青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第七十三話②

2022-11-28 | 第七十三話〜第七十五話

一方こちらはキム・チョルの朝。

彼の部屋の窓には、「変態退散」がまだ貼ってある。

ファン・ミエの変態疑惑は更に深まり、昨日は・・

チョルは胸をドンドンと叩きながら、一人呟いた。

「マジで変人じゃねーかよ・・」

「ファン・ミエ!まともになってくれっ!」

半分カーテンが開いた窓を見上げながら、チョルはそう口にしたが、

彼女が顔を覗かせることはなかった。

そしてチョルは、朝一番に「三角文具店」へと向かったのだった。

放課後に訪ねたときの閑散とした雰囲気とは真逆の、ワイワイガヤガヤとした空気がそこにあった。

店内は学生たちで溢れ、店主のおじさんはあっちこっちに呼ばれとても忙しそうである。

「おじさーん」「はいよ、ちょっと待っててよ」「えーあんたも来てたのー」

「え?名札?今日の放課後来てくれよ!」「おじさーん」「ねぇおじさーんこれいくら?」

チョルは小さく「はい・・」と返事をして、踵を返す他なかったのだった・・。

 

 

<とりま友達>

 

”百済中学校”

そしてチョルは正門を通過した。

その後、”毛虫ロード”に差し掛かった途端、早速洗礼を受けたのだった。

ボトッ!

ヒィィィ!!

この男も共に・・・。

ぎゃああ!!

バチッ

二人は押し合いへし合い、毛虫を避けて身を捩って歩く。

「え、なんでこっち来んのー?ずっとそっちだったじゃ・・」

「こっちはちょっと虫の雨・・」「ぎゃっ!」

「俺元々左側が好きなんだって」「じゃあ後ろ歩けよっ」

するとそんな二人の道の先で、ひょいと毛虫を避けてくれる人がいた。

「はい、もう大丈夫でしょ?喧嘩しないで・・

 

にこやかにそう言ったハン・ソンイに、モ・ジンソプは「この子も普通じゃないような・・」と思いつつも、

笑顔で対応した。

「ソンイは優しいな〜。さ、さ、こんなのは捨ててさ。大丈夫大丈夫、俺たちふざけてるだけよ?」

それを聞いて、ソンイはにっこりと笑った。

「そっか。二人、本当に仲良しなんだね」

えっ

それを聞いてチョルは微妙な顔になったが、そういえば・・と最近のジンソプの言動を思い出した。

「やっと来てくれたんだからさぁ、変なこと聞かないでよ。純粋にサッカーしようぜ?

チョルはマジで勉強したいんだって。邪魔しちゃダメだよ?」

今まで興味本位で近づいてきた人達や、わけもなく悪く言ってきた人達までもが、

ジンソプの対応でチョルに一定の距離を置いて、その上好意的に接するようになったのだった。

学年一のイケメンの彼は、チョルと違って世渡りに長けている。

「そーなんだよ」

「だよね?」

だからすぐには、「二人仲良くなったんだね」というソンイの言葉を否定できなかった。

チョルはジンソプから顔を逸らしつつも、曖昧に頷いた。

「あ・・まぁ・・」

そしてそんなチョルのリアクションを見て、ジンソプは少し驚いた。

「なになに、ついに認めんのね?俺は猛烈に感動してるぜぇ」

ジンソプはチョルとソンイの肩に手を回した。

「よし、じゃあ友達記念に街で遊ぼーよ。いつにする?

ソンイ、俺もそろそろ勉強しなきゃだし、問題集選ぶの手伝ってくれない?」

「え?うん」「は?何言って・・」

その時、ソンイが目を丸くした。

「あっ?ミエ!」

「だね、ファン・ミエも一緒に・・」

ミエの名前が出た途端、チョルは表情を変えた。

しかしその瞬間、ミエの大声が辺りに響き渡った。

「いや本当なんですって!!」

「男子が私の名札つけてたから、追いかけて捕まえようとしたんですっ!」

「おいおいよくそんな馬鹿げた嘘を・・そんな戯言言う奴は山ほどいるんだよ!」

「いやちょっともう一度落ち着いて私の話を聞いてくださいよ!あの男子が!私の名札をッ!」

お仕置きの体勢から必死の弁解をしているミエの姿に、

みんなドン引・・いや驚いていた。

ガバッ!!

