青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第九十五話②

2023-09-22 | 第九十四話〜

「あ・・・あ・・」

突然現れたキム・チョルに、高校生達は動揺を隠せない。

愛想笑いを浮かべながらチョルに挨拶をする。

「お・・おおキム・チョル!久しぶりだな」

「・・誰だ」
 
「え?俺だよ、覚えてないか?前に・・」
 
 
「次は誰かって聞いてんだよ。早くしろよ」
 

早くもブチギレているチョルを見て、ミエたち三人は息を呑んだ。

ひいいっ

「こねーのか?」

凄みながら一歩踏み出すチョル。

高校生達は口元を引き攣らせながら後ずさった。

「ちょ、ちょっと待ってくれよ。なんでこんなに怒ってんだ?」

「とりあえず聞いてくれよ。

何か誤解してるようだけど、俺らはただこの子らとゲームしてただけなんだって!
 
ヒョンソクがゲーセンで会ったことあっから・・顔見知りで、そのついでにただ一緒に楽しく遊ん・・」
 
 
「顔見知りじゃないですけど!!」
 
ジョ・ハンがすかさず叫んだ。
 
ただごとではない雰囲気に、ホンギュはどちらにも声を掛けそびれている。

「面白いか?」「え?」

そう言いながら、チョルは先ほどの光景を思い出す。

息せき切って駆けつけた時、目に入ってきたのは・・・

困る仲間の姿と、なんと言ってもチョルを怒らせたのはミエの姿だった。

大きな高校生達の間にいる、まるで小学生サイズのミエの困った顔・・。

あの時の気持ちのまま、チョルは高校生に詰め寄った。

「中学生にデカい顔して面白いのかって。この野郎」

「ちょ!ちょい待ちちょい待ち!痛い痛い痛い!」

チョルの手に込められた力がどんどん強くなる。

「ちょ、離せって!こいつマジやべー・・うあーっ!!

ちょ、待てって!俺はただインウクに頼まれて・・」

慌てて駆け寄るホンギュとミエ。

けれどチョルは止まらなかった。

「よく聞け」

「お前とイ・インウクがどんな関係だろうと、

これからこいつらに関わったり、この辺りをうろつくようなことがあればその時は、」
 
 
「マジでぶっ殺・・」
 

その時だった。

いきなり、チョルが凄んでいる高校生がのけぞった。

突然ドアが開いたのだ。

ドンッ!

「何?消えな。邪魔なんだよ」

ジョン・ソラであった。

何が起こったのか誰も分からないまま、スタスタと歩いて行くソラの背中を呆然と見る・・。

皆の頭の中には一様に、

が浮かんでいたが、ミエが「ナ・・ナイス・・?」と呟いた。

皆忘れていたが、ここはゲーセンのドアの前だったのである。

*ドアの前に溜まるのはやめましょう

ジョン・ソラのナイスプレーに救われた、ミエ達なのだった。

 

 


第九十五話②でした。

 

お久しぶりです! スローペースですみません

 

チョルのおかげで高校生達を蹴散らしましたね〜^^

そして突然現れたソラww ゲームしてたの?それともタバコかな?気になる子です・・

 

第九十五話③に続きます

 


第九十五話①

2023-09-16 | 第九十四話〜

バッ!

ミエは一枚の写真に目を留めた。

チョルの顎に乗せた自分の手の平に、鍵となる番号が見えたのだ。

何度もにじんだ文字と写真の数字を見比べて、末尾は6だと確信する。

ガチャッ!

ピピピピピ!

その番号を入力すると、音声案内に繋がった。

「こちらは案内サービスです。音声録音をご希望の場合、ピーという音の後に・・・」

「も、もしもし!?私だよ!ミエだよ!今ちょっと・・」

ピタッ

そこでミエは口を噤んだ。

喉まで出かかっているSOSを、チョルのことを思って押し留める。

「えーっと・・ねぇ、今あんたどこにいる?」

「あの・・なんで急に一人でいなくなっちゃったの?

