検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

原発再稼動は自然エネルギーを排除する 連載小説328

2013年07月10日 | 第2部-小説
 ところが国と電力会社は原子力発電を「安全が確認できれば」逐次、再稼動させようとしています。理由として①原子力発電がなければ安定した電力の供給できない、②火力発電の追い焚きが増加して、電力料金が高くなる、③温室効果ガス排出量を減らすために不可欠、④日本の原子力発電技術を守るため――などをあげています。

 「原子力発電がなければ安定した電力の供給できない」の表向き説明は、夏や冬の急な暑さ、寒さのピーク電力需要対策に必要というものです。だがピーク需要問題は、この2年余の取り組みで解決済みの問題です。にもかかわらず電力需給検証小委員会は電力需給の方針を決める中で、「原子力発電が稼動停止する中で、電力需給は未だ予断を許さない状況にあると言える」と、供給不安をことさら強調するのは原子力発電の再稼動は必要だということを国民に印象づけるためです。

 しかし、原子力発電を再稼動すると太陽光発電や風力発電などを送電線に接続しなくても電力は電力会社で発電する電力量で間に合います。太陽光発電や風力発電は天候に左右され、電力会社で供給調整をするのはできない電源です。したがって電力会社は自然エネルギーが送電線に入り込むのを嫌い、排除したい電源です。実際、電力会社は自然エネルギーの接続にこれまで、徹底して抵抗してきました。

 再生可能エネルギー特別措置法(「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」)に基づいて2012年(平成24年)7月、「固定価格買取制度」が発足しました。法の原則は電力会社に「接続をこばんではならない」と明記しています。だが第5条付則で電力事業者に「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき」は接続を拒否できるとしました。北海道や東北ではこの付則に基づいて、風力発電の接続制限が起こっています。

 原子力発電の再稼動は、国民に広がっている太陽光発電などの自然エネルギーの普及を抑え、電力会社の地域独占とエネルギーの大量浪費をつづける宣言以外の何ものでもありません。