青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
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第七話④

2021-03-05 | 第七話〜第九話

 

ミエが怒りの縄跳びを飛んでいる頃、

チョルは一人自転車を漕いでいた。

キイッ、と自転車を止めて見入ったのは、

今はもう自分の捨てた物も無くなったゴミ捨て場だった。

[そしてキム・チョルも、ゴミ捨て場を見て何かを思い出す]

[数日前 始業式の前日、断捨離をした日]

ウイイン、と掃除機の音がうるさい。

断捨離も含めた大掃除は、もう終盤だ。

「掃除終わり!」

出て来たゴミを見ながら、家族がワイワイと会話していた。

「ふぅ、これで全部終わりだな!一日仕事だった

「あれ、小さい頃遊んだけど今はもう使わないでしょ?これももう必要ないね。
あ、テ◯タビーズは捨てちゃだめ
 
 
「・・・・」
 

それらをじっと見つめるチョルと、父、そして妹。

そこに騒がしい姉が加わる。

「いいねぇみんなで掃除してくれて家具も変えてもらって〜〜」

「スンジョン、アンタの部屋も掃除したでしょ」

そして笑顔の母も。

「チョルはもう受験勉強頑張るんだもんね?」「全校一位取るってか?」

女性陣にもみくちゃにされながら、チョルはそこを抜け出し靴を履く。

かかとを潰しながら。

「どこ行くん?」「ゴミ捨ててくる」「まだ寒いよ!上着着て行きなさい」

 

段ボールを抱えたチョルは、ゴミ捨て場まで歩いて行く。

二月の終わりの、まだ寒さの残る夜。

ゴミ捨て場はしんとしていた。

空には丸い月。

[いつもと同じ1日だった]

ドン!

[もう必要ないものを捨てるだけなのに]

 

段ボールに詰め込まれた、幼い頃使っていたその物達は、

色々な記憶とつながっている。

生まれ育った場所の風景や、温度や、匂い。

家族が揃った時の賑やかさや、笑顔や、感情。

幸せの記憶・・。

 

胸を締め付ける感情に従って、チョルはその場に蹲み込んだ。

ズッ

その時だった。

「ワン!」

突然聞こえた犬の鳴き声に顔を上げると、

そこに誰かが立っていたのだ。

「あ・・あの・・」

 

ファン・ミエ 。

彼女は何も言わないチョルの元へ近づいてくる。

「あれ?なんか・・」

 

「目が・・・」

 

暗くてピントが合いづらかったせいか、彼女が目の前に来るまで何も考えられなかった。

その女の子は目を丸くさせながら、まっすぐにチョルの目を覗き込む。

「悲しいの?」

 

突如浮かんで来た昔の記憶の中のミエが、チョルを現実に引き戻す。

「あっ」

ズベッ

「大丈夫?!」

[いや、全然大丈夫じゃない] [キム・チョルは、今苦痛の最中である]

 

胸と顔が恥ずかしさでかあっと熱くなる。

こんな感情を、チョルは何度も味わったことを思い出した。

「ミエちゃんと仲良くしろって言っただろ!」

[あいつの前だと・・]

チョルはミエの顔も見れずに、大股でその場を後にする。

胸の中はグチャグチャだ。

「・・んだよ」

「んだよ、クソッ・・」

「ファン・ミエ ・・!」

 

・・あいつの前だといつも恥ずいことばっか起こる!!

恥を拭うように、胸の中のグチャグチャを振り払うように、チョルは走った。

「うわーーっ・・!!」

チョルは心の中で、誰に言うでもなく感情のままに不平を鳴らした。

[マジで恥ずい死ぬほど恥ずい]

[なんでよりによってここに引っ越して来たんだ]

「あああああ!!!」

 

[16歳]

[恥は死ぬより耐えがたい]

 

 

 

あの日出ていた丸い月が、再び巡ってまた満ちる。

解けないループのように、また欠けて満ちる月のように、

チョルの心を廻り続ける。

[些細なことで胸はザワザワする]

[無駄に悩んで、感情は行ったり来たり]

[ザワザワと、行ったり来たり]

 

胸のザワザワとグチャグチャを抱えながら、二人は反対方向へと歩いて行ったのだった。

 

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第七話④でした。

おお・・!チョルくんがそんなことを思っていたとは・・

ミエのことが憎くて睨んでたんでなく、とにかく恥ずかしいところばかり見せちゃって

そうするしかなかったって感じ・・なのかな

 

そして初めて出て来た妹が可愛いですね〜〜

ここの場面で言ってる「テ◯タビーズは捨てちゃダメ」ですが、

「テレタビーズ」とは

このキャラクターらしいです↓

元はイギリスのキャラらしいですが、、知らなかった。。

知ってる方いらっしゃいますかね!?

またコメ欄にてお待ちしております・・

 

第八話①へと続きます