青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第八十九話⑤

2023-06-30 | 第八十八話〜第九十話

ミエの人生初プリクラの出来はというと・・・・。

ハジメテノ・・・プリクラ・・

大暴れした誰かさんのせいで、全ての写真がブレていた。

誰かさんは後ろめたそうに、壁の方を向いている。

「あっちゃー何これ」「ミエ、魂完全に抜けちゃってる

「キングコングが暴れたからなぁ〜」

「もう一回撮れば・・」
 
「い・・嫌・・!」
 

ソンイの言葉にすぐそう反応しかけたチョルであったが、

目を点にしたままのミエの姿を見て、

その先の言葉を飲み込む。

「わ・・わかったよ!撮ればいいんだろ撮れば!」

[ミエ、この子撮るってよ]

<これどうなっちゃったの?>

なんとか希望は繋がって、四人はもう一度プリクラを撮り直すことになった。

しかし小銭を入れようとした矢先、機械が不具合を起こした。

「あれ?これどうなったの?」

「あー硬貨吸い込まれちゃったかな、この機械どこの店のだろ」
 
「ちょっと行ってくるね!」
 
 
委員長気質のソンイと遊びの上級者ジンソプが、管轄の店を探しにこの場を後にする。
 
ここに取り残されたのは、白目のチョルと、
 
 
そんなチョルをじっと睨むミエ・・・・。
 
 
二人は言葉に詰まった。

プリクラ機の前、撮り損なった写真、それは全てチョルのせい・・。

重たい口が開いた。

「そ・・・それじゃ・・・」

この言葉を口にしないと、ミエは睨むのをやめてくれそうにない。

チョルは汗をダラダラ流しながら、喉に突っかかる言葉を絞り出す。

「今、一緒にもう一枚撮るか・・?」

「じゃああんたが払ってよ。私へのプレゼントに」

「え?あぁ・・プレゼント・・」

チョルがミエの言葉を繰り返すと、ミエはチョルを睨むのをやめた。

首をゆらゆらと振る。

確認するようにチョルを見るミエ。

チョルもそれを真っ直ぐ受け止める——・・・。

 

ドン!

ドドン!

ドドドン!

画して二人はプリクラを撮り直すことにした。

不自然に突っ立っているチョルに、焦ったそうにミエが促す。

「ねぇ、もうちょっと寄ってよ。画面がちっちゃいんだからさぁ!」

仕方なくミエの方に一歩近づくチョル。

「もっと!」

「もっと!」

チョルは恐る恐る、ミエに自身の足を近づけた。

しかし画面で見ると、二人の体は全然近づいてない・・・・。

「あーもう!」

焦れたミエが、チョルのシャツを掴んで引っ張る。

「屈んで!もっともっと!あんた一体何を食べたらこんなに大きくなんの?とうもろこし?

ちょっとは分けて欲しいわ!もっと屈んで!もっと!もっともっとも〜〜っと!」
 
「ちょ・・ちょっと待っ・・」「顔映んなきゃだから!」
 
 
ようやく近づいた二人が、不意に顔を見合わせた。
 
互いの顔が、予想外の近距離にある。
 
 
パッ!
 

再び二人が離れたところで、プリクラ機の指示が飛ぶ。

「カメラを見てね〜1〜2〜」「早く早く!ポーズして!」

どこにあるのか分からないカメラを探して、右往左往する二人。

仕切り直した二人のプリクラの、シャッターがカシャッと鳴った。

 


第八十九話⑤でした。

 

罪悪感でしょげてるチョルが可愛いですね笑

でもちゃんとフォローしてえらい!

無事に撮れますように・・

 

そんな八十九話の扉絵はこちらです!

ミエとソンイ・・でいいんだよね!?

90年代の二人〜!可愛いですね〜〜

 

第九十話①に続きます


第八十九話④

2023-06-27 | 第八十八話〜第九十話

セモ駅前のバス停で降りた三人。

街は若者で賑わっていた。

ジンソプとミエはチョルに言われるがまま、目的の場所へ連れられて行くと・・・。

「遅刻かと思ったけど、私の方が早かったね!けど会えて良かった!」

そこに居たのはハン・ソンイだった。

以前ソンイと問題集を一緒に選びに行くという約束をしていたことを、すっかり忘れていたジンソプ・・・。

 

「けどどうしてミエには伝えてなかったの?びっくりしたでしょう?」

「ううん!大丈夫だよ!てかあの人たちにほとほとむかついてたし!