全く不思議ちゃんなんだから!だからポケベルに初連絡してみたの!あはっ」
 
「えっと・・私今塾の近くにいるんだ。もうすぐ着くよ。
 
分かるかな?あんたが前に行くなって言った・・。
 
あ、ホンギュとジョ・ハンと一緒だから、心配しないで!」
 

「・・じゃ、後で塾でね」

なんでもない風に装って、でも内心怖くて場所は伝えて、

ミエは電話を切った。

電話ボックスから出て見上げた空に、飛行機が飛んでいるのが見えた。

震える手を組みながら、ミエは祈る———・・・。

 

 

一方こちらはチョルとテグァン。

テグァンは独特の口調で、今の気持ちを口に出していた。

「もう何分遅刻であろうか。大魔王の逃走とは・・貴重な経験である」

「ふむ・・ところで・・」

テグァンは、チョルが思いもしないことを言う。

「どうやら先ほどから誰かが大魔王を呼んでいるようだ」

「え?」
 

 

「君のポケベルだよ」

そう言われ、チョルがカバンからポケベルを取り出す。

確かにメッセージ有りと表示されていた。

「見た目より鈍いのか?」

「では小生はこれで」

そう言い残し、コ・テグァンは行ってしまった。

謎の多い彼の背中を見つめながら、チョルは「なんなんだあいつは・・」と独り言。

そしてそのまま電話ボックスに向かった。

チャリン

「”音声メッセージが数件あります。最初のメッセージです”」
 
数件?なんだ?突然・・
 
「チョル!なんかホンギュがヤバイんだ。イ・インウクと・・」
 
 

チョルの耳に飛び込んできたのは、パク・ジョンウクの声だった。

メッセージはそこで一旦切れ、次のメッセージもジョンウクだ。

「おいキム・チョル!

メッセージ聞いたか?ホンギュがどこにいるか分からないんだ。
 
とりあえず通報はしたんだけど・・」

そこまで聞いたところで、メッセージは途切れた。

次にチョルの耳に届いたのは、弱々しいミエの声だった。

 

 

 

先ほど、明るい声で「ホンギュとジョハンと一緒だから心配しないで」

というメッセージを残したミエ。

けれどミエは、もう一つメッセージを残していた。

「違うの・・」

「チョル・・実は今私たち追われてるの。

必死で逃げてるんだけど、悪い奴らがずっと追いかけてくるの!どうしよう・・」
 
「私・・私怖くて・・」
 

「だから早く来てよ、お願いだよ。聞こえてる?」

そこでメッセージは途切れた。

ポケベルに残されたメッセージはあと三件。

チョルはボタンを押す。

次はジョンウクだった。

「なんか河川敷の方みたいなんだけど・・聞こえてるか?」

 

ジョンウクの声はそこで切れ、次は再びミエ。

「ホンギュ・・!」

ミエは緊迫した声でそう言い残し、最後のメッセージを告げる電子音が鳴る。

ピー

チョルは、そこでハッと我に返った。

と同時に、ミエの大声が鼓膜に大反響する。

「ねぇっ!聞いてんのっ?!チョルーッ!!」

その声を聞くやいなや、弾かれたようにチョルは走り出した。

そして大ピンチに見舞われていたミエの元に、ギリギリで駆け込んだのだった。

ファサッ

渾身の力で打ち込んだパンチングマシーンは、故障したのか計測不能。

皆、時間が止まったかのように動けなかった。

その中で、ゆっくりとチョルが振り返る。

「・・それで、」

「次は誰だ?」

大魔王の影を纏って、キム・チョルは高校生達にそう言った。

この圧倒的勝利感・・!

心臓が跳ね、

緊張で冷たくなった手足に、体温が戻った。

ようやく、ミエの顔に笑顔が戻った瞬間だった。

 


第九十五話①でした。

定期的に更新できなくなってすみません〜〜!

本当にスローペースになりますが、またお付き合いいただけたら嬉しいです

 

ポケベル大活躍ですね!

携帯がないってもどかしいけど、なんか味のあるやり取りがいいなぁと思いました

 

第九十五話②に続きます


第九十四話⑤

2023-09-01 | 第九十四話〜

ミエの最大のピンチに、チョルが駆けつけた。

しかしなぜチョルにこの場所が分かったのだろうか?

