青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第八十話①

2023-02-27 | 第七十九話〜第八十一話

ミエは今、チョルの家にいた。

大きなテレビ画面には、ビデオの冒頭にある警告文が表示され、

やがてお決まりの警告が流れた。

チョルとミエは、同じソファに座りながらそれを観ている。

ふと、チョルがミエのことを窺う。

同じタイミングで、ミエもチョルのことを見た。

パッ

同時に目を逸らして、ミエはこの間聞いた話を思い出した。

その声の主は、友人のノ・チヘだ。

目を合わせた後の反応はどうだった?なんかロボットみたいじゃなかった?

[気まずくない?]

[だったらこの次は・・]

なんだっけ、とミエは改めて思い出そうとする。

再び、チヘの声が蘇った。

ここから、チヘ先生の恋愛指南の始まりである。

[じゃあ始めるからね。聞いててよ?]

[気になる男の子がいるなら試してみて]

恋愛は相手に背中を向けたところから始まる。

相手の表情が読めなくて、心を騒がせるところから。

ここでチヘ先生の注意が。

「あ、ちなみに私自身の話じゃないからね?いい?」「えーほんとかなぁw」

[ふむふむ、とにかく!]

[とにかく偶然よく会って]

[気づいたらいつの間にかそばにいて]

[それとなく私のことが気になってる感じがして、]

 

[なんとなく目が合う]

さてここで、チヘ先生が一つ問いかける。

「けどそれって、実は偶然じゃないんじゃない?」

それが全部偶然じゃないとしたら・・・。

ミエはそのことについて、ずっとグルグル考えているのだ。

 

<根拠を探して>

 

冒頭の警告文や広告が終わって、ビデオは本編に入ろうとしていた。

主演はキアヌ・リーブスだ。

流れるクレジットをチョルはじっと見ていたし、

ミエも真っ直ぐ前を向いていた。

字幕版を選んだので、より集中して観なければ。

しかしミエはそれどころではなかった。心の中はこのことでいっぱいだ。

好きだって?キム・チョルが・・
 
 
私を?

 

ミエはその根拠を探していた。

チヘの言った言葉の通りに、自分とチョルが当てはまるそれを。

[偶然よく会って]

雷と何者かの気配に驚いて、家の外に出た時に偶然会ったことを思い出した。

両親が自分の話を聞いてくれなくて、泣きながら飛び出した時も。

[いつの間にかそばにいて?]

雨の中、結局あの後一緒に家に着いてきてくれた。

逃亡したミエを、放っておくことなく面倒を見てくれた。

一緒に発表をした時だって、共に図書館に行って、沢山話し合って・・。

ふむ・・・

ミエはまるで名探偵のように、揃っていく根拠を前にして考えていた。

そしてひらめく。

ピコン!

あれが偶然じゃなくて、キム・チョルの作戦だったってこと?

あれ全部私のこと・・

脳内に、少女漫画モードのチョルとミエが浮かぶ。

 

私のこと好きだから??

遠くにあると思っていたその世界に、一歩一歩近づいていく気がした。

思い返してみれば、根拠はそこら中に転がっていたのだ。

 

 

 

始まりは、母から「お父さんの友達家族が引っ越してくる」と聞かされたことだった。

引っ越しの挨拶に行ったとき、黙々と荷物を運ぶチョルを見た。

その後廊下で見かけて、

三年になって同じクラスになって、隣の席になって、

おまけに塾まで一緒なんて。

[そうだった。あまりにも出来すぎた偶然で・・]

しかも部屋まで向かい合わせ。

外食の時も一緒だったし、

その他諸々、偶然にしては出来すぎていた。

[あれ全部、偶然のフリをしてキム・チョルが・・]

[え?ありえる?]

 

いやいや、とにかく偶然にしてはよく出くわしたよね?!

