青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第十一話①

2021-03-31 | 第十話〜第十二話

翌日は雲一つない快晴だった。

まだ散らかっている部屋を見て、ミエの母親が声を掛ける。

「ファン・ミエ !アンタ部屋片付けたの?ゴミ箱がいっぱいだけど!」

「帰ってから片付けるー」

ミエはそう返して、愛犬のムンクにいって来ますのチューをしようとした。

アンタはどーしたら挨拶してくれるのかな?チュチュチュ

プイッ

相変わらずの塩対応だが、可愛い家族の一員だ。

ミエは靴紐を結び終えると、学校へ向かうべく家を出る。

「行ってきまーす」

[朝だ]

気持ちの良い早朝、のハズだが、ミエの表情は浮かない。

[せっかく早く家を出たファン・ミエだが]

[朝からまた隣の席の人に遭遇]

脳裏には、ユンヒから言われた言葉が蘇る。

「アンタの隣の席の人のこと、よく考えてごらん」

[とりあえずファン・ミエも考えてみようと思ったものの]

[ぶっちゃけよく分からなかった・・]

[いや、ファン・ミエはあの人を透明人間認定したのだった]

 

[ヤツはミエがGを捕まえても、ありがとうの一言もない]

[ヘタに知り合いとして振る舞うと怒るので]

[知らんふりして追い抜かす]

それがミエの下した結論だった。

トトトト、とミエは早足でチョルを追い抜かしにかかる。

グキッ

ドッ

するとなぜか、足を捻って転んでしまった。

突然道に倒れたミエを、チョルは怪訝そうな顔をして見ている。

そしてそのまま、行ってしまった。

[あーーもう死にそう]

恥ずかしさのあまり、ミエは思わず涙目だ。

そしてふと、こんなことを思う。

[そういえば、去年は一度も登校の時に見かけたことなかったのに]

「不思議と会うよね〜〜〜」

ミエはすっくと立ち上がり、そう呟いて一人学校へと向かった。

 

<面白くないじゃん>

青少年体操〜 軽くスキップ運動〜

体育ジャージに着替えた生徒達は、まずは準備運動だ。

[3年生1学期 体育最初の授業は短距離走。

と言うのも、]

[ファン・ミエが非常に自信のある種目なのである]

気合の入った体操で、体の準備もバッチリだ。

しかしミエが自分の順番を待っている間、ある出来事が起こった。

ピッ

ダダダ・・

チョルが、すごいタイムを叩き出したのだ。

「6.2秒!」

わぁ、と感嘆の声が上がる中、ミエは動揺しまいと必死だった。

背が高いもん そりゃ当然早いでしょ

[ファン・ミエ 50m 7.8秒]

自分なりに好記録 だったようだ。よかったよかった。

 

 

<なんて?>

続いて、スタートの姿勢 練習と確認 に移る。

タンッ!

チョルは、スタートも完璧だ。

すると、メガネを指でクイッとさせてゴン・チソンが言った。

「おい、大魔王・・」

「なんかちょっと・・カッコよくないか?」

ん?

ストレッチ中のミエは、首を傾げるばかり。

そんなこんなのうちに、体育の授業は終わった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第十一話①でした。

準備体操として出てきた「青少年体操」ですが・・

청소년체조

多分これのハズ・・!思ったよりアクティブな感じでびっくりでした

韓国の子達はこれで準備運動してるんですね〜

 

十一話の扉絵はこちら

聴いてるのMDかな?!懐かしい・・

 

第十一話②に続きます

 


第十話④

2021-03-29 | 第十話〜第十二話

ミエがユンヒ達と「モ・ジンソプ遭遇事件」で盛り上がっている頃・・。

こちらキム・チョルは、一人悶々としている最中だった。

[しばらく苦悶の時を過ごすキム・チョル]

先ほどの「Gの襲撃」での己の醜態が蘇る。

ズーン・・

休み時間いっぱい、チョルは誰もいない場所で落ち込み続けたのだった。

[そして至福の時を過ごしてきたファン・ミエは]