その理由は、数十分前に遡る。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

路地裏に身を潜めているミエ達。

ホンギュがジョハンに、塾への道筋を説明しているところだった。

「あの後ろ曲がってもまだ道があって」「うんうん」

「あそこさえ通れたらすぐ塾だから」
 
 
ミエは、電話ボックス内で手のひらに書かれた判読不明な文字を睨んでいた。
 
「これは完全に詰んだわ・・」
 

「完全に消えてるのもあるし・・6・・8?」

あ、でも前半は結構わかるかも・・

ミエはまるで暗号解読士のように、滲んだその数字を読もうと試みていた。

この数字さえわかれば、チョルに連絡ができる。

 

残りの痕跡で大体分かるような気もするんだけど・・
 
 
問題はこの完全に消えてる部分・・書いてもらったばっかで覚えてないし・・
 
 
思い出せ〜!思い出すんだファン・ミエ!

ミエは頭を抱えながら、今日一日の出来事を思い返してみた。

すると一つの出来事が思い浮かぶ。

ミエはハッとした。

まだ文字が消える前に、その証拠となる写真を撮っていたことに気がついたからだ。

バッ!

ババッ!

ジーッ

ミエの目に、一枚の写真が留まる。

チョルの顎を掴んでいるミエの手のひらに、何か・・・。

何かが・・見える・・

僅かに、ほんの僅かに見えた。

末尾は6———・・・・・・!

 

その頃、青リンゴ塾では・・。

 

 

 

 

ガラーン

授業開始時間になって教室に現れた講師は、誰もいないそこで立ち尽くした。

「室長先生〜!塾長先生〜!副塾長先生〜!Sクラスの奴らがー!」

ちょっとした騒ぎになっていたのだった・・・。

 

 


第九十四話⑤でした!

 

すごい!よく気づいたねミエ!

まるで探偵のよう 

 

しかし勉強になりました。

手に何か書いてもらうときは手の甲に書いてもらうことにしよう・・(どんなシチュエーション?

 

第九十四話の扉絵はこちら!

大魔王ー!!

 

第九十五話①に続きます

 

 

そして・・最近PCの調子が悪く、すぐ再起動かかるようになってしまい、

今後3日おきでのアップはできなくなりそうです

今まで以上にゆる〜く更新になってしまうと思いますが、気が向かれたら遊びに来ていただけると嬉しいです。

本当にすみません


第九十四話④

2023-08-29 | 第九十四話〜

とうとう捕まってしまった中坊達。

高校生らに囲まれて、ミエ達三人は連行された。

ジョハンは青ざめながら思った。

こ・・こんなことに・・

もうちょっとなのに・・。

もうちょっとだったのに・・!

塾はもう目と鼻の先だったのに、運悪く捕まってしまったことを嘆いた。

高校生達はニヤニヤと笑いながら言った。

「お前ら暴れっぱなしだけど、お互いが無事にいられるかは気にしねーの?
 
笑えよ、笑えってば〜」
 
「俺らがいじめてるように見えんだろ〜?」
 

ミエは近くに助けを求めようと辺りを見回したが、警察はおろか大人の一人もいない。

ホンギュも奥歯を噛み締めるのみだった。

やがて彼らはゲームセンターに着いた。

目の前にはパンチングマシーンがある。

「さぁ始めますかぁ〜」

「さっき言ったろ?3対3で勝てば逃してやるって!」

バキッ!

ゲーセン男がそれを殴ると、712点と表示された。

「ほら次!」

促され、ホンギュがそれを殴る。

点数は687点。

あとは頼むぞ、と言わんばかりにホンギュがミエ達に目配せする。

ミエは依然として周囲をキョロキョロと見回していた。

停めてある車の中に人はいない。

「ほら続けろよ!」

 

続いてジョハンが挑んだ。

が、見事に空振りだ。

「ノーカンノーカン!滑った・・」

続けて高校生チーム。

「これでどうだ!」

彼もなかなかの高得点だった。

そして・・・

「じゃあ次は・・」

彼らの視線の先にいるのは・・・。

小学生サイズの、小さな女子——・・。

[私が・・?]

 

