青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第六十九話②

2022-09-30 | 第六十七話〜第六十九話

<あなたと私のテレパシー>

反省時間が終わり、ミエはヨンヒとソラと共に教室に戻された。

講師は大量のプリントを生徒たちに配ると、早速模擬試験の話を始める。

「模試に備えた過去問を、新たに採用しました。

特別にソウルの有名塾から苦労して手に入れたものなので、全問解けるように」
 

「では、はじめ!」

それらに真面目に目を通すチョルと、慌てふためくミエ。

前のも全部できなかったんだけど!いつの間にこんな溜まってたの?!

そんなミエの様子を見て、ベ・ホンギュがからかってくる。

「どっかで仔犬がキャンキャン鳴いてっぞー」

そしてジョ・ハンは、そんなホンギュのことをじっと見ていた。

何やら思うところがあるようで・・・。

 

 

ミエはやる気の出ないまま、机に突っ伏しながら問題を解いていた。

あぁ・・やりたくない・・

前を見ると、男子たちが(主にホンギュとジョハン)が何やら言い争っていた。

しかしミエには、チョルの背中しか目に入らなかった。

そして心の中で、彼に向かってテレパシーを送る。

振り返れ・・こっち、こっちだよ〜
 
振り返れ振り返れ〜からかいたい〜からかいたいんだよ〜
 

瞼の裏には、またあの時の光景が蘇る。

ほんとなんであんなこと言ったんだろ・・マジウケる

「愛する・・」

あんたがそうくるなら私だって当然・・

「美・・」

 

チョルの声がなぞる自分の名を鼓膜の裏で聞く前に、

ミエのテレパシーは通じた。

ビクッ

チョルは自分の方をじっと見ているミエにビビった。

一体何なんだ、と思いながらも、チョルはミエの方を見続ける。

するとミエは、ニコッと笑った。

予想だにしないリアクションに、チョルもまた不意を突かれた。

ぱくぱくぱくぱく!

ミエは突然、パクパクと口を開いてチョルに何かを伝えようとした。

ぱくぱくぱく!

テレパシーは通じても、ジェスチャーは通じないようだ。

チョルはミエが何を言いたいのかさっぱり分からない。

「あんたが私のこと・・」

ようやくからかえる、とミエが口を開こうとした瞬間、

この男が振り返った。

今度はミエが不意を突かれた。

パク・ジョンウクはにこりと微笑んで、ミエに優しい言葉を掛ける。

「どうしたの?解けない問題ある?」

「え?あ・・」

「分からないことがあったら聞いてよ。塾の進度はどう?ついていけてる?」
 
突然振り返ってそう口にしたジョンウクを見て、「何あいつ」とヨンヒは不思議そうだった。
 
ミエはチョルをからかいたいことで頭がいっぱいで、ジョンウクへの返答が曖昧になってしまう。
 
「う、うん、ただその・・」
 

そうこうしている間に、再びチョルは前を向いてしまった。

簡単そうで実に難しい、”キム・チョルをからかう”ミッション。

ミエはまたしても次の機会を狙って、その時を待っている——・・・。

 


第六十九話②でした。

 

ミエのテレパシー通じましたね

そしてジョンウクの、”背中に目がありそう”感がすごいw

 

第六十九話③に続きます

 


第六十九話①

2022-09-26 | 第六十七話〜第六十九話

タバコを潰されたジョン・ソラから、黒いオーラが立ち上った。

低音ボイスがミエの目前に迫る。

「この・・・クソが・・・・・」

「いやいやいやいやいやいやっ!」

顔面蒼白のミエ。

そして次の瞬間、目の前に手が飛んで来た————・・!

バシッ!

しかしその手はソラの手ではなく、チャ・ヨンヒの手だったのである。

「おっとそこまで。子供相手に何してんの?情けねーなぁ」

「へぇははへよ(手ェ離せよ)」

「は?何て?よく聞こえねーな。もっとはっきり言ってくれる?」
 
 

突然始まった喧嘩に、ミエは「え?なに?いきなりなに?この人たち・・?」とパニックだ。

その間に、ソラがヨンヒに向かって攻撃した。かわすヨンヒ。

二人は互いの襟元を掴み、

そのままボカボカと殴り合いを始めたのだった!

ミエは衝撃のあまり固まっている。

 

 

 

「あーーーっ!このクソがっ!!」

「死ねっ!!」

二人は揉み合いながら罵詈雑言のオンパレード。

ミエはオロオロとその周りをぐるぐる回る。

「ちょ、ちょい待ち!ねぇっ!」

ちょ・・突然なんなの?!

