まだ授業中ではあるが、ミエはヒョコヒョコと歩きながら運動場へと出て来た。
Gを踏んで汚れた足を洗うためだ。
水道で靴下を洗う。
冷たい水で洗っているうちに、胸の中がムカムカして来た。
「何?なんなん?キム・チョル!」
「無駄に捕まえて、足冷たいし、汚いとか言われて」
「ユンヒは一体何が怖いって言ってるの?
昔と変わらず今も、キム・チョルは虫を怖がっていた。
だからミエがやつけてやったのだ。
それなのに感謝の一言もないとはどういうことだ。
また無視した 毎日無視する
思い出せば出すほど、ムカムカが増す。
何度「一緒に行こう」と言ったって、スタスタと歩いて行ってしまう背中。
あの頃のミエが、ふてくされて一人こう言う。
「ヤーーなヤツ!」
「怒んないで一緒に遊んだらダメなの?」
悔し紛れに石を放ると、ぼちゃんと音と飛沫を立てて石は沈む。
水の底が見えるほどの綺麗な川。
一緒に遊べたらどんなに楽しいだろう。
つまんない・・
お腹へった・・
つまらないのとお腹がへったので、ミエは思わず泣いてしまった。
すると・・・。
<私が知っていたその子は>
「おい!」
「とうもろこし食べっから来い!」
「うんっ!」
突然チョルから呼ばれ、ミエは嬉しくてすぐに岩から下りた。
スタスタ歩くチョルを必死に追いかける。
「い、一緒にいこ!」
ミエの足元は、歩きにくそうなサンダルだった。
チョルはそのことを知って、不本意ながら歩を緩める。
するとミエは躓きかけて、その拍子にチョルにもたれかかった。
<仲良くなれるはずない>
家に帰ってみると、茹でたてのとうもろこしがもうもうと湯気を上げていた。
「ミエちゃん、美味しいかい?」「はい!」
家族達は笑いながらそれに乗る。とうもろこしをやけ食いしている息子の前で。
「今日のゲスト歌手はチョルとミエです〜」「そりゃ面白い。二人、前に出なさい!」
「おい!やめろぉぉ!!!」
[その後全く目も合わせてくれなくなった]
私も嫌だったのに、と涙目になるミエだったが、やはり声の大きい方が優勢のようだった。
そして・・
+)キム家の末娘はお昼寝中
キム・ファニ3歳
7つ離れた妹はその頃まだ小さく、騒ぎの中でもお昼寝中だったらしい。
・・そんな6年前の記憶を、ミエは足を洗いながら思い出していた。
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第十話②でした。
妹ちゃんはファニちゃんと言うんですね〜可愛いですね
そして6年前のミエが着てるTシャツが「B」ってw
細かいネタが面白いです
第十話③に続きます