青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第八十七話③

2023-05-31 | 第八十五話〜第八十七話

朝、まだ早い時間帯にチョルとミエは向かい合っていた。

突然現れたチョルに、ミエは驚きを隠せない。

「え・・?」

「な・・何?てかなんでこんな朝早く来てんの?週番でもないのに・・

もっともなツッコミをされ、幾分緊張するチョル。

どもりながら言葉を紡ぐ。

「あ・・そ・・その・・」

ミエの方にもその緊張が伝わってくる。

「え?その?・・その何?」「そ・・」「そ?」

チョルは吹っ切れたかのように顔を上げると、そのままズンズンとミエの方に向かってきた。

「それ、俺が持ってやるよ、ほら」「え?いや別にいいよ!」

「一人で持てるし!そんな重くないし!こんなのなんでもな〜い」

ミエはそう言って、小走りで走った。顔が燃えるように熱い。

なんでもない・・なんでもないのに・・!今は顔合わすのも・・

しかしそうは問屋が下ろさなかった。

チョルは大魔王オーラをまといながら、ミエのことを追いかけてくる。

「いやちょっと待て。そうじゃなくて・・」

「ぎゃあああ!!」

トンッ

そしてあっという間に追いつかれた。

 

 

<かっこいい・・!>

目の前に立ちはだかるチョルに、ミエは青くなりながら聞いた。

「何?!何なん?!」

「聞いてくれ・・いや・・聞きたい・・いや・・言いたいことが」

「へ??」

「な、何?」「あ・・」

「その・・」

気まずすぎて目線をキョロキョロ動かすミエと、

ミエのことをじっと見て動かない対照的なチョル。

ミエは次第に、チョルの瞳に吸い込まれていくような感覚に陥った。

突如目の前が輝き出し、チョルの声が小さく霞んでいく・・。

「その・・お前今日・・本当に・・いや二人が仲良くなったのは知ってるけど・・」

「けどいきなり・・」

「そんな約束を・・」

チョルの瞳も鼻も口も、キラキラと輝いて見えるのだ。

まるで少女漫画の主人公になったかのように、自分の顔すらキラキラと輝き出す——・・!

 

はっ

突然ミエは我に返り、不思議な魔法は急に解けた。

ミエは踵を返し、その場から逃げる。

「ちょっ・・とりあえず私先にゴミを捨ててくるっ・・」

話が終わる前にミエに逃げられたチョル。

その真意がまるで分からないチョルは、だんだんイライラしてきた。

 

<しっかりしろファン・ミエ!>

 

「なんで逃げるんだ?!」

先ほどよりも大股で追いかけてくるチョルに、ミエは恐怖すら感じ始めた。

「ええ!?なに?!なんで追いかけてくるの?!」

「だからなんで逃げるのかって!」「え?!別に逃げてないし!」

「逃げてんじゃねーかよ!」

「だから逃げてないって!ゴミ捨てに行くだけだって!ついてくんなっ

チョルはイライラの中にある、不安を口に出す。

「俺っ・・」

「俺、何か悪いことしたか?」

正面からミエのことを見つめる。

黒くて綺麗なその瞳が、ミエのことを真っ直ぐに。

ミエの心が引き留められる。

はっ・・

「あ・・あれは・・」

「いやあれは・・俺だってビックリしたんだ!」

「ビデオ観た日のっ・・」

「あの日のことは・・っ」

まさかあの”キス事件”に触れるとは思わなかったミエは、

思わずぎゃあっと声を上げた。

「はっ?!いきなり何言い出すのかと思ったら・・!