ミエはもう訳がわからなくなり、とにかくこの喧嘩を止めなきゃと一歩踏み出した。

「だめっ!私のために喧嘩しないで!」

しがみついたのは、ジョン・ソラの腕であった。

バッ!

「わっ!」

ソラが思い切り腕を振り払ったので、ミエは後方によろめいた。

ソラは肩で息をしながら、信じられないものを見るような目つきでミエを見下ろす。

ソラが口を開いた瞬間、ヨンヒの手がにゅっと伸びた。

「何言・・」「どこ見てんだよ。こっちだよこの野郎

そして再び始まった殴り合いを呆然と見つめるミエの後ろに、笑顔の塾長先生がやってきたのだった・・。

「おっ!人目を気にしない感じがいいね!」

「このクソが!」「このっ!」「なんだよその目は!」「殺す!殺す!」

「三人とも職員室行きね!」
 
 
そして納得できないまま、ミエも職員室へと連れて行かれたのだった。

 

<鯨の戦いにエビの背中が破ける>

これは韓国の諺で、意味は「とばっちりを受ける」というもの。

まさに、今のミエの置かれた状況にピッタリである。

 

先生、なんで私も一緒に・・

文字通りとばっちりを受けたミエは、ぼんやりとそんなことを思いながら両手を上げていた。

チラリ、と隣の二人の方を見る。

 

ヨンヒはあくびをしていたが、ソラは無表情でただ両手を上げていた。

その横顔からは、なんの感情も読み取れない。

ミエはビクビクしながら、ソラのことをじっと見ていた。

タバコを隠し持ったり、ヨンヒと喧嘩したり、未だこの子のことはよくわからない・・。

するとそこに、Sクラスの面々が通り掛かった。

「おっ!レディースじゃん!お前らいつも喧嘩してんな〜。

クラスに三人しかいねー女子同士、仲良くしろよな〜」

「怖くて塾に通えませ〜ん」「止めろよ」

そんなホンギュにヨンヒは「黙れ」と返していたが、ミエはキムチョルしか目に入らなかった。

そしてキム・チョル→「愛するミエ」をからかう、という方程式をすぐに思い出し、意気揚々と声を上げた。

今だっ!ねえっ!」

「あんたさっき・・」

しかしハッと気がついた。ここにはヨンヒとソラがいる。

ほどなく口を噤んだミエ。ホンギュはまだ言ってくる。

「Sクラスが変な噂されてんの、お前らのせいだかんな?」

返すヨンヒ。

「は?うるせーお猿さんだな」 「なにっ?!」

そして今度は、ミエの隣でベ・ホンギュVSチャ・ヨンヒが始まってしまった。

「なんつった?!このヤンキーが!」

「猿がキーキー発狂してんな。これでも喰らえ

「女だからって容赦しねーぞ!」「動物だからって容赦しねーぞ」

「てめー!!」

「いや・・ちょ・・待っ・・」

するとそこに、大きな手が伸びた。

「もう止めろ。行くぞ」

ハッ

顔を上げたミエのことを、チョルは深いため息をつきながら一瞥し、

そのまま行ってしまった。

 
[その・・・なんというか・・失敗である]
 
 
キム・チョルをからかう作戦はまたも延期。
 
ミエは「次の機会を待つ」と心に決めて、その瞬間を虎視眈々と狙っている・・・。

 


第六十九話①でした。

 

身長170センチ越えの二人の喧嘩は、迫力ありそうですね!

ミエちゃんの非力感w そして本当にとばっちりw 先生、ミエちゃんは見逃してあげてー!!

 

 

第六十九話②に続きます


第六十八話④

2022-09-22 | 第六十七話〜第六十九話

<作戦名はL・O・V・E>

塾のバスを降りてからミエは、[しつこいミエ]としてリベンジに臨む。

「よーっし!塾で再チャレンジだ!」

「おっ!すぐさま発見!しかも金魚のフンまで〜!」
 
 
すぐにキム・チョルとベ・ホンギュが一緒に歩いているのを見つけた。
 
買ったらしいパンを、チョルがムシャムシャと食べている。
 
「シールまだ集めてんのか」「チッ、またこれかよ〜。ゲッ、一口で・・」

そこで叫ぶのだ。往来の真ん中で、大きな声で。

「ねぇ!チョルキムチョル!私見たんだからね!」

「あんた、私を・・愛してるんだって〜?!」

顔色の変わるチョル。

「なっ!」

バカ笑いするベ・ホンギュ。

「なんだ?何の話?まじかよ、愛?」
 
「おいっ!ファン・ミエーーーッ!」
 

そしてそう叫ぶチョル——・・・・。

 

 

・・・という光景を、ミエは想像して笑っていたのである。

しかし実際の彼らは、スタスタと塾の建物に入っていくところだった。

必死に追いかけるミエ。しかし二人はすでにエレベーターの前だ。

「ねぇ!待ってよ!話聞いてってば!」

ミエが到着する前に、二人はエレベーターに乗り込んだ。

扉が閉まる。

「あっ、ちょっと・・!」

 

バンッ!