ありえない偶然を好意による故意だと思うには浅薄で、

それでもまるで運命のようなそれを手放しで信じるほど子供ではない。

けれど見えない何かに導かれているように、ミエの隣にはチョルがいた。

それは思い返してみれば、三年生に入ってからのことなのだ。

[二年の時は同じ街に住んでるのにほとんど会わなかったし]

[偶然会うことはあっても]

「うわっビックリした!」

家の近くの曲がり角で、偶然出会ったことがあった。

あの時チョルはまるで”大魔王”のような顔で、ミエのことを見下ろした。

けどミエはそれに恐怖を感じることなく、幼い頃の面影の方を思い出した。

「ねぇ!私あんたのこと覚えて・・」

けれどチョルは何も言わず、そのまま行ってしまったのだった。

[あんなんだったじゃん]

[次会った時は同じクラスになっちゃって・・。

名前のせいでからかわれるから、同じクラスにならないようにって祈ってたけど]

神様にも飛行機にも、同じクラスにならないよう願った。

けれど今あるチョルとの結びつきは、今の状況じゃなきゃありえなかった。

 

「一緒に勉強しよう」と筆談したり、帰りを待ち伏せてみたりした。

その全てが、

[同じクラスになったからこそ、仲良くしようとしたんじゃん!]

二人の関係は、そこから始まったのだ。

昼休み、教室にいないチョルを心配してパンを買ってったことも、

挨拶を繰り返したのも、必死で追いかけて行ったのも、

帰りを待ち伏せして声を掛けたのも全部、

チョルと親しくなりたかったからであって・・・・。

ミエはそこで一つ疑問を持った。

え?でもこれ完全にあべこべじゃない?これじゃまるで・・

私がチョルのことを好きで、追いかけてるみたいじゃん!

え?今の状況って実は・・・。

キャッ!これ受け取ってください〜!愛してる〜!大魔王

実はこういうことなのだろうか?

先日、シン・チャンヒョンが言っていた言葉を思い出した。

「あの女子がいつも面倒起こすんだろ?」

え?他人から見ても、私の方がチョルを追いかけてると思われてるってこと?

つまり傍目から見ても、私はチョルのことが好・・・

ミエはしばし思案したが、やがてぶんぶんと大きく頭を振った。

ばかばか!
 
ただ単純に仲良くなりたかっただけじゃん!私だけ追いかけたわけじゃ・・チョルだって・・

チョルが「おい、お前ビデオ観ないんなら帰れよと言ったが、

ミエは一向に聞いていない。

 

そう、チョルだって自分のことを追いかけて来たではないか、とミエは思う。

頭の中に、その根拠が一つ一つ浮かんで来た。

あの時も、

あの時も、

あの時も!

あの時も突然!

ん?

根拠はいくつも浮かんでいた。

これはもう確信に近いと、ミエは再びチョルの方を向く・・・。

 

 

 

 


第八十話①でした。

切りどころがわからず、すごく長くなってしまいました

二人が観ているのは映画「スピード」ですかね!面白いですよね〜!

チョルセレクト?

 

そしてチヘちゃん!恋愛上級者〜!

指南通りに試すミエも可愛いですね

 

第八十話②に続きます


第七十九話⑤

2023-02-24 | 第七十九話〜第八十一話

「私は100%確信してるから!!

キム・チョルは絶対にあんたのことが好きだって!!!」
 
 
はっきりとそう言い切ったユンヒ。
 
ミエは未だに信じられなくて、モゴモゴと反論する。
 
「違うってば!小さい時から知ってるから、気に掛けてるだけであって・・」
 
「い〜や合ってるね」「違うってば!」「合ってるってば」「違うったら!」
 
「合ってるんだって。じゃあ私が当たったらどうする?」
 
 
「どうするったってどうするのさ。それをどうやって確認すんの?」
 
「”どうやって?”」
 
 
パチッ
 
それを”どうやって”確認するか。
 
その答えを思い出したミエは、ベッドからパッと起き上がった。
 
そしてそのまま窓を開ける。
 
 
スチャッ
 
 
双眼鏡を覗き込んだミエは、チョルの部屋を見る。
 
カーテンが閉まっていた。
 
 
続いて路上を見る。
 
人が歩いているのが見えた。
 
 
そしてその中に、見覚えのある人物が見えた。
 
チョルの妹、キム・ファニだ。
 
 
そしてそのまま引いて見ると、兄の姿が見えた。
 
ファニにローラースケート靴を履かせているところらしい。
 
 
ミエはそのまま、ピントをチョルに合わせた。
 
彼は妹に何かを伝えている最中だ。
 
 
レンズ越しにチョルをじっと見る。
 
右頬についた傷がハッキリ見えるまで、解像度を上げて。
 
 
「まさか・・あいつが私を・・」と呟きながら、少し視線を外した。
 
ミエの心はザワザワと騒いでいる。
 
するとミエが目を見開いた。
 
普段なかなか見れないものが見えたから。
 
 
そこに見えるのは妹に優しく笑いかける、チョルの笑顔だった。
 
思わず目が惹きつけられる———・・・。
 
 
見すぎたからか?
 