とにかくゴミ捨てに行ってくるから!ついてこな・・」
 

するとそこで、誰かがゴミ袋をひょいと持ち上げた。

そしてその人は、そのままそれをずるずると引き摺りながら持って行く。

ガコンッ

ゴミ捨てを終えたその人・・・ソ・ジスは、

手をパンパンとはたきながら、大きなあくびをした。

 

ふと視線を感じたソ・ジスが顔を上げると、そこにはポカンと口を開けたチョルとミエがいる。

「あー・・」

ソ・ジスはチョルを見て、

そしてミエの方を見てこう言った。

「俺、遅れてないよね?ゴミも捨てた。これでいいよね?」

「早く逃げなぁ」

ミエはうなづくと、言葉通り一目散に逃げ出した。

「おい!ファン・・そこで止まれって!」

再度あくびをするソ・ジスに背を向け、チョルは再びミエを追いかける。

「おいっ!」

「話聞けってば!おい!」

チョルのリュックの中で、渡そうと準備した”ファン・ミエ”の名札が揺れる。

「おい待てよ!待てって!おいーっ!!謝るから!
 
なぁーーっ!!」
 

そしてチョルは一度も応えてもらえないまま、始業時間になってしまうのだった・・・。

 

 


第八十七話③でした。

 

おおーーっ!ミエの恋するモード!

私はこの顔が好きだな!

これからこんな場面がたくさん見れると思うと嬉しいですね〜〜

そしてお助けソジスくん!

まだまだ何を考えているのか謎な彼ですが、これからの活躍に期待です

 

第八十七話④に続きます


第八十七話②

2023-05-28 | 第八十五話〜第八十七話

[そして誕生日当日]

の、朝。

見覚えのあるこのミエ・・笑

第八十二話ぶりに出てきたこのミエ。

キス事件の時に傷ついた、上唇をめくる。

ミエの脳裏に、Sクラスの面々から言われたことが思い浮かんだ。

「鼻くそ!豆!」

「クソガキみたいに駄々こねれば思い通りになるとでも思ってんの」

「ファン・ミエのこと妹とでも思ってんの?」

チョルにとって自分は、やはり「豆でありクソガキであり妹」なのだろうか・・?

モ・ジンソプが言う通り、「まだ恋愛するには幼すぎる」のだろうか・・?

もう一度、まじまじと鏡を見つめてみる。

こんな子供のような自分でも、

偶然とはいえ、男子とキスまでしたのだから・・

 

ミエは自分のその顔に耐えられず、まだ大分早いが学校へと向かった。

 

 

ドサッ

しん・・・

全てにイライラするお年頃。

[16歳のファン・ミエにとって、この気持ちをどう表せば良いのか皆目見当もつかない]

ガンッ

ミエはイライラしながら、パートナー(ソジス)不在の当番の仕事をこなし始めた。

カーテンを開け、掃き掃除と拭き掃除を経てゴミ捨てまで。

ミエはゴミを焼却場まで持っていきながら、今の状況を俯瞰して自分に言い聞かせる。

てかみんなに煽られて、私一人勘違いしてただけじゃん
 
だから今、別に何の問題もない状態なんだって

何もない・・何事もなかった・・

言い聞かせながらも、自分の誕生日を祝ってもらえると期待した自分自身の言動が蘇る・・・。

 

[再び押し寄せる羞恥心]

私はただ振り回されたの!チョルは別に私のことなんか好きじゃないし、
 
誕生日だって知らなくて、ただ何事もなかっ・・

泣きそうになりながら俯いているミエの元に、大きな足音が押し寄せる。

「ファン・ミエ!!ちょっと待てっ!!」

 
突然現れたキム・チョルに、ミエは思わず叫び声を上げた。

肩を上下させながらまっすぐにミエを見つめるチョル。

押し込めた期待が、もう一度ふわりと浮き上がる・・・・。

 


第八十七話②でした。

 

わーっ!なんと・・ブログ泣かせの展開

一回出てきたシーンは、実はこんな心情も含んでいたんですよ、といった構成〜〜!

八十二話の時は、「キス事件でチョルに無視される&当番にこないソジス」で苛立ってるミエしか描かれてなかったですが、

今回の八十七話にてさらに「誕生日祝いをしてもらえると思ったのに勘違いしていた」苛立ちも含まれていたことが判明・・!