ミエは唐突に顔を上げ、必死の形相でこう叫んだ。

「あいつ!あいつです!」

「あそこにいるイヤフォン・・じゃなくてヘッドフォンの!」

「あの男子捕まえて!あいつ!」

その言葉を合図に、チョルが猛ダッシュした。

風紀検査の先生がチョルの服装を指摘した矢先であったが、チョルにはそれが耳に入らなかったのだ。

「おおー」「なんだ?」「大魔王どしたん?」

皆が騒然とする中、ミエは目を丸くしてチョルの背中を見ていた・・。

 

<走って>

バッ!

チョルは走った。

皆に見られていたが、気にも留めずに”ヘッドフォンの男”を追いかける。

階段を上り切ったところで、ターゲットがまた上階へ上がっていくのが見えた。

数段飛ばしで追いかける。

ダダダダダダ!

ダダダダダダ!

上まで上がり切ったが、その男を捕まえることは出来なかった・・。

「いねーし・・」

ファン・ミエの名札をつけていたという謎の”ヘッドフォンの男”とは、

一体何者なのか・・?

 


第七十三話②でした。

 

ここでジンソプが「やべっピアス」と言って外してるのを、本文中に入れれなかったのでここで・・

服装検査多いですね百済中学校・・

三年の夏が終わったらゆるくなるんでしたっけ?

個人的には、シャツの中にTシャツ着てるチョルの着こなしが好きですー!

 

第七十三話③に続きます


第七十三話①

2022-11-24 | 第七十三話〜第七十五話

未だ風紀検査は続いていた。

ミエは下を向きながら、先生の説教を聞いている。

「お前、カバン開けてみろ」「あ、先生ちょっと待って!」「早く!」

なんて日だ・・!と思いながらミエは項垂れていた。

身悶えしながら、いつの間にか首をぐるぐる動かしている。

持ってきた日は検査なくて、なくなってから検査するじゃん・・

あいつなんで名札持ってこないの?もう二日経ったんでは?

変態だから名札くれなくなった?だめじゃんあいつめ・・

ふと、目の端にブレた自分の苗字が目に入った気がした。

その名札は、とある男子生徒の胸に掛かっている。

ミエはまだ下を向いていた。

しかし瞼の裏にある残像が、「ちょっと待って」とミエに知らせる。

そして数秒後、顔を上げた。

名札をつけていた男子は、ヘッドフォンをしていた。

肩が凝っているのか首をコキコキと鳴らしながら、そのまま遠ざかろうとしている。

見間違えた?

いや、確かに見た。

16年間付き合っている自分の名前を、間違えるはずはない——・・。

 


第七十三話①でした。

 

切りどころがここになってしまって、すごく短い話になってしまって申し訳ないです!!

えーっ名札が!そんなところに!!

そしてあんな頭振ってたり下向いてたりでよく見えたねミエちゃん!w

 

第七十三話②に続きます


第七十二話④

2022-11-22 | 第七十話〜第七十二話

しばしソラは沈黙していたが、やがてミエから目を逸らさずにこう言った。

「ねぇ、私と一緒に勉強したいってこと?」

「うん!」

喜んで返事をしたミエに、ソラは手をおいでおいでとひらひらさせた。

ミエは首を傾げながらソラに近づく。

コソッ

「え?」

ミエが目を丸くして聞き返そうとした時、ドアがキイッと開いた。

「あ、二人もう来てたんだ」

「ミエ、早いね」「あ、ジョンウク」

パク・ジョンウクたちがゾロゾロと教室に入って来た。

ジョンウクの後ろにいるキム・チョルは、不穏なオーラをまといながらミエを睨んでいる。

ヒィィィ!

