青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第九話①

2021-03-15 | 第七話〜第九話

「ねぇねぇ!ファンミエ 、ファンミエ !早く!早くあれ見て!」

ユンヒの声に、ミエは彼女が指を差す方向を見た。

「あそこ、アンタの彼氏が・・!」

そこには”大魔王”こと、キム・チョルが立っていた。

そして彼の目前には、高校生が三人。

ユンヒは含み笑いをしながら、ミエの隣で肩を揺らす。

「ちょっと止めてよ!そういうこと言うな!」
 
「チョルがミエの彼じゃないなら誰が彼氏だっつー話でしょ!」
 
「ちょ、マジあそこ見てって!大魔王!」
 
「あれ○○高校の人だよね?チャラい人が多いっていう・・」
 

「なんかヤバめな空気じゃない?」

不穏な空気に、道ゆく人々は全員見学中だ。

すると次の瞬間、”大魔王”が高校生ににじり寄った。

「おおーっ?!殴るか殴るか?!」

「逃げた・・」

「何だあれ〜」

ザワザワッと見物人達の話し声が、チョルの耳に入った。

「うわっこっち見た」

「ファンミエ 、いこ!」

ユンヒに促されるまま、その場を後にするミエ。

彼女達の話題の中心は、今見た”大魔王”の現場のことで持ちきりだ。

「大魔王、高校生達をクモの子散らすように追い払ったね」

「手出しすらしてなかったよ」
 
「すごいね」 「何がすごいのよ」

他の子達よりも、ユンヒは”大魔王”に否定的だ。

そんなユンヒが、ミエに改めてこう聞く。

「ったく・・。ファン・ミエ 、ソッコー席替えしたいっしょ」

「ん?」

ミエは一拍置いて、淡々とこう答えた。

「ん!ソッコーで!」

「この子ちょっと返事に詰まったんだけど」「意外にも当事者は何も思わないんかな?」

 
「実はもうデキてたり?w」
 
「?!何言ってんの!もちろんソッコーで席替えしたいって!」

「先生達もからかってくるしさぁ・・」
 
「マジそれ〜」
 
グチや文句を言いながら、少女達は家へと帰って行く。
 
そして帰ってからも、受験勉強が待っているのだ。
 
 
[暮らしていく中で]
 

[あんまり気にしたくはないけど]

[どうしたって気になってしまうものはある]

どういうわけか猛勉強中 

[例えば、模擬試験とか]

[予習とか]

習ってないとこ、一人でもそれなりに出来たじゃん? 

とファン・ミエ は思っていた。

塾に通う子達を意識して、少し先までやってみたのだ。

あーちょい休憩 勉強超頑張った

ミエは伸びをしてから、いつものように息抜きのためにタンスの上に上がった。

「・・!」

ふと窓から下を見ると、そこには自転車を押すチョルの姿があった。

「また?」

あの人去年はほとんど見かけなかったのに、最近ちょくちょく見るよね・・?

「!」

するとチョルは突然足を止め、不意に視線を上げたのだった。

しかしその方向はミエが居る場所よりも、もっともっと上だ。

お・・びっくりした。こっち見てるわけじゃないか

 

 

チョルは遙か遠くを見つめながら、ゆっくりとキャップを取った。

どこか切ないような表情で。

 

ミエは彼が何を見ているのか気づいて、自分もそれを見ようとする。

・・月

 

チョルの真上に、少し欠けた月が浮かんでいた。

ミエが居る室内からは、角度が足りないようだ。

こっからは見えないや

 

ただじっと月を見るチョル。

その彼をじっと見る、ミエ。

[ん・・・そして]

やがてチョルは視線を下ろし、再びキャップを被った。

そして彼は、月の下にある建物の方に視線を移した。

 

自転車に乗ってチョルが去っていくまで、ミエは彼のことをずっと見ていた。

・・窓の下側に隠れながら。

「・・・・」

誰もいなくなった路地を見つめながら、ミエはポツリと呟いた。

「君は一体何を考えているのカナ?」

[隣に住む大魔王とか]

どうしたって気になってしまう、

ミエにとってチョルは、そういう存在だった。

 

 

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第九話①でした。

切なげな表情で月を見上げるチョル、良いですねー!

一体何しに自転車で出かけてるのか・・まだまだ謎は深まるばかりです!

 

第九話②に続きます