これは注意して読み込まないと迷子ですね・・

ていうかこんな展開になる漫画他に知らないんですが・・・スンキさん天才では?!(うん知ってた)

 

第八十七話③に続きます

 


第八十七話①

2023-05-25 | 第八十五話〜第八十七話

[1999年6月の、とある日——]

遠い宇宙の片隅にある星、地球のそのまた片隅で、

キム・チョルはここ数日の出来事を反芻していた。

[ただ・・]

 

[ビデオを観ようとしただけなのに]

[大きなアクシデントを起こしてしまった]

この”キス事件”が起こった[初日]のチョルは、こんな感じだった。

あの衝撃の瞬間は、このようなイメージだ。

ガチッ!

あの衝撃の出来事に、一応名前があるということも知っていた。

チョルは改めて、心の中で叫ぶ。

キス?!

[ファン・ミエと・・]

しかも相手があの子供のようなファン・ミエ・・

[俺が?]

じわじわと、その影響の大きさがチョルを覆った。

[いやちょっと、ちょっと待て]

[だから俺が・・俺が・・本当に・・]

 

[ファン・ミエと???]

チョルの脳裏に浮かぶファンミエは、どう見ても小学生——・・!

恐ろしい子・・!

チョルの叫び声は、大気圏を抜けて宇宙へと吸い込まれて行った・・・。

[初日はただ衝撃と恐怖だったけれど]

 

[二日目]

 

二日目のチョルは、いくらか冷静を取り戻した。

けれど布団の中での身悶えは止まらない。

いや事故・・事故だって・・!
 
子供・・子供だって!子供・・妹みたいな・・

「うわああああああ!!」

ブルブル・・・

ううう〜〜〜

チョルは頭を抱えながら、ふと今日の休み時間のことを思い出した。

ミエのあの表情が蘇った途端、チョルの胸がズキンと痛む。

ドサッ

またこうやって避けたら・・

また・・傷つくはずなのに

自分の感情で手一杯だった初日と違って、今チョルはミエのことに心を配った。

[二日目は罪悪感を感じた]

ハッ

「でもあいつが先にっ・・!」

[そしてそれが悔しかった]

[そして三日目]、

つまりこのシーンのすぐ後である。

「モ・ジンソプとデート・・」

「は?」

ポカンとした表情のまま、ミエを見送ったチョル。

そして今になって、その発言が爆弾発言だったことを知る。

「・・・は?」

デートぉ〜〜!?

チョルはいてもたってもいられず、ベッドから立ち上がった。

バッ

スッ

カーテンの隙間から覗き見たミエの部屋は、同じくカーテンが締まっていた。

チョルはその先にいるであろうミエを、心の中で問い詰めた。

は?モ・ジンソプとデートだ?
 
ピアス買うとか目的があるんじゃなく、

ただデートするってか??なんでいきなり??

チョルの頭の中は???でいっぱいである。

[なんで??]

あいつら付き合うってのか?付き合ってんのか?
 
あのデカい男とあの小さい女が??

あの男、気でも狂ったか?遊びまくりすぎてわけがわからなくなったのか?なんで子供に構うんだ?
 
 
まぁ精神年齢は近いがな!!

心の中で精一杯の毒を吐き、チョルはカーテンを締めた。

「別にどうなろうと・・」

モヤモヤとした嫌な感情が、胸の中で渦巻いている。

ふと、一つ気になることを思い出した。

ドサドサッ

先ほどミエから、このようなことを言われていたのだ。

「あんたメモ・・見てないの?」「メモ?」

「メモって何のメモだよ。そんなん何も・・」

それらしきメモは見当たらなかった。

代わりに、渡しそびれていたファン・ミエの名札に目が留まる。

色々なことが未達成のまま、様々なことに巻き込まれて振り回されているこの感じ。

チョルは複雑な胸中を持て余しながら、”ファン・ミエ”の名札を握った・・。

 

一方その頃ファン・ミエは・・・・

 

 

ブンッ・・

ドスッ!!