席に着く前に、ユンヒがミエをじっと見る。

いいね?私の話思い出して

ユンヒの「話」とは、とにかく”隣の席の男に気を付けろ”ということだ。

けれど今のミエには、何も響かないようである。

知らんよ、とにかく気分がいい〜♪

渦中の”隣の席の男”は禍々しいオーラを出していたが、

彼は透明人間だと思うことにして気にしなかった。

怖がっていた彼の為に、とGを捕まえたミエ。

けど先程はお礼どころか一言も何も言われなかったことに腹を立てていたが・・。

 

ま、捕まえろって頼まれたワケじゃないしね〜

[少々心が寛大になったのだった]

そう思えるくらいまで心は持ち直していた。

イケメンの影響はすごいものがある。

 

 

 

家に帰ってからも、ミエは机に向かっていた。

制服はベッドに脱ぎ捨て、カバンは床に転がっている。

ゴミ箱の中は、そろそろゴミがいっぱいだ。

大きなスニーカーが入っているから尚更だろう。

 

”大魔王”が、キラキラした背景を背負って笑っていた。

「お前、いい子だな。新入生か?」

そのあまりにもタイムリーな内容に、ミエは思わず固まった。

今日目の前にいたモ・ジンソプを思い出す。

「良い子だね〜」

興味津々

まるで現実世界との狭間にいるようで、ミエはドキドキしながら物語を進めて行く。

「俺らと行くよな?!」「俺ら”レッドドラゴン”に入れる最後のチャンスだ」

バッ

「行かねぇ」「何?!先輩に向かって・・」

「くっ・・覚えてろ!大魔王・・!」

なんだかどこかで見たことがあるような展開だ。

けれど主人公は先程思い浮かんだモ・ジンソプじゃなく・・

門のところで高校生相手に凄んでいた、キム・チョルだった。

するとそこで、母親の声がした。

「ファン・ミエ !部屋片付けて勉強しなさいよ!

集中できるの!?まるで豚小屋みたいな・・」

「はーいわかったぁ!」

返事をしながら手慣れた様子で漫画本を教科書の下に仕舞い、そう返事をした。

部屋を見回してみる。

グチャ〜

あーめんど

とりあえずこのグチャグチャが見えなければよかろう、

そう思ったミエは雑多な物をベッドの下に仕舞うことにした。

「何やってんの!

「ちゃんと片付けなかったら明日全部捨てるからね?!これは警告!」

「ダメ!片付ける!」

「勉強もしてるし!」

ミエは母親にそう言い返すと、タンスの上にある小銭を手に取った。

「お母さん、勉強しながら食べるお菓子買ってくる!」

ドドド、と階段を駆け下り、コンビニへと急ぐ。

「お菓子お菓子」

 

 

通りに出ようとした時、目の前を自転車が横切った。

びっくりして、思わずミエは小銭を落とした。

自転車を目で追うと、彼が乗っていた。

そうだった、向かいに住んでるんだった

そんなことを思い出しつつ、落ちた小銭を拾う。

 

顔を上げてみると、もうとっくに姿は見えなかった。

ふぅむ、と険しい顔をするミエ。

「アンタ、毎日こんな時間にどこ行くの?」

そう独言て、思い出す風景があった。

 

暑い暑い夏の日。

6年前の、抜けるような青い空の下。

 

 

森林の中で蝉の大合唱が聞こえていた。

ミエはサンダルで、

砂利道に立っていた。

 

顔全部隠れるくらいの大きなサンバイザーをした少年は、

家の手伝いの合間に手足を投げ出して眠っていた。

「うわ〜?」

少女ミエはそう言って、少年チョルの顔を覗き込む・・・。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第十話④でした。

十話はここまでです。

現在と6年前が交互に出てくるこの感じ・・!