チョルがボソッとリマインドする。

「四人で遊ぼうって言ってたろ?」

「いや・・今日は・・デー・・」

 

ジンソプがそう口にしようとした時、ソンイが振り返った。

ジンソプを見て、嬉しそうに笑う。

今日はミエとのデートだから、と断れる空気では既になかった。

この男、空気を読むことに関しては上級者なのだ。「俺も嬉しい」とまで口にするほど。

「けどマジで問題集買いに行くの?」

口実とはいえ気乗りしない理由である。

ジンソプは心の中で匙を投げた。

[もう知らん!]

<どうしたの?クマさん>

 

「本屋さんどこかな〜?」と口にするソンイに、「マジで?」と引き気味のジンソプ。

けれどにこやかなソンイを前にすると、それ以上は口にできないジンソプであった・・・。

ミエは敢えて何も言わなかったが、今の状況がいまいち掴めずにいた。

え?じゃあこのために一緒にバスに乗ってきたの?
 
私には先に三人で約束したって伝えないで?そしてサッカーボールの話は一体・・

<びっくりした?クマさん>

 

不意にジンソプが声を上げた。

「あ、あれ!」

「プリクラあるじゃん!みんなで撮ろっか?」

「わあっ!」「いいね!」

パアッ

期待の音が聞こえそうな程のミエの笑顔に、チョルは思わず言葉に詰まった。

ボソボソと撮らなくて済む理由を口にする。

「あ、俺は・・ポケベルの確認をしにちょっと・・」

「そっか〜!行ってらっしゃい!俺らだけで仲良く撮ろーね〜」

ジンソプのその言葉が、チョルの足を止めた。

[この・・クソッ・・]

 

<お願いだからやめて>

 

そして今、ミエin プリクラ。

同じく、チョルinプリクラ。

・・結局、四人で撮ることになったのだった。

画面を見てしまうミエに、ソンイがカメラの場所を教える。

そしてジンソプは、慣れた手つきで女の子たちを引き寄せた。

・・のを阻止すべく暴れるチョル。

ドサドサ・・・

・・これが、ミエの人生初のプリクラであった・・。

 


第八十九話④でした。

 

なるほど、ここでソンイとの約束が生きてくるんですね

けど四人でプリクラとか、青春だな〜〜

初プリクラ、世代で言うとこれなんですが、

韓国のとはまた違うのかな?!

「ステッカー写真機」ってジンソプ言ってますね

なんか証明写真ぽいな・・

この辺りも気になりますね〜!

 

第八十九話⑤に続きます


第八十九話③

2023-06-24 | 第八十八話〜第九十話

モ・ジンソプが心の中でメラメラと炎を燃やしているとは露知らず、

ミエはチョルに何度もポケベルの番号を教えてとせがんでいた。

根負けしたチョルが、とうとう首を縦に振る。

ゴソゴソ

「はいペン!」

「早くして!もう降りなきゃだから!」

ミエはそう言って手の平を差し出した。

チョルは呆れたようにペンのキャップを外す。

「また変なことを・・」

「あはは!くすぐったー」「揺れる。じっとしてろ」

バスの振動で震える文字が、ミエの手の平に踊る。

「念の為もう一回言うけど、普段つけもしねーんだぞ?」

「読みにくいなら後で・・・」

気乗りしないチョルとは裏腹に、ミエは終始嬉しそうだった。

二人を繋ぐその数字を、誇らしげにチョルに見せる。

「ほらっ!もう逃げらんないからねっ!」

まるで恋する乙女の笑顔のミエ。

ジンソプの恋愛アンテナが反応した。

もちろんチョルは気づかない・・。

「はぁ?」

 

「もーマジでガキかよ?」

呆れたような、けれど好意的なチョルの態度。

その目の中に親しげな灯を見つけたミエは、

自らの心の中にも火が灯るのを感じる。

「ガキはどっちよ?!あんたのがガキだから!」「はー?ざけんな」

二人は無意識のようだが、そのやり取りはバカップルの戯れに違いなかった。

恋愛上級者のこの人には、オノロケにしか聞こえない。

む・・・むっかつく・・!!