渾身の力を込めて、チョルのスニーカーをぶん殴っていた。

そして廊下では父親が、ファン家に伝わる”ファン・ミエ公式ソング:父・作詞作曲”をまぁまぁの声量で歌っていたので、

母が「夜だから静かにして」と注意しているというなかなかのカオスが繰り広げられていた。

「昔〜金芝〜小山に〜ミエ〜一緒に〜座って〜遊んでいたら〜

水車部屋のぉ〜あぁ〜音が聞こえる〜ミエ〜あぁ愛しのミエ〜」

しかしミエはそれどころではない。

憤りの矛先であるスニーカーを、ゴミ箱にぶん投げる。

[そしてファン・ミエは・・]
 

[恥ずかし・・いや、腹が立っていた]

身悶えるミエ、ミエの歌を歌う父の歌声、ムンクの鳴き声・・。

全ての混沌を含んだ夜が、刻々と過ぎていく・・・。

 


 

第八十七話①でした。

 

お父さん・・ww

音声有りで是非とも聞いてみたいですww

 

第八十七話②に続きます


第八十六話③

2023-05-22 | 第八十五話〜第八十七話

立ち上がったミエの心の中は、得も言われぬ感情で渦巻いていた。

顔がみるみる赤くなり、小刻みに震えている。

[あ・・!]

そんなミエを見て、目を丸くしているのはキム・チョルである。

先ほどまでとあまりにも違うミエの態度に、ただただ面を食らわす。

ハッ

ふと周りを見ると、Sクラスの面々が皆こっちを見ていた。

少し我に返るミエ。

しかし胸中の複雑さは増していくばかり。

[何だ]

「あ〜ああ〜そうだったんだ〜」

 

「明日?どうだろ?お菓子とか色々買ってくの?私お金ないんだけど」

「え?そういうのは別に・・」

「あの・・その・・だから・・私明日は・・その・・なんだっけな・・そう!約束!

約束があるの!」
 
「は?約束?約束って?行けるって言ったじゃねーかよ・・
 

ミエは動揺で回らなくなっている頭をフル回転させた。

「あ・・だから・・モ・・・」「え?」「モ・ジンソプと!」

 

「デー・・ト・・?」

「・・は?」

チョルは目が点になった。

そしてミエは、周りを囲むギャラリーに向かってこう言った。

「あ、ちなみにジンソプはイケ・・」

「メン・・・・」

しかしギャラリーはいつの間にかホンギュとジョンウクだけになっており、

辺りには白々とした空気が流れたのだった・・。

 

「あ・・あ・・だからその・・バス?バス乗らなきゃ!

乗り遅れたら帰るの遅くなっちゃう!だから先帰るね!」
 
 
「え?おい・・ファン・・!」
 

ベ・ホンギュは複雑な表情で二人の会話を聞いていた。

一方チョルはというと、その場に立ち尽くしてしまっている。

「・・・は?」

「デート?」

予想だにしない展開に、頭がついていかない。

ミエが乗ったバスがその場から去って行っても、

チョルはそのままその場に立ち尽くしていたのだった・・・・。

 


第八十六話③でした。

短めの内容ですみません!

赤面で立ち尽くすミエが切ない!

そしてここでジンソプとのデートが出てくるか〜

面白くなってまいりました!

 

第八十七話①に続きます


第八十六話②

2023-05-19 | 第八十五話〜第八十七話

願いが叶うという飛行機を見た後、チョルに会えた。

後ろに倒れそうになるミエを、チョルが支える。

「前からやってるそれ、一体何なんだ?なんで飛行機ばっか見てんだよ」

「・・じゃなくて」

チョルはそう言