青くなるミエを見て、ホンギュが「なんだ?どーした豆子」と聞くも、ミエは答えなかった。

ジョンウクはジョン・ソラにも声を掛ける。

「ソラ、君も早いんだね。二人ちょっと仲良くなったみたいだね」

声を掛けられてもツンとしているソラ。

ホンギュは彼らのやり取りを見てこう言った。

「ほーそうかい。適当に言うなって

そして視線はミエの隣の席に遣る。

そこはチャ・ヨンヒの席であるが、相変わらず彼女は不在であった。

「そのプリントどうしたの?難しい?」「あ、ううんそうじゃなくて・・」

プリントを持って立っているミエに、ジョンウクはそう優しく話し掛けてくれたが、

キム・チョルはと言うと・・。

「半分も解けてないな。なんのために塾に通ってんだ?」

「なぁ、この変態さんよ」

ゴゴゴゴ・・という音が聞こえて来そうなオーラを纏いながら、

チョルが全力の嫌味をぶつけてきた。

思わずミエはあんぐりと口を開ける・・。

 

<あんた私にこんなことしないでよ>

 

「今、豆子になんて言ったんだ?」「知らんでいい」「なんだよー」

しばし固まっていたミエだが、怒りボルテージがギュンッと上がった。

もう・・キレた・・・っ

「うわあああああ!!」

怒りにまかせて突進したミエであったが、チョルはひらりと身をかわした。

その後もチャンスがあればチョルに怒りをぶつけようとしたが、ことごとくかわされてしまった。

「違うって!言って!るだろっ!」

「変態!」

「ぐぅぅぅーーーっ!」

ミエの腹の虫はおさまらない。

こんなしつこく追い詰める必要ある?!ふざけんなよ!優しくしなさいよ!

だってあんたは私に・・

「愛する・・」

あの甘い響きが、まだ耳に残っている。

しかし帰宅したミエを待っていたのは、容赦ない現実だった・・。

変 態 退 散

ミエは閉まったままの窓に向かって、大声で叫んだ。

「ちょっと!マジでこんな仕打ち!?確かに十分説明出来てないけどさ!

それでもさ!」

 

「もういいよ!てか私の名札弁償しろこのやろーっ!!」

と、ミエが叫ぶのも一理ある。

というのも、名札がないせいで今ミエは立たされているのである。

「なんだ?真っ直ぐ立てないのか?名札を飴だと勘違いして食っちまったんじゃないのか?

「お前はどうした?どっちもないのか?

あんな小さいもんを持ち歩くのがそんなに大変か?え?」

ミエは今、この世の不条理に直面していた。

うんざりした気分のまま、しばらくミエはその場に立たされていたのだった・・。

 


第七十二話④でした。

 

ジョンソラちゃん、ミエに何言ったんだろー?!

ペンが凶器に変わらなくて本当によかった・・・

 

そしてチョルの恨みが深いw

名札、注文したけどまだ来てないのか・・チョル、ミエに説明してあげて〜〜

 

第七十三話①に続きます


第七十二話③

2022-11-18 | 第七十話〜第七十二話

その日家に帰ってから、ミエは泣きながら母親に訴えた。

「お母さん!私今日塾行かないからーーっ!キム・チョルにコテンパンにされるー!

「はぁ?」

母はそう言った後、ミエに鉄槌を食らわせた・・。

 

プシュゥゥゥ・・

頭に出来たたんこぶと、引っ張られ伸びた耳たぶをさすりながら、ミエは涙目でこう思う。

「本当に私は実の娘なの?たまに分からなくなるんだけど・・」

プリントを出しながら、ミエはチラッと右方向に目をやった。

そこにいるのはジョン・ソラなのだが、なんと目が合ってしまった。

ビクッ

「何見てんのよ」

[ファン・ミエにはあまり怖いものはないが]

「え・・いえ・・見てませんケド・・」

[この子は・・ちょっと怖い]

そして今この部屋で、二人きりという状況である——・・!

 

<突発的な状況>

 

えーっなんで二人きりなの?!

「ちょっと、うるさいんだけど」「え?あ・・ごめん・・」

あまりに静寂に包まれているため、プリントをトントンする音さえもうるさいと言われてしまった。

ミエの心が落ち込んでいく。

しかし冷静に考えると、ちょっとおかしいんじゃないかと思い始めた。

いや・・て言うか・・

私、普通にしてましたよね!?

[ファン・ミエはプライドが傷ついてしまった]

ギロギロと睨むミエの視線を、ジョン・ソラは勿論感じていた。

[なんで私が・・]

[こんなにこの子にビビらなくちゃいけないの?]

背後に感じる殺気に備えて、自然と手は武器を握る。

[一言言ってやる]

[私だって言うときゃ言うんだから!]

強くなるミエの”気”に、ソラはペンを握りしめた・・!

今だーっ!