 

すると斜め前から来たジョン・ソラと、思い切りぶつかってしまった。

しかもその拍子に何か踏んだ。

「あっごめん!大丈夫・・」

よく見てみると、中学生が持ってちゃあかんやつ!

「ん?!」

「ヒィッ!」

ミエがソラのことを見上げると、彼女はじっとミエのことを睨んでいた。

あたふたするミエ。

「あ・・これはその・・げっ!」

なんと、向こうから塾長がやってくるではないか。

ミエは何も考えられなくなり、咄嗟に足でそれを踏んだ。

「あぁ、君たち来てたのか。何してるんだ?早く上がりなさい」

「こっ!こんにちは!」
 

そのおかげか、塾長は何も気づかずにそのまま通り過ぎて行った。

「車どこに停めたっけな〜」

落ちる沈黙・・・・。

 

 

<緊急事態>

 

しばらくそのままの格好でフリーズしていたミエだが、

「あ・・・」

ゆっくりと足を外してみた。

スッ・・

「ヒーーーーッ!!」

そこには、無惨にも踏み潰されたタバコが・・。

ミエは平謝りである。

「ぎゃーっ!ごめん!塾長先生が急に来たから・・怒られるかと・・どうしよう〜!」

慌てるミエの前で、ただ俯いているジョン・ソラ。

「こ、これって何円くら・・」

しかし次の瞬間、ドスのきいた低い声がその場に響いた。

「この・・クソ・・・」

「い・・・」

まずい、と思ったがもう遅かった。

ジョン・ソラの方から、黒いオーラが立ち昇る・・・!

 


第六十八話④でした。

 

ひーっ!ソラちゃんてば、塾にそんなん持ってきちゃだめ!

この二人、身長差が20センチくらいあるので、上から睨まれてミエは相当怖かったと思われます・・

 

第六十九話①に続きます

 


第六十八話③

2022-09-18 | 第六十七話〜第六十九話

「たっだいまーーーっ!!」

”キム・チョルをからかってやろう”、ファン・ミエの頭の中はそのことでいっぱいだ。

「ちょっとあんた!さっき文房具屋で見たぞ!あんたが私を、愛してるってー!!」

みんなの前でそう叫んだら、チョルは血相変えて飛び上がるだろう。
 
「はっ?!なんで知って・・!」
 

想像するだけでもワクワクが止まらない。

ミエは待ちきれずに、まだ塾の始業まで大分あるというのに家を出た。

「めっちゃ面白そう!塾行ってきまーす!!」

後ろで母の「ミエ!あんた外出禁止・・」という声が聞こえたような気がするが、

それどころではない!

そして道に出るやいなや、キム・チョルと出くわした。

「あっ!ここで会ったが100年目!」

「ちょっと!さっき・・」

ミエがそう言おうとすると、チョルは急にハンドルを切って、

ミエの前にキッと自転車を止めた。

「名札あったか?」

「え?」

突然真正面からそう聞かれ、ミエは普通にその問いに答える。

「ううん、まだ・・」

はっ

しかしすぐに本来の目的を思い出した。

「じゃなくて、あんたさっきさ、」

チョルは一瞬ギクッとしたが、

すぐに気になっていたことを話し出した。

「つーか・・さっきこの辺でバカ笑いしてたのはお前か?」

「え?そうだけど?」

「はぁ?!お前一体なんなんだよ!」「へっ!?何が?!」

「何がってお前・・!」

首を傾げて目を丸くするミエに、チョルは何も言えなかった。

ミエを前にすると、いつもこんな感じになる。

「お前、一日中心ここにあらずでぼーっとしてたよな。

特に何かあったわけでもねぇのに、一体なんなんだ?」

「ええ?何って・・」
 

ミエはチョルの言っていることがよく分からなかったが、とにかく今はチョルをからかうことで頭がいっぱいだ。

「いやそれよりさ!さっきあんたが・・」「さっきの毛虫の話じゃなくて!」

「え?毛虫・・?
 
 
会話は、噛み合わないまま続いていく。
 
「そもそもお前さ、歩くときはちゃんと前見て歩けよ。
 
飛行機探すとかなんとか言ってっけど、それってなんでだ?一体何してんだ?」

「え、それはさぁ!」

「そんなことしてなきゃ、ぶつかることもなかっただろ?」

「さっきもそうだよ。なんで他のことばっか考えんだ?