チョルがこっちを向いた。
 
 
シャーッ!!
 
 
驚いたミエは、思い切りカーテンを引いた。
 
その勢いで、窓辺に置いた双眼鏡も靴も本も倒れてしまう。
 
そして改めてプレイバックしたのだ。
 
好きかどうかを”どうやって”確認するか、チヘが言っていた言葉を。
 
「Eye to eye!気になるあいつと、目を合わせてみるのよ!」
 
 
 
ミエはひっくり返りながら、胸がドクンドクンと脈打つのを感じていた。
 
あぁビックリした、と呟きながら、しばし天井を眺める・・・。
 
 
[まずはターゲット確認完了]
 
 
 
<一段階>
 
 
しばらくしてから、ミエはそっとカーテンを開けてみた。
 
下の様子を見るために。
 
するとキム・チョルが、こちらをじっと見たまま突っ立っているではないか。
 
ミエは再び驚いて、思わずまたカーテンを引いてしまう。
 
 
「何あいつ?!あ〜よりによって双眼鏡持ってる時に・・!
 
また変態だって大騒ぎされる〜!せっかく形勢逆転してたのにー!」
 
 
悔しがるミエ。
 
すると閉めた窓から、コンコンと何かが当たる音がした。
 
 
ミエは言い訳をモゴモゴ言いながら、おずおずと窓を開けた。
 
「な・・何〜?ていうか見てないからね!」
 
 
チョルはからかうでも嫌がるでもなく、ただ腕を上にあげて見せた。
 
その手には、ビデオが握られている。
 
クイッ、と首を斜めに振って見せた。
 
出てこいよ、というサインを示す。
 
 
 
ミエはポカンと口を開けながら、じっとチョルを見つめた。
 
そのリアクションがよく分からなくて、チョルもまた彼女をじっと見る。
 
 
好きかどうか確認するには方法はただ一つ。
 
Eye to eyeで、相手と見つめ合うこと———・・・。
 
 
根負けしたのはチョルだった。
 
首を傾げながら、さっと目を逸らす。
 
 
そのまま行ってしまいそうになるチョルを、ミエは窓越しに大きな声で呼び止める。
 
「あっ待ってよー!一緒に行く!」
 
そしてドタバタと階段を降りて行ったのだった。
 
チョルとミエが交わした”約束”が、ようやく果たされる日が来たようだ。
 
 

 
第七十九話⑤でした。
 
おお〜!Eye to eyeいいですね^^
 
しかしEye to eyeで思い出すのはいにしえの健太先輩です・・・。
 
 
あー懐かしい・・。
健太の中学時代とかどんなんだったんだろ・・と関係ないことを考えてしまいました。
 
チョルに成敗していただきたい!
 
第八十話①に続きます
 

第七十九話④

2023-02-21 | 第七十九話〜第八十一話

<気にする必要ある?>

ミエは先ほどモ・ジンソプから言われた言葉を聞いて、目を丸くした。

キム・チョルのミエに対する態度はどう見ても「特別」だと・・・。

「特別?キ・・キム・チョルが私を?」

「うん、あ〜それはそれでまた・・うん・・」「?」
 
 
言葉を濁すモ・ジンソプ。
 
すると向こうの方がにわかに騒がしかった。二人はそちらの方を見る。
 
なんと、キム・チョルが女子たちから一斉攻撃されてるではないか。
 
しかも、チョルに話し掛けていたショートカット女子は泣いている。
 

チョルはそのまま逃げ出し、女子たちは怒りながら彼を追った。

見かねたジンソプがそちらに走る。

「あーあーあいつ・・あれなんとかしなきゃな」「ねぇ!話は最後まで・・」

「気になるならまた俺んとこまでおいで」
 

「じゃーねー」

そう言ってモ・ジンソプは行ってしまった。

チョルに怒る女子たちの「謝ってよ!大魔王なら何してもいいってわけ?!」と言う声が聞こえている。

「はい、はい、みなさん終わりでーす!」

先生のがそう言ったので、皆自由に動き出した。

ミエはモヤモヤしたまま、心の中でモ・ジンソプに対して毒づく。

は?ありえないし、なんなんあいつ?
 