<そんなのできないから>

やってみなくても、結果なんて分かりきっている。

ミエは、グッと拳を握った。

「おいどうした?早くやれよ!」

これには、さすがにホンギュが異議申し立てた。

「おいそれはひどいだろ!不公平・・」

「じゃあ代打連れてこいよ」

「そうだな、ゲーセンにいるやつなら誰でも連れてきていいぞ」

そう言われ、ゲームセンターの中を覗く。

しかし不良達と関わりたくないのか、皆目を逸らして行ってしまった。

ホンギュはジョハンと目配せをした。

うなづくジョハン。

「なんだ?」

「おいお前ら何してる?つーか猛烈に負けてるけど?」

「何もしてねーっすけど?」「おいなんだよその口の利き方は?」

「元々こうっすけど」

生意気なホンギュの物言いに、ゲーセン男が青筋を立てる。

ミエが慌てて声を上げた。

「おいこの野郎・・」「ちょっ・・待っ・・!!」

「くっ・・・黒騎士!!」

「はぁ?」

突然の申し出に、皆目を丸くしてミエを見た。

「代打・・私の代打が見つかるまでちょっと待ってください!」

「そんなやつどこにいんだよ」「そ・・・あっ!チンピラ!」「???」
 
「私小さくて弱いので!足で蹴ってやってみます!」
 

 

ミエは周りを見回し、なんとか”チンピラに絡まれている”とアピールしたが、どうにもうまくいかなかった。

「はぁ?いーよじゃあやってみろよ」

ククク、と嘲う高校生達の間を、そろりと進むミエ。

そしてホンギュとジョハンに、「あとは頼んだ!」とメッセージを送る。

カウントダウンが始まる。

なんとミエは、高校生の股間目掛けてキックを炸裂する計画を立てていたのだ——・・・!

「いち〜にの〜・・・」

「・・さんっ」

その時だった。

大きな地響きにも似た足音が、全速力で近づいてきたのは。

そして走ってくるその勢いのまま、パンチングマシーンをぶん殴った!

ガンッ!!

マシーンは999点を叩き出したまま、そのカウントを止めた。

股間目掛けて足を上げたミエはそのまま地面に崩れ落ち、

倒れていく間、チョルの怒った顔を見ていた。

願いが通じた。

本当の本当のピンチの時に、キム・チョルが駆けつけてくれたのだ——・・。

 


第九十四話④でした。

チョルー!!!

間に合った〜〜!!ナイス!!

 

しかし高校生達、さすがにミエ入りの三人で勝負は無いわ・・

チョルに制裁加えられて欲しいですね!!

 

第九十四話⑤に続きます


第九十四話③

2023-08-26 | 第九十四話〜

ミエが読めない手のひらの番号に首を捻っている時、チョルはまだ街中にいた。

コ・テグァンがその隣に立つ。

「塾にはすっかり遅刻ですぞ」「あぁ、うん・・ありが・・」

「だがおかげで小生もささやかなプレゼントを買うことができた」
 

「あ!」

「早く行こう。バスが来た」

そう言って駆け足になるチョル。

カバンの中に入った飛行機が、カチャカチャと鳴る。

真っ青に晴れた空に、街中の音楽が吸い込まれていく。

コ・テグァンは、空を見上げながらポツリと呟いた。

「ふぅむ・・誰かが呼ぶ声が聞こえる・・」

ミエの叫びは、チョルではなくコ・テグァンの方に届いていたらしかった・・・。

 

 

<強いフリをしてみても>

当のミエは、警察に電話しても取り合ってもらえなかった不条理を正に今嘆いていた。

「てか何でずっとイタズラ電話だって言われんの?!一体誰が何を知って通報したっての!?

「つーかあいつらもう行ったよな!?」

「多分大丈夫だと思うけど・・・イ・インウクの家と何かあったんじゃないよね?

全く関係ない人たちまで巻き込んだら・・」

「ねーって!ったくマジムカつく!!」

ジョ・ハンの言う「関係ない人たち」はモ・ジンソプとハン・ソンイだった。

あの場のゴタゴタで忘れていたが、彼らを置いてきてしまったのだ。

ベ・ホンギュの後ろで、子供たち二人がブーブーと文句を言っている。

「お前ら!だから逃げろって言っただろ!なんでついてきて一緒に逃げてんだよ!」

「なんで!僕が叫んだから逃げられたんだろ?!」
 
「誰が助けて欲しいって言った?!お前らが逃げりゃ俺一人で逃げ切れたのに!」
 
「言いたいことはそれだけか?!僕は本当の本当に勇気を振り絞って・・」
 
「あーもーやめて!気づかれるっ!」

ホンギュもジョ・ハンも、溜め込んでいた互いへの不満が口に出た。

一応奴らに気取られないように早歩きで歩を進めながら。

「ちげーだろ!喧嘩もできないヘタレが下手に首突っ込んできやがって!

ファン・ミエ、お前も大概だぞ!?
 
今は首突っ込む時か突っ込まない時かとか、空気読めよ!
 
