その頃のミエたちは・・・。
「うわああああ〜〜〜!」
絶賛非常事態継続中である。
「おい待てっ!」「コラァ!中坊ども!」「逃げろっ!」
「うわああ!」
必死に走りながら、狭い路地へと逃げ込んだ。
そこで足がもつれたミエは、派手に転んでしまう。
「あっ!」
「きゃっ!」
「こっちだ!捕まえろ!」
絶体絶命の大ピンチ。
もうダメだ、と思ったその時!
「起きろっ!」
ふわっと体が持ち上がった。
ミエはホンギュとジョ・ハンに支えられながら、なんとか再び走り出した。
「待てーっ!高句麗!百済!新羅ーっ!」
[早く走れっ!中坊たち〜!]
違う中学の三人が、手を取り合って必死に走った。
がんばれ、中坊たち!
<黒騎士チャンス>
結果、ミエたち三人は高校生を巻くことに成功した。
高校生たちは、路地を一つ一つ、ゆっくりとした速度で歩きながらミエたちを探す。
「あいつらどこいった?」「良い話するから出てこいよ〜」
「ここは俺らの庭だぜ?中坊〜?」
ゆっくりと高校生たちの声が遠ざかっていった。
路地裏にあるゴミ箱の近くで、ホンギュが肩で息をする。
そのゴミ箱の隣には、電話ボックスがあった。
カチャッ、と受話器を上げる音が小さく響く。
「くそっ高校生が中学生追いかけるかよ!俺になんの関係があんだよ!マジありえねぇし」
「しーっ!」
ホンギュが愚痴っている横で、ミエは小声で電話をしていた。
「もしもし?警察ですか?XX高校のヤンキーたちが・・」
「え?何でヒソヒソ声かって?だって危険だからです!え?違います、イタズラ電話じゃないです」
「塾まで近いからもう塾行こうぜ」「バス乗っちゃだめ?」
「大通りに出た瞬間捕まるって。ここはあいつらの庭だぜ?」「あ・・そっか・・」
ここでジョ・ハンが、新たな提案をした。
「じゃあ・・大魔王・・キム・チョル呼んじゃダメかな?塾にいると思うんだけど・・」
「はぁ?!」
「何言ってんだ!ダメに決まってんだろ!」
ホンギュは秒でそれを突っぱねた。それはホンギュの意地と友情の措置だ。
「ただ塾までダッシュしたら終わる話だろ!誰か呼んだり待ったりしてる間に捕まるって!
警察に通報電話をしたミエだが、警察はまるで取り合ってくれなかった。
頼みの綱が切れた状態で、ミエは途方に暮れる。
残りの小銭はあと僅か。
ボックスの外では、ホンギュの声が聞こえている。
「ちょっとこっち寄れ!道教えるからよく聞けよ」「う、うん・・」
この残りの小銭で、どこに掛けるかはもう決まっていた。
ミエは左の掌を広げてみる。
けれどそこには、滲んでまるで読めない数字がぼやけているだけだった。
「・・・・・」
[なんだよも〜〜〜]
滲んだ文字は、まるで見通せない霧のかかった未来そのものだ。
ミエはその未来の先にチョルがいることを、どうしても期待してしまう・・・。
第九十四話②でした。
ジンソプもそうですけど、ミエも警察に電話していて、
韓国では通報の敷居がそんなに高くないものなんですかね
結局あしらわれちゃってたけど。。。
とにかく・・・無事に逃げられますようにー!!
第九十四話③に続きます