男女関係語ってるよ、自分も中三のくせに・・
 
なんで私があいつのとこに出向かなきゃ・・・

そこでミエは気づいた。

モ・ジンソプの言うことが信用できないなら、ユンヒたちに聞けばいいじゃん!と。

「大魔王が追いかけられてんの見た?おっかしかったぁ、マジで爆笑だったわ」

「ユンヒユンヒ!」「ん?」

「あのさ〜キム・チョルって、私のこと特別に扱ってるように見える?ま、ちょっとは仲良いけどさ

するとユンヒは、さも当然のことのようにこう言った。

「え?何よ今更。今気づいたの?

あの人、あんたのこと好きなんでしょ」

えっ

えっ???

ミエの頭は突然の新事実についていけず固まった。

ユンヒは笑いながら向こうを指差す。

「あれ見てよー面白いから!大魔王追いかけられてるw

「あ、もう終わってる。珍事件だったのに」

ようやく女子たちの追及が終わったらしい。

げっそりとしたチョルの後ろで、ジンソプが「慰めてあげよっか」とフォローしているのが見える。

 

バチッ、と目が合った。

自分のことを「特別」だと思っているらしい、キム・チョルと。

ミエは咄嗟に目を逸らした。

何事もなかったかのように、口笛を吹いて後ろを向く。

男子たちが、「なぁ大丈夫?何があったんだよ」とチョルに聞いているのが聞こえる。

なんだか胸がザワザワした。

ミエは目を逸らし続けながら、そのザワザワを持て余す・・・。

 

<そうじゃないのに>

家に帰ったミエは、ベッドに寝っ転がりながら色々と考えていた。

ベ・ホンギュが言った言葉を思い出す。

「愛し合っちゃってんの?」

その直後、二人で同時にこう言った。

「なんでこいつと!!」

チョルは友達。友達のはずだ。

そのはずなのに・・・。

先ほどユンヒから「キムチョルはミエのことが好きだと思う」と言われた後のことを思い出した。

 

「ちょっとちょっと〜」

「何言ってんのさ〜からかわないでよ」

冗談だよ、と言われると思っていた。

しかしユンヒは、真面目な顔をして言う。

「いやそんなつもりで言ったんじゃないし。本気で言ってるけど」

ユンヒが「だよね?」とチヘとチソンに聞く。

二人も当然の如くうなづいた。

「何言ってんのさ!好きってなによ好きって・・・」

「いや、見てればすぐ分かるけど?」

まるで追い詰められているような気分だった。

ユンヒたちはジリジリとミエを囲む。

「ねぇファン・ミエ」「な、何?」

「今まで大魔王が何回助けてくれて、何回面倒見てもらったの?」
 
「それは・・友達だから・・」「あ〜指が足りなくて数えられない!」
 
 
どんどんユンヒの言う「チョルがミエを好き」に引っ張られそうになるが、
 
ミエはまだ信じられなかった。たった一つ、根拠を持っているからである。

「でもあいつはハッキリ言ったんだよ?!」

「なんでこいつと!!」と・・。

 

ありえないってなんであいつが私と・・

いやなんで私が?

なんでこんなに気にしているのか、だんだん分からなくなってきた。

けれどユンヒはミエの言う「根拠」を信じることなく、諭すようにこう言った。

「とにかく!そんな否定しないで、私たちの言葉を信じなさいって!」

「そうそう!」

「いや・・だからなんでそんなん信じる・・・」

「私は100%確信してるから!!

キム・チョルは、絶対にあんたのことが好きだって!!!」
 
 
 
友人の100%の確信を突きつけられて、ミエはさすがに動揺した。
 
ではどうやったらそれを100%実感できるのか?
 