マジで大変なことになるとこだったんだぞ?!」
 
 
「ああ!大変なことになるとこだったよ!ホンギュのせいでね!
 
そもそも君が騙されなきゃこんなことには・・」

「はぁ?!」

「同じ中学生だからって、自惚れすぎだよ!ちょっと運動ができるからって!」

 
 
「お前に何が分かんだよ!」「ちょ・・もう二人ともやめ・・」
 
「俺は覚悟して行ってんだよ!割り込んでくんじゃねーよ!
 
馬鹿みてーに巻き込まれてこのザマかよ!結局一発も殴り合いしてない・・」
 

「だからっ・・今日は二人の誕生日だろ?!誕生日にそんな目に合っちゃダメだよ!」

ジョハンが発したその一言が、ホンギュとミエの足を止めた。

「え・・あ・・」

「えーっ・・なんか感動しちゃった・・てか、なんで私も誕生日だって知ってんの?」

「え?何言ってるんだよ、ミエの誕生日だからついて行ったのに。

今日は君ら二人の誕生日・・・」
 
「えっ?!いやちょっと待っ・・」
 

ホンギュが声を上げたその時、路地の向こうに奴らが見えた。

「しーっ!」「走って走って!」「足音立てんな!」

「とりあえずあっちの道に戻ろう。塾の方向へ」「近道じゃないけど、大体道は知ってる」

「早足で走れっ!」

ササッ!

壁に隠れながら建物の向こうを見上げると、塾の看板が見えた。

いつもは何とも思わない、むしろ憂鬱なその看板が、まるで天国の門に見える。

「あっ!あそこに塾が!」

おおお・・・

しかしホッとしたのも束の間、奴らがすぐそこまで迫ってきていた。

「なんか人の気配がするけどなぁ」

「おーいどこにいるんだよ?」

「今からでも出てきたら優しくしてやるぞ?そろそろ飽きてきたわぁ」

息を潜めるミエたちのすぐ側を、高校生たちが通って行く。

彼らの口からキム・チョルの名前が出た。

「おい、でもキム・チョルのダチなんだろ?後で問題が起きたりしねーよな?」

「何か起きんならとっくに起きてんよ。あの野郎、勉強するからってもうずっと大人しいんだと。
 
問題起こしちゃマズいなら、この程度では何もできねーって」
 

 

「つーかその大魔王ってやつが喧嘩してんのマジで見たことある奴いんの?」

「ガク・テウクの子分のインウクが見てたんだろ?」
 
 
「うーん・・どう見ても図体デカイだけっぽかったけどなー」
 
「あ〜このままこの辺を一日中回ってみるか〜」
 

食ってかかろうとするホンギュを宥めるミエとジョハン。

高校生たちは通り過ぎようとしていた。

しかしその時、反対方向から声を掛けられた。

「あれ?お前ら見たことあるぞ?」

ミエが振り返ると、そこにどこか見覚えのある男が立っていた。

「前にゲーセンにいた生意気な中坊たちだよな?なんでこんなところに隠れてんだ?

お前らもタバコか?」

「お?今日はあのデカイやつはいねーのか」

その男が何者なのか、一番最初に思い至ったのはホンギュだった。

数日前、ゲームセンターで喧嘩になりかけたのだ。

そして運の悪いことに、今日は男は仲間連れで、こちらはチョルがいない。

「おい、こいつらが前に言ってた奴らか」

仲間たちも一緒に近づいてくる。

そして最悪なことに、背中側から高校生たちが現れた。

「ここにいたのかよ〜」

さらに事態をややこしくしたのは、高校生たちとゲーセン男が知り合いだったことだ。

「おお、どーもー」「おお、なんだよお前もこいつらのこと知ってんの?」

「いや特に知り合いじゃねーけど見たことあって。お前も?」
 
「そうそう。じゃあちょうどいいや」
 
 

「一緒に行こうな〜?」

大ピンチに陥ったミエの叫びが、路地裏に吸い込まれていく。

[捕まった中坊たち]

三人は高校生達に囲まれたまま、ゾロゾロと連行されていった・・・。

 


第九十四話③でした。

あああ〜どんどんドツボに・・・

しかしジョハン、二人とも誕生日だから救おうと思ったって・・優しい〜〜

どんどんジョハンの株が上がってますね!

 

第九十四話④に続きます