チョルがいなくなった。
しかも先ほど聞こえてきたあの通話・・・。
「大魔王のダチがイ・インウクのこと舐めてっから、
今回手ぇ貸して欲しいって頼まれたんだよ」
[・・・え?]
[そういえばどこかで聞いたことのある名前だと・・]
チラッと見ただけだが、表示された名前はどこかで知ったそれだったように思う。
今セモ駅周辺にいると、メッセージを送ってきていた。
「ヨンミン先輩」
すると突如、以前チョルと一緒に図書館に行った時のことが思い出された。
モ・ジンソプと数人が一緒にいたのを、ミエは目撃していた。
[あれ?そういえば声も・・]
そうだ、どこかで聞いた声だと思った。
自販機で小銭を拾おうと屈んでいた時に聞いた声だった。
「くそっ・・大魔王」
「最近完全に良い子ちゃんだな」「わざわざ会いに行ったのに、頑固でよぉ」
「てかガク・テウクぶっ飛ばしといて、なんでこんなに静かに・・」
あの顔だ。
思い出した。
そして気になることがもう一つ。
”大魔王のダチ”なる人物だ。
先ほどポケベルの確認をしに電話ボックスを出たチョルは、こう言っていた。
「ジョンウクからだった。ホンギュが急に他の約束が入って、ちょっと遅れるって」
「何よそれ?あいつの誕生日のために集まるのに」
点と点が、繋がって線になる。
「大魔王の友達がイ・インウクのこと舐めてっから、
[あれがジョンウクなはずはないし・・。ベ・ホンギュなの?]
[だとしたら今頃・・]
ベ・ホンギュが・・?!
ベ・ホンギュが、悪い先輩達に連れて行かれた———・・!
<速戦即決!>
ソンイとジンソプの前で、ミエはパニックになった。
「それが本当ならどっかに知らせなきゃ!!話さなきゃ!!
思わずそう口にしたジンソプの言葉で、女子二人が固まる。
「・・・・」
その視線に耐えられず、ジンソプはしょうがなくこう言い直した。
「い、いや・・なんとかしなきゃな」
ミエは自分の手のひらをもう一度見つめてみた。
「番号がわかるようなわかんないような・・なんだっけー?!」
とりあえずミエは電話ボックスに走った。
ソンイとジンソプから借りたありったけの小銭を抱えて。
ピッ・・
その時、ふっと思い出した。
百済中に転校してきた時の、傷だらけのキム・チョルを。
暴力事件を起こした大魔王、と鳴り物入りで越してきたキム・チョルだったが、
真相は全く違っていて。
「あの子の顔の傷、自分一人でただ転んでできた傷なんだ。
まだ寒さの残る春先、ゴミ捨て場で蹲っているチョルを見た。
赤く潤んだ目をして、もの悲しい表情で・・・。
本当にキム・チョルに話すのが正解なんだろうか?
もう問題は起こしたくないと願っている彼を、巻き込まない方がいいんじゃないか?
ミエのそんな気持ちが、ボタンを押す指を押し留めた・・・。
第九十一話②でした。
オヨヨ、事態は進行中!
お猿が殴られちゃう・・!のミエが可愛いww
そしてジンソプの咄嗟に出た一言に彼の人間性が現れて、二人がドン引いているのがいいですねw
第九十一話③に続きます
いきなりあちこち散りばめられてた話のタネが
ぎゅっと回収されだしましたね。
スリリングな展開、緩急すごいですー。
負けんなおさるー!
本当、回収されてきましたね!1日が何話にもわたって展開されるので、記憶してないとわかんなくなりますー!