ミエはある行動に出る・・。
 
 

第七十九話④でした。

 

そんな・・!チョル→ミエはそんなにあからさまなの!?

周知の事実だったなんて・・本人さえまだはっきりと自覚してなさそうなのに・・

結構衝撃でした。

さてここからミエが意識していくターンですね!!楽しみです

 

第七十九話⑤に続きます


第七十九話③

2023-02-18 | 第七十九話〜第八十一話

ファン・ミエとモ・ジンソプはまだわちゃわちゃやっていた。

ミエがぶちまけたゴミを、ジンソプが横取りして拾う。

「私が拾うから!離してっ」「いや俺が拾うし」「私のだっつーの!離せってば!」

 

「君、いつも自分のだって言うね」「だって私のだもん!!」

以前自販機の下にあった小銭を取られた恨みを、ジンソプはまだ持っていたらしい(笑)

相変わらずニヤニヤと笑いながら、ジンソプはミエに言う。

「あ〜だからキム・チョルのことも・・・」

自分のものって思ってるの?と全て言葉にする前に、大魔王が現れた。

グシャッ!

「俺が半分に分けてやるから離せ」

というわけでゴミは、公平に分配されました。

「いや、これはマジで俺の・・」「シャーッ」

チョルとジンソプはゴミが半分ずつに分けられてるかどうかまだ議論していたが、

ミエの心の中は平静ではなかった。

あの子と話終わったのかな・・別に何もなかっ・・

はっ!

泳ぐ視線をジンソプに見られて、ミエはじっとりと彼を睨む。

何見てんのさ。今変なこと言ったらブチ殺す・・
 
ジンソプはそんなミエの隣で、こう思っていた。
 
[こいつ、やっぱり面白いと思うんだが・・] と・・。
 

 

ふと、チョルが気づいた。

「おい、肩にほこりついてるぞ」「えっ?」

「どこ?ここ?ここ?」

「そっちじゃない、反対。スカートにも」

「あ、それと今日・・」

チョルは言葉を続けようとしたが、ふと隣で自分を凝視する存在に気づいた。

思わずビクッとするチョル。

「な、なんだよ・・何見てんだよ」「ん?何が?」

チョルは思った。そしてミエも。

[・・こいつ、今日はなんだか嫌な感じなんだが] と・・・。

 

<驚くべき指摘>

 

後方から、チョルに声が掛かった。

「キム・チョル!あっちで呼んでるよ!早くきて!」

「もう大丈夫だな?子供じゃあるまいし・・

チョルはそう言うと、クラスメートのところまで走って行った。

いい加減にしろよ、と二人に言い残して。

 

複雑な胸中のファン・ミエ。

ふと隣を見ると、モ・ジンソプはミエをガン見していた。

ビクッ!

ふぅ〜〜ん

イラッ

ミエのイラつきは遂に爆発した。

「頼むからその顔止めてくんない?!

あんたも結局それ?!付き合ってるかって?好きかって?
 
友達同士でお互い気に掛け合って優しくすることもあるでしょーが!!もーうんざり!」

するとジンソプがぽつりと言った。

「全く・・俺がそんなにバカに見える?」「違うの?」

「なぁファン・ミエ、男女関係においては君よりは俺の方が専門だと思うけど」

「本当に分からないの?」「何が?」

疑問符を浮かべるミエに、ジンソプはその核心を口にした。

「キム・チョルの、君への接し方はちょっと変わってる・・いや、」

「「特別」じゃない?」

「・・へ?」

物事の核心を、ジンソプは確信を持って口にしていた。

一方ミエはまだその核心に、初めて触れる段階だ——・・。

 


第七十九話③でした。

 

モジンソプ!さすが学年1のプレイボーイ!

しかしジンソプのミエに対してのポジションがいまだに謎・・。

亮さんポジになるにはまだミエとの関係が薄いし、チョルとミエが恋仲に発展したらまた変わるのか・・?