[恋愛の専門家は翻弄されているような気がした]

文字通り、ジンソプは翻弄されていた。

ぬるま湯の人生を、かき回すかのような隣の二人に・・・。

 

 

<恋愛専門家の危機>

 

ブルブルッ

ミエのカバンに入れていた、ジンソプの携帯電話が震えた。

「あ、なんかメール来たよ!」

「キムXX・・」

宛名を聞いてジンソプが反応したが、ミエは携帯を持ったままチョルに話し掛けた。

「あ、ねぇほら見て、携帯持ってんだよー。あんたもほとんど見たことないよね?」

内容を読まれる前に、ジンソプが携帯を取り返す。

「俺の番号も教えてやろっか?」

「え・・別に?ビジネスマンじゃあるまいし、教えてもらう理由が・・」
 
「えー別に理由なくてもみんな電話してるよ?」
 
 
バスは「まもなくセモ駅ふれあい広場」とアナウンスした。
 
ジンソプは降りる準備をしながらチョルに、
 
「チョルもプリクラくらい一緒に一回撮ってみる?」と誘ってみる。
 
「撮らねーし」
 
「じゃあなんでついてきたの?」
 

「別についてきたわけじゃ・・友達の誕プレ買いに・・」

イライラしながらそう口にするチョルに、ジンソプは尚も揺さぶりをかけた。

「は〜・・もう強がるのやめなよ」「は?」

「わざわざ街にまで出てサッカーボール買うの?近所の文具屋さんでも売ってるよ?

プリクラも一緒に撮らないとか、変に強がってねぇ?
 
ていうか、友達だからって理由でここまで来るのおかしいからね?わかってんでしょ?」
 

目的地を告げるアナウンスが再度流れる。

バス停に着いたら、チョルが二人から離れるのか共に行くのか、今チョルはジンソプに試されている。

「最後まで本当の理由が言えないんならここで降りろよ。

お前は黙ってサッカーボールでも買って帰りな」

「邪魔だからさ」

ジンソプの巧妙な煽りが、チョルの心を波立たせる。

バスは時間通りに到着した。

「じゃ、先に降りよ。行こミエ」「え?あ・・・」

「おい」

そこでとうとうチョルが口を開いた。

彼も彼で、無策でただ二人に着いてきたわけではない。

「お前、忘れたのか?」

「え?」

それはジンソプの予想外、というか完全に記憶の中から消えた”約束”の話だった。

三人は連れ立ってバスを降り、その”約束”の場所へと向かう。

 


第八十九話③でした。

 

二人のバカップル加減が・・!

これは側から聞いていたらむず痒いというか、むっかつく!となるかもですね笑

そしてジンソプの煽り〜!

曲がりなりにも”大魔王”のチョルにここまで言ってのけるジンソプは推せますね

親友・・とまではいかないかもしれないけど、チョルにとってはジンソプは、

飾らないで一緒にいられる人物の一人になって行く感じがします

 

第八十九話④に続きます


第八十九話②

2023-06-21 | 第八十八話〜第九十話

突然ではあるがここで、モ・ジンソプの人生を振り返る。

 

[モ・ジンソプ 16歳]
 
[イケメン]
 
[思ったより中途半端な人生]
 
 
[顔は良いけど勉強はできなくて]
 
[人気はあるけど恋愛は上手くいかない]
 
[フィジカルもいいけど、選手になるほどじゃないし]
 
[家はまぁまぁ平凡で]
 
母さんただいま〜」「おかえりー」ばあちゃんただいま」
 
「兄ちゃんおかえり!」「ただいま〜」
 
[友達は常にいっぱいいるけど、なんか変な奴らばっかり]
 
 
優れた容姿を持って生まれた割に、ジンソプの人生は案外平凡であった。
 
携帯のアドレスに入った連絡先は星の数ほどあるが、全てが指先でスクロールされていく。
 
女の子にまとわりつかれながら、ジンソプは見慣れないアドレスから送られたメールに目を通した。
 
あ〜なんかノリで番号交換しちゃった子ね。テキトーにメールでも送っとくか
 
 
 