スンキさんワールドですね〜〜

早く全貌が知りたいです

そしてやはり気になる「となりの初恋はランキング1位」・・笑

 

第十一話①に続きます


第十話③

2021-03-27 | 第十話〜第十二話

ミエが足を洗っている途中で、授業終了の鐘が鳴った。

「あ、チャイム」

 

<巡り会い>

「う〜」

靴下通過↑ してしまったGの汚れは、水で洗っただけではなかなか取れない。

すると、男子生徒達がワイワイしながら建物から出て来た。

「おっ、運動場俺らが一番乗り〜」

「ん?なんだ?」

「なんか足洗ってる子がいる」

彼らの話題が自分のことだと気づいたミエは、フッとその声の方を向く。

「一年かな?」

あんぐりと口と目を開けたまま、その瞬間、ミエの中の時が止まった。

「こんにちは新入生ちゃん。なんで一人なの?授業たった今終わったとこよ?」
 
「お兄さん達は三年生だよーん」「お兄さんてww」
 
 
何人もに話し掛けられても(しかも一年生と勘違いされて・・)、
 
ミエの目には彼しか入って来なかった。
 
そしてそんな彼が、ミエのことを見つめてこんなことを言ったのだ。

「う〜わ〜」

「キレイな子。良い子だね〜」

「行こw」「おい走ろーぜ」

まるでスローモーションのように、それでいて早送りのように、

彼らは行ってしまった。

ミエはポツリと彼の名を口にする。

「モ・ジンソプ」

「うわぁ・・」

止まっていた時が、感情が、一気に駆け抜けたようだった。

ミエは目をキラキラさせてその高揚を味わう。

「まじでヨンタン兄さんとそっくりだった・・!」

ヨンタン兄さん・・それはユンヒの推しだ。

ファイアーボーイズのセンターの彼に似ていると、ミエはユンヒから散々聞かされていたのだった。

そしてここで、その学校一イケメンの彼についての説明を聞こう。

 

 

[モ・ジンソプ(16) 百済中一のイケメン]
 
 
[某芸能人を彷彿とさせる容貌] [街中のスカウトを断る]
 
[派手な女性遍歴] [人気沸騰中の某漫画の男キャラに似てるとの意見も]
 
[百済中だけでなく他校にもその名轟く人気者]

[残念ながら、同じ中学に約三年通うも間近で見たこともなかったファン・ミエは]

「あれ!モ・ジンソプ!」「どこ?!」 ↓あれ

「まじでヨンタン兄さんとクリソツじゃない?!」

ではここでファイアーボーイズの紹介も行こう!

ファイアーボーイズ
後方中央:ヨンタン/リーダーボーカル 
後方左から二番目:クゴンタン/ダンス  
後方左端:ポクタン/ラップ、ダンス 
後方右端:スリュタン/英語ラップ 
前方左:ソクタン/ラップ、ボーカル
前方右:ペクマタン/ボーカル 

そんな彼らをテレビや雑誌越しに見慣れたミエも、確信を持ってこう言う。

「いやもーまっっじでイケメンだった!びっくりだよ!」

[非常に楽しかった]

「みんな〜〜〜〜〜〜〜!!」

今世紀最大のニュースを報告すべく、ミエは一目散に仲間の元へと急いだのだった・・。

 

 

 

「そこで私とバッチリ目が合ってさ、モ・ジンソプが私に話しかけたわけ」

「私を見て、キレイで良い子だって・・!」

「?」

「なんかよくわかんないけどよかったね〜〜!」

「うん、怖いくらいイケメンだったよ!」

「やっぱりヨンタン兄さんにそっくりだった!」
 
「ヒュー!やっぱりね!」
 

「けどモ・ジンソプに足の裏を見せてしまった・・Gの付着した・・」

「大丈夫だよ!」
 
「昔だったら結婚してたよ!」←根拠なし
 
「ちょい恥ずかしいかもだけど、とにかく良かったじゃん!滅多にないことだもん!」
 
「そうだよね?それじゃとにかく・・」

「宝くじを買いたい・・!」「おぅ・・」

 

[ちなみにもちろん当選などせず、その後しばらくモ・ジンソプの顔も見ることはできなかった]

身に余る幸運は、宝くじの分までは余ってはくれなかったようだ。

 

+)ユンヒの純情

「い、いやヨンタン兄さんの方がもっとかっこいいじゃん!

裏切ることなどできぬ・・!」

「愛してる!!ヨンタン兄!!永遠に!!リーダー!」

[誰も何も起こらなかった]

 

ユンヒの一瞬の迷いも、ヨンタン兄さんへの愛には代えられなかった。

こうして「ミエ、モ・ジンソプと遭遇事件」は盛り上がったまま終わったのだった・・。

 

 

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第十話③でした。

おお〜〜〜!!出たモジンソプ!!

