭部門は直接排出ではかなり奮闘しているのがわかります。両方とも増やしているエネルギー転換部門はどうなっているのか、もっと問題にしなければいけないのではないでしょうか。
 そう思いません。

 富田の問いかけに占部和紙工房に集まった仲間は、うなずいた。
「はっきり言って、私は電力会社は二酸化炭素排出削減に真剣に取り組んでいるとは思えない。それがこの資料です」
と言って、別のグラフを映した。