[中学3年間の人生を振り返ってみると]
 
[別に面白くもなかったような]
 
 
「おはよう!」と挨拶をしてくれたハンソンイに対しても、
 
ジンソプは(合わないタイプだな)と思ったら塩対応だ。
 
 
ソンイの眼差しに寂しさが見え隠れしていたが、それはジンソプの狙いだった。
 
 
こうしておけば、適度な距離が取れるから。
 
仲間に囲まれて笑っていても、ジンソプの心の中はどこか冷めていた。
 
あぁ、飽きたな、なんて思いながら。
 
 
 
[だからなんか中途半端]
 
[とにかく持ってる長所に満足しながら暮らせば、それでいいんだろうけど]
 
 
潮目が変わってきたのはいつからだろうか。
 
元カノに、会ったこともない”キム・チョル”と比較されて振られた時から?
 
 
 
「見た目と違ってすごく優しいし、友達のこともよく手助けしてる。
 
上辺だけで取り繕わないし、お世辞も言わないし、あんたより背も高くて遅刻もしないし、
 
とりあえずクソかっこいいと思うわ。多分浮気もしないでしょうね」
 
 
髪の毛を切られた時から?
 
 
「おらああああ!」
 
 
「バリカンどこですかね?」「やめろーっ!助けてくれーっ!」
 
 
 
キム・チョルに邪険にされた時から?
 
 
「お前、馴れ馴れしくすんなよ!」
 
 
「なんだよキム・チョル〜怖いんだけど〜?
 
俺がこの子をカツアゲしてるように見えた?俺たち仲良しだもんね〜?ミソンちゃん?」
 
 
あの不思議だらけの小さな女の子に、
 
正面からこう言われた時から?
 
「嘘つき」
 
 
 
彼らは、全てに距離を取り曖昧に生きてきたジンソプの、そのリズムを掻き乱した。
 
 
[なんだろう・・]
 
 
 
ヒソヒソと噂話が耳に入る。
 
”大魔王”は、常に自分と比較されていた。
 
「大魔王・・」「顔もあのレベルなら・・」
 
「背が・・」「でもジンソプの方がもっと・・」
 
 
なんとなく苛立って、チョルに対抗してみたりもした。
 
「やっと会えたな。友達だからって手加減しないでよ?」
 
 
「まぁ会えるのは本戦だから、次の試合で頑張ってよ。決勝で会おう」
 
 
けれど何か腑に落ちない。
 
「12組マジでフォークダンスすんだ」「チョルとミエはまたペアなのか?」
 
 
「チョルと・・ミエ・・?」
 
 
この時、ジンソプは初めてチョルとミエを二人同時に認識した。
 
あのデカいのと、
 
あのちびっこいのは、
 
 
 
 
 
一体何なんだ?あいつらは・・??
 
俺はなんで今まで知らなかったんだ?
 
 
 
どうやら二人は同じクラスで、昔の歌手と同姓同名で、何かと騒ぎを起こすトラブルメーカーらしい。
 
ジンソプは歌手の方の”チョルとミエ”のことは知らなかったのだが・・・。
 
[このまま見過ごすのは、16歳のモ・ジンソプのプライドが許さない]
 
自分のリズムを乱され、振り回され、比較され、
 
二人に対するジンソプの苛立ちは底知れない。
 
どうにか一杯食わしてやろうと燃えるジンソプ。
 
曖昧なその人生が、どこか変わりそうな予感・・・・・。
 
 

第八十九話②でした。

 

ジンソプは優れた容姿の持ち主でありながら、周りの環境や人間関係とは適度に距離を置き、

それゆえにその人生もどこか曖昧で平凡なものになっている、というキャラなのですね〜〜

 

あのいつも咥えているアメもそういうモチーフなのでしょうかね、口を塞いで本音を語らない的な・・。

(ただのおしゃれモチーフなのかも知れませんが・・)

 

ぬるま湯に浸かるように生きてきたジンソプだからこそ、

不器用で生きづらそうなチョルが気になり、感情そのもののようなミエに振り回されるんですね〜

 

ここからジンソプがどのように変わっていくのか、俄然楽しみになってきました!

