翌日は雲一つない快晴だった。
まだ散らかっている部屋を見て、ミエの母親が声を掛ける。
「ファン・ミエ !アンタ部屋片付けたの?ゴミ箱がいっぱいだけど!」
「帰ってから片付けるー」
ミエはそう返して、愛犬のムンクにいって来ますのチューをしようとした。
プイッ
相変わらずの塩対応だが、可愛い家族の一員だ。
ミエは靴紐を結び終えると、学校へ向かうべく家を出る。
「行ってきまーす」
[朝だ]
気持ちの良い早朝、のハズだが、ミエの表情は浮かない。
[せっかく早く家を出たファン・ミエだが]
[朝からまた隣の席の人に遭遇]
脳裏には、ユンヒから言われた言葉が蘇る。
「アンタの隣の席の人のこと、よく考えてごらん」
[とりあえずファン・ミエも考えてみようと思ったものの]
[ぶっちゃけよく分からなかった・・]
[いや、ファン・ミエはあの人を透明人間認定したのだった]
[ヤツはミエがGを捕まえても、ありがとうの一言もない]
[ヘタに知り合いとして振る舞うと怒るので]
[知らんふりして追い抜かす]
それがミエの下した結論だった。
トトトト、とミエは早足でチョルを追い抜かしにかかる。
グキッ
ドッ
するとなぜか、足を捻って転んでしまった。
突然道に倒れたミエを、チョルは怪訝そうな顔をして見ている。
そしてそのまま、行ってしまった。
[あーーもう死にそう]
恥ずかしさのあまり、ミエは思わず涙目だ。
そしてふと、こんなことを思う。
[そういえば、去年は一度も登校の時に見かけたことなかったのに]
「不思議と会うよね〜〜〜」
ミエはすっくと立ち上がり、そう呟いて一人学校へと向かった。
<面白くないじゃん>
青少年体操〜 軽くスキップ運動〜
体育ジャージに着替えた生徒達は、まずは準備運動だ。
[3年生1学期 体育最初の授業は短距離走。
と言うのも、]
[ファン・ミエが非常に自信のある種目なのである]
気合の入った体操で、体の準備もバッチリだ。
しかしミエが自分の順番を待っている間、ある出来事が起こった。
ピッ
ダダダ・・
チョルが、すごいタイムを叩き出したのだ。
「6.2秒!」
わぁ、と感嘆の声が上がる中、ミエは動揺しまいと必死だった。
背が高いもん そりゃ当然早いでしょ
[ファン・ミエ 50m 7.8秒]
自分なりに好記録 だったようだ。よかったよかった。
<なんて?>
続いて、スタートの姿勢 練習と確認 に移る。
タンッ!
チョルは、スタートも完璧だ。
すると、メガネを指でクイッとさせてゴン・チソンが言った。
「おい、大魔王・・」
「なんかちょっと・・カッコよくないか?」
ん?
ストレッチ中のミエは、首を傾げるばかり。
そんなこんなのうちに、体育の授業は終わった。
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第十一話①でした。
準備体操として出てきた「青少年体操」ですが・・
청소년체조
多分これのハズ・・!思ったよりアクティブな感じでびっくりでした
韓国の子達はこれで準備運動してるんですね〜
十一話の扉絵はこちら
聴いてるのMDかな?!懐かしい・・
第十一話②に続きます