転んだら危ないって分かんねーのか?今よそ見してんのもわけわかんねーし」

「いや・・・」

ミエはよく分からないけれど、チョルの顔が見れなかった。

「痛くねーのか?倒れながら頭ぶつけでもしたんじゃねーの?」

「え?何言ってんの!私は全然元気だし・・」
 

「もし後からでも痛くなったら、絶対お前の親に言えよ。

頭じゃなくても、違うとこ痛めてるかもしんねーから」
 
「いや・・」
 

「分かったな?」

そう言ってミエを見つめるチョルの目を、ようやく見ることが出来た。

肩越しにだけれど。

「あ・・」

「つーかさ、」

「お前何か忘れてない?」

「えっ?」

その突然のチョルの一言に、ミエは頭を悩ませる。

「何?何を?私何か忘れてる?」「・・・もういい」

「しゃんとしろよ」

最後にチョルはそう言って、そのまま自転車で走り去って行った。

ビュンッ

ポカンと口を開けて固まるミエ。

はっ

「ちょ・・!ねぇ!話聞いてよ!ねぇーっ!待ってよーっ!」

我に返ってそう叫んだものの、もうすでにチョルの姿は見えなくなっていたのだった・・・。

 


第六十八話③でした。

 

えーーっと。。。チョルの言う「何か忘れてる」ってのは、チョルとミエが一緒に遊ぶ約束のこと・・で合ってますかね?!

チョル、読者も忘れてたよ! いつか実現するのかな?!

 

第六十八話④に続きます

 

 


第六十八話②

2022-09-13 | 第六十七話〜第六十九話

<愛と美愛>

ミエは文具店の側で立ち尽くしていた。

[ファン・ミエは耳を疑った]

[え?さっきなんて言った?]

「あ・・・あ・・」

ミエは先ほどのチョルの言葉を、少し誇張して思い出してしまう。

「愛するの・・美愛」

頭の中に、バーンと大きなハートマーク。

”愛”・・?

思い浮かぶ愛の歌を歌う歌手。

「愛とは〜!」

[キム・チョルと私の・・]

”愛”とは・・昔話でよくあるこんなのとか・・

少女漫画でよく見るこんなのとか・・

・・てこと!?

愛!?

頭の中で何度も「愛とは〜」の歌が聞こえる。

[初めて肌に直接触れた、自分の名前と”その”単語は]

自分の名についた”愛”が、鳥肌となって浮き出てくる。

そしてついに、ミエは耐えきれなくなった。

ぶふぅーーーーっ!!!

「ぷははははは!!!」

空に、町内に、ミエの大爆笑が響き渡る。

「きゃはははははは!!!!」

「ぎゃははははは!!!」

「あーっはっはっはっはっ!!死ぬっ・・ヒィッヒィッ・・」

「ぎゃははははははは!!!」

その不審すぎる姿を見て、ご近所さんが「あれ・・ファンさんとこの娘さん?」

「また始まったわね・・」とドン引きしながら話していた。
 

けれどミエにとってはそれどころではない。

ちょっとマジヤバすぎて、腹筋崩壊しそうなんだけどー!!
 
単に店員のおじさんの言葉を繰り返したんだろうけど、
 
何?ぼーっとしてたん?ありえないんだけどー!

「愛するの愛?」「ハイ、ハイ、アイスルノ・・アイ」

まるでオウムのように反復するだけのチョルに、笑いが込み上げてくる。

だって、正気だったらきっと・・。

「愛する・・」

ミエは、あの時のチョルの表情を想像する。

モジモジバージョンや、イヤイヤバージョン。

「愛するの・・・愛・・」

”愛”に耐えきれないブルブルバージョン。

「あひ・・ふる・・くっ・・」

もう可笑しくてたまらない。

ミエは再び吹き出した。

「ぶはっっ!!!」

けれど脳内では次なるバージョンを生み出していた。

それは、

”愛”の真剣バージョン——・・・

「愛する、美愛・・・」

 

 

再び、ミエの呼吸が止まった。

ただただミエは吹き出すことも出来ず、胸の中にある感情に、ただ動揺する。

 

<不発>

ミエはしばし固まったが、

「ブフッ!」

すぐに再び吹き出した。

[いやもうこれはとても我慢できない。

絶対にからかってやらなくっちゃ!!]

ミエはそう決めて、速攻で家に帰ったのだった。

 


第六十八話②でした。

 

おおっ!真剣バージョン、ドキッとしたー!!

ミエちゃん、とうとう自覚するか?!と思いましたが、すぐに笑っちゃってたので、

もうちょっと時間がかかりそうですね〜

自覚の瞬間楽しみだな〜(ニヤニヤ)

 

第六十八話③に続きます