 

第八十九話③に続きます

 

第八十九話①

2023-06-18 | 第八十八話〜第九十話

ジンソプの挑発で、今やチョルのイライラは爆発寸前である。

ハラハラするミエであったが、ジンソプは想定内とばかりにミエの背中を突いてこう言う。

「ね?分かったでしょ?」

場の空気を乱してまでそんなことをしていたジンソプに、半ば呆れたようなミエ。

けれどジンソプは、先ほどのチョルの反応で二人の関係を確信していた。

この二人・・確実に・・

その心情がミエにも移る。

ミエはごくりと唾を飲み込み、チョルの方を窺った。

するとまたバスが急ブレーキを踏んだ。

キキッ!

ふわっ

衝撃で足が浮き、ミエは転びかかった。

チョルの左手が、瞬時にミエの襟首を掴む。

ガシッ!

そしてミエの左手も、チョルの(ダブダブの)ズボンを掴んだ。

・・・・・。

顔を見合わせた二人は、同時に互いへの罵声を口にした。

モ・ジンソプは居た堪れずに手で顔を隠して俯く・・・。

「この変人!どこ掴んでんだ!馬鹿じゃねーのか?!」

「あんたこそ猫掴むみたいにしないでよ!何回言わせんの!このクマ野郎!」
 
「助けてやったのに騒ぐんじゃねーよ!」
 
「はいはい〜大きな袋持ってきて!クマ一頭捕獲します!はい!」
 

「離せ」「あんたから離してよ!」「離せって」

いい感じと思われた矢先にこれ・・。

ジンソプは心の中で一句詠んだ。

[嗚呼、マジでひどいわこの二人]

 

<みっともない奴ら>

[それにしても・・]

バスの乗客は全員こっちを見ている。

ジンソプは低い声で言葉を掛けた。

「もういいから止め・・」

「あんたは友達を動物扱いすんの?!」「大袈裟に言うんじゃねーよ!」

[なんでこーなんの・・ムカつくな]

息ぴったりじゃねーの

ジンソプの存在を忘れたかのような二人に、ジンソプもまたイライラ・・・。

 

 

<しっかりしろ!>

 

言い合いをしていた二人だったが、不意にミエが左腕に違和感を感じた。

チョルのカバンが、バスの振れとは違う振動で震えているのだ。

「ん?あんたカバンの中になんか・」「あ・・」

「何だろ・・音声メッセージだ

そう言ってチョルは、非常にナチュラルにそれを取り出した。

1999年の文明の利器、ポケベル!

「な・・何なの?!あんたポケベル持ってんの?!あんたが?!」

「俺が持ってちゃダメなのか?」

「うーわひっど!なんで今まで教えてくれなかったの?!」

「あんま使ってねーんだよ」

見せて見せて!とミエがポケベルに手を伸ばす。

チョルは渋々手渡した。

「別になんの変哲もないポケベルだぞ。

姉ちゃんが買ってくれたけど、特に用がなければ使わねーし」
 
「番号!番号教えて番号!」
 
「だからあんま使ってねーんだって・・」「あ、お姉さんいるの?美人・・」

ナニイッテンノオマエ?

チョルとジンソプの間には不穏な空気が漂い、ジンソプが小さく「くそっ・・」と呟いた。

チョルはミエに「もう返せよ」と手を差し出す。

「もうちょっと!」

まるで自分が疫病神のように扱われていることに、ジンソプは地味にダメージを受けていた。

自分がこんなモブに成り下がることなんて、今まで一度もなかったのだから・・・。

 


第八十九話①でした。

 

ポケベルーー!

チョルが若者らしいものを持ってる!

ちょいと調べてみましたが、韓国のポケベルである”ピッピ”は、

文字でメッセージを送る日本のものとは少し違い、音声メッセージでのやり取りをするみたいです。

送り主が電話をかける→受け取り主のピッピに通知が来る→受け取り主が自分の電話番号に電話をかけ、音声メッセージを聞く

という流れだとか!

これが後々生きてくる展開になるかも・・?!

覚えておいてくださいね〜〜

 

第八十九話②に続きます