「ちょっと!あなた!あなたねぇ!」

「一緒に問題やらない?!」

握りしめた手を振りかざす1秒前に、ミエがそう言った。

ソラは黙ったまま、ミエを見上げる。

あ・・私何言って・・

ミエ自身、なぜそう提案したのかは分からなかった。

[ファン・ミエは慌てた]

[・・けど]

もうヤケクソだっ!

「やろうよっ!」

この勢いに、乗っかることにした。

ソラは、自分の中の警戒度が緩んでいくのを感じていた。

握っていたペンを、静かに下ろす・・。

 


第七十二話③でした。

 

二人きりは気まずい〜

ミエがソラのタバコを踏み潰した時以来かな?

一体どんな子なのかが気になる・・ジョンソラ・・

 

第七十二話④に続きます

 


第七十二話②

2022-11-14 | 第七十話〜第七十二話

チョルとミエが追いかけっこ(?)をしている頃、こちら高句麗中学では・・・

休憩時間に、男子生徒が数名でガヤガヤと歩いていた。

すると彼らの前に、スッと一人の男性生徒が飛び込んでくる。

「よぉ!イ・インウク!」「うわっ!」

ドサッ!

男子生徒が足を出したせいで、イ・インウクは派手に転んでしまった。

「あれ?」「げっ」「おいインウク・・大丈夫か?」

インウクは足を出した張本人、ベ・ホンギュに向かって声を荒げた。

「おい何すんだこの野郎・・!」

「あ〜ごめんな〜。ちょっと強すぎたか?さ、捕まれよ」

そしてホンギュがインウクに嫌がらせをするのは、これが初めてではないらしい。

「おいベ・ホンギュ!これで何回目だよ?!マジで死にてぇのか?!」

「おいおい!」

「離せ!今日は逃さねぇぞ!」「おお?」「インウク、やめろって」

「え?どーしたんだよ、俺ら和解して仲良くすることにしただろ?」

「”冗談”はお前のお家芸じゃねーのか?」

ホンギュのその言葉は、今まで散々インウクが口にして来た言葉を使った仕返しだった。

インウクはいつもホンギュに嫌がらせをしては、「どうした?冗談じゃんか。ガク・テウク呼んでくるか?」

と言っていたのだ。

「んだと?!この・・っ!」

「なんだ?ウゼェか?」

ホンギュはそう言ってニヤリと笑った。

挑発するように、インウクに向かって頬を差し出しながら。

「そうだよなぁ〜マジでムカつくなら一発殴れば?ほら、やれよ」

「どうした?大丈夫だから殴ってみろって」「お前・・このっ・・」

ホンギュは煽り続ける。インウクの友人が「もう行こうぜ」と彼を促しても。

「おい、なんでやんねーんだ?」

「まさか”誰かさん”がいねーからか?」

インウクは拳を握った。

歯噛みしながら、ホンギュと相対する。

そして震えるそれを、やがてポケットに収めた。

「おい、行こうぜ。相手にしちゃダメだって」「我慢しろよ」

「んだよ〜マジで?また逃げんのかぁ?あ〜つまんねーなぁ。今度は絶対遊んでくれよなぁ」

「黙れ!」

背を向け歩いて行くインウクの背後で、ホンギュはわざとらしく胸に手をやってみせた。

「あ〜俺もそろそろ飽きて来たけど・・」

 

するとそこで、こちらに向けられている視線に気づいた。

すぐそばに、フーセンガムを膨らませながらホンギュを見ている彼女がいた。

チャ・ヨンヒは含みのある表情をしながら、ホンギュをじっと見続ける。

フーセンガムがパチンと割れた。

「な・・何見てんだよチャ・ヨンヒ。なぁ!」「ん?」

「うちの学校猿も飼ってんだなって。不思議だわ」「はぁ?!」

「このっ・・お前もう一回言ってみろよ!」

「はぁ・・猿がついてくるんだけど。マジめんどいわ」

「おいっ!チャ・ヨンヒありえねー!」

チャ・ヨンヒに声を上げるホンギュは、ようやくいつものホンギュだ。

キム・チョルがいなくなった学校は、少し居心地が悪い・・。

 


第七十二話②でした。

 

イ・インウク、テウクの典型的な腰巾着だったのですね〜

ガク・テウクがいない今、高句麗中は権力関係がグダグダなわけですね。

これからどう転んでいくのか、こちらの情勢も気になります!

 

第七十二話③に続きます