ようやくミエちゃんとの接点ができましたね!

そしてファイアーボーイズの詳細も!!

ゆっくりと明かされていく感じが良いですね

 

第十話④に続きます


第十話②

2021-03-25 | 第十話〜第十二話

まだ授業中ではあるが、ミエはヒョコヒョコと歩きながら運動場へと出て来た。

Gを踏んで汚れた足を洗うためだ。

水道で靴下を洗う。

冷たい水で洗っているうちに、胸の中がムカムカして来た。

「何?なんなん?キム・チョル!」

「無駄に捕まえて、足冷たいし、汚いとか言われて」

「ユンヒは一体何が怖いって言ってるの?

あんな気が弱い子の!て言うかあの子だって怖がってたのに、捕まえた私に感謝もないじゃん?」
 

昔と変わらず今も、キム・チョルは虫を怖がっていた。

だからミエがやつけてやったのだ。

それなのに感謝の一言もないとはどういうことだ。

また無視した 毎日無視する

思い出せば出すほど、ムカムカが増す。

あの子昔からそうだった。怒ったら大声上げて、
 
睨んできて
 
田舎には同い年の子他にいなかったのに!私を置いてって!

何度「一緒に行こう」と言ったって、スタスタと歩いて行ってしまう背中。

あの頃のミエが、ふてくされて一人こう言う。

「ヤーーなヤツ!」

「怒んないで一緒に遊んだらダメなの?」

悔し紛れに石を放ると、ぼちゃんと音と飛沫を立てて石は沈む。

水の底が見えるほどの綺麗な川。

一緒に遊べたらどんなに楽しいだろう。

つまんない・・

お腹へった・・

つまらないのとお腹がへったので、ミエは思わず泣いてしまった。

すると・・・。

 

<私が知っていたその子は>

 

「おい!」

「とうもろこし食べっから来い!」

「うんっ!」

突然チョルから呼ばれ、ミエは嬉しくてすぐに岩から下りた。

スタスタ歩くチョルを必死に追いかける。

「い、一緒にいこ!」

ミエの足元は、歩きにくそうなサンダルだった。

チョルはそのことを知って、不本意ながら歩を緩める。

するとミエは躓きかけて、その拍子にチョルにもたれかかった。

「おい!ベタつくんじゃねぇ!「違うよ!転びかけたの!

 

<仲良くなれるはずない>

家に帰ってみると、茹でたてのとうもろこしがもうもうと湯気を上げていた。

 

「ミエちゃん、美味しいかい?」「はい!」

「たくさんお食べ〜」「はい!」
 
 
ミエの父親が娘の食べっぷりに感心する中、スンジョン姉さんがこう提案した。
 
「家族みたいなモンなんだし、二人で何かかくし芸してよ!
 
チョルとミエがこんなド田舎にいるなんてレアだしさぁ〜!」

家族達は笑いながらそれに乗る。とうもろこしをやけ食いしている息子の前で。

「今日のゲスト歌手はチョルとミエです〜」「そりゃ面白い。二人、前に出なさい!」

「お父さんとお母さんも一緒にダンス踊ってよ!」「ゴザでも敷きましょうか」
 

「おい!やめろぉぉ!!!

[その後全く目も合わせてくれなくなった]

私も嫌だったのに、と涙目になるミエだったが、やはり声の大きい方が優勢のようだった。

そして・・

+)キム家の末娘はお昼寝中

キム・ファニ3歳 

7つ離れた妹はその頃まだ小さく、騒ぎの中でもお昼寝中だったらしい。

 

・・そんな6年前の記憶を、ミエは足を洗いながら思い出していた。

 

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第十話②でした。

妹ちゃんはファニちゃんと言うんですね〜可愛いですね

そして6年前のミエが着てるTシャツが「B」ってw

細かいネタが面白いです

 

第十話③に続きます

 


第十話①

2021-03-23 | 第十話〜第十二話

「うわああ!」「そっち行くぞ!」

3年12組に、突然Gが現れた。

授業中にかかわらず、教室内はパニックである。

「きゃあああっ!」「うわああ!」

するとそこで、遂にファン・ミエが躍り出た!