気になる木です

 

第七十九話④に続きます


第七十九話②

2023-02-15 | 第七十九話〜第八十一話

ニヤッ

モ・ジンソプの微笑み(?)に困惑しているミエであったが、

チョルもまた、当惑していた。

 

 

<当惑と困惑>

「な・・何?ツ・・?」

「ツーツー!知ってる?ギョン・フンとジュ・ヨンがツーツーだから、ローリングペーパー書いてるの」
 
「何?ツーツーって」「付き合って22日になったって意味だよ」
 

チョルは聞いたことのない呪文のような言葉に、ただただ戸惑っていた。

まごつくチョルを見て、ショートカット女子はケラケラと笑う。

「ていうかマジで知らなかったの?ピュアすぎだよ〜」

「俺その人達のこと知らねーけど・・」

ツーツーというのはカップルの記念日だと、ようやく理解したチョル。

けれど見たことも聞いたこともない二人に、一体何をしたらいいのか分からない。

とりあえず「おめでとう」と紙に書いた。

「大丈夫大丈夫、ただ集まってお祝いするだけだから。キム・チョル君が書いてくれたら喜ぶと思うよ」

真面目に祝いの言葉を書くチョルに、女の子は「本当に硬いね」と言ってさらに笑う。

そしてショートカット女子は、チョルに向かって手のひらを差し出した。

「はい、じゃあ200ウォン」「え?」

「ツーツーは記念に一人100ウォンを2枚ずつ集めてあげるんだよ」「なんで俺が・・嫌だよ」
 
「まぁまぁ・・ゴミ拾い終わったら一緒にツーツーパーティー行くよね?めちゃいっぱい友達来るよ」
 
「いや・・行かない」「大丈夫だって〜」
 
 
聞けば聞くほど、その文化に馴染めないチョル。

ここは田舎とは違うのだ。

 

[都市文化に全く適応出来ないキム・チョルであった]

 

 

<山越え山>

 

一方、モ・ジンソプとファン・ミエはというと。

「ふぅ〜〜〜〜〜ん」

ジンソプはニヤニヤしながら、ミエの視線の先を追った。

そこにはキム・チョルがいる。

「だから何よ?!なんなのよ?!」「いやなんか・・」

「なんか何?!」

まるで喧嘩腰でそう聞くミエに、ジンソプは全てお見通しのような顔で笑う。

「ふむ」

「ふーん・・」

「もしかして・・」
 
ミエは「何が?」と言いたいが言葉にならない。
 
冷や汗が全身を伝って行く。
 
「ミエ・・・君さぁ・・」
 

「キム・チョルのこと・・」

「好・・・」

ジンソプがそのワードを口にする前に、ミエは大声で全否定を叫んだ。

「違う!!違うから!!」

「絶対に違うからっ!変なこと言うとぶっ飛ばすよ?!」

「え〜?変な事って?ゴミ全部落としてるよ

ミエとジンソプがわちゃわちゃしている時分、チョルはまだショートカット女子に捕まっていた。

 

「チョル君は彼女作らないの?ファン・ミエちゃんと付き合ってるってほんと?」

切り込んだ質問に、チョルは少し戸惑った。

「え?いやあいつは・・」

「と・・友達・・」

そう口にした瞬間、チョルの目が見開かれた。

視線の先には、モ・ジンソプと戯れるミエの姿がある。

「ちょっと!ゴミ拾わないで!どこいった?」

「それ私のだから!ちょっと!手ぇどけてっ!」

チョルは二人から目が離せなかった。

すごく仲が良さそうだからだ。

チョルの胸の中がモヤモヤと煙る。

しかしそのことに気づかないショートカット女子は、さらに言葉を続ける。

「そうなの?じゃあ私とも友達になってよ!」

「は?ならない」

チョルは女の子のお願いをバッサリと一刀両断し、

そのまま歩いて行ってしまった。

向かうところはただ一つ。

モヤモヤする心に従って、チョルは歩を進めた——・・・。

 


第七十九話②でした。

 

ツーツー!初めて知りました

調べてみると韓国のカップルはことあるごとにお祝いなんですね・・!

22日記念日の次は49日で、100日、200日、と記念日は続くそうで

チートラの雪ちゃんと先輩はそんなにお祝いしてたっけ・・?と記憶を辿る私です・・

中高生とか若い子がお祝いする感じなのかな?

韓国のカップル事情、気になりますね・・

 

 

第七十九話③に続きます