捕まえる!

(先生は「みんな静かに」と言うが、これが静かにしていられるだろうか)

ミエはGに照準を合わせると、一気に仕留めにかかった。

G目掛けて足を振り下ろす!

グチャッ

「およ?」

・・結論を言うと、始末には成功した。

成功したのだが・・。

「うぇぇぇ!」「ぎゃあああ!」「うわあああ!」

[3−12は大騒ぎであった]

・・それもそのはずだ。

Gを踏もうと足を振り下ろした勢いで上靴が飛んで行き、

ミエは靴下でGを潰してしまったのだから・・。

 

 

<G-Shock >

「うわあああ!どうすんだよ!」「ウエェッ」

「ありゃ上履き飛んでった・・」

ミエは念押しにGを踏んだ足をグリグリと動かした後、

スッと上に上げてみた。

「あー!足あげないでぇぇ!」「ぎゃあああ」

「静かに!もうやっつけたから!騒がないで!」

皆の大騒ぎはおさまらない。

一人の男子がミエに向かってこう言った。

「きったねーー!」

「何よ!捕まえたのに・・」

みんなのためにGをやっつけたのに、そんなことを言われては心外だ。

振り返って言葉を続けようとした時、隣の席の人が目に入る。

大きな体を縮めたその姿を目にして、ミエは再び6年前の夏を思い出す。

 

 

<怖かった>

 

田舎の夏、と言ったらもうGは風物詩みたいなものだろう。

しかし・・。

「ぎゃああああ!!」

6年前のキム・チョルが、大声を上げて逃げ惑う。

ミエは怖がるチョルの元へと駆けつけ、威勢よくこう言った。

「私が捕まえるよ!」「うわあああっ!ヒィィ!」

「このぉぉぉ!死ねぇぇぇ!」「あっ・・やめろよっ!!」

素手でGをやつけるミエに、チョルは顔面蒼白である。

そんな彼らの様子を見ていた祖父母とスンジョンが、笑っていた。

「小さいのに上手に捕まえるねぇ」「うちのチョルは足が多い虫ってだけで大声出すんだから」

「図体はでかいのにね〜」

「私が捕まえたからね!チョル!」

そう言って、満面の笑みで潰されたGを見せるミエ。

チョルの血の気が引いていく・・。

うわあああああああ

 

「一緒に行こうよ〜!一緒にいこ!!」

・・という背景があっての、このチョルの冷たさだ。

ミエが追いかけても追いかけても、チョルはスタスタと歩いて行ってしまう。

「私も一緒に行く〜!」

「ミエちゃんと仲良くしろって言っただろ!」

「うっ」

 

 

 

 

そうして父親にゲンコツを喰らったことを、

チョルもまた思い出していた。

ハッ、と我に返る。

 

「あーそっか、あんたゴキブリ・・」

 

ミエからそう言われ、チョルは改めて自分が縮こまっていたことに気づいた。

周りと見回すと、

クラスメートがこちらを見ている。

チョルはすぐにバッと体を起こした。

「さ、もう一度集中集中!ファン・ミエは軽く洗って来なさい!」

「ハイ・・」

「ファン・ミエ 、かっちょいー!」

友からそう言われ、ミエは得意気な顔をしてもう一度チョルの方を振り返った。

私が捕まえたんだよ!

フイッ

しかしチョルはミエから顔を背けると、「話しかけんなオーラ」を出して黙り込んだ。

話しかけんな 話しかけんな 話しかけんな 話しかけんな

「はい、黒板注目ー」

そして再び授業は再開し、ミエは足を洗いに外へ出た。

ミエの胸中はこんな思いでいっぱいだ。

 

<私が捕まえたのに>

モヤモヤとした気持ちを抱えながら、ミエは運動場側の手洗い場まで歩いて行く・・。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第十話①でした

ミ・・ミエちゃん・・マジか・・

足で潰すとか凄すぎますね・・。小さい頃は素手だったし、全然怖くないんだろうなぁ。。

うちにも退治に来て欲しいです・・(切実)

 

今回第十話の扉絵はこちらです

中学生らしいカットですね

微笑ましいです

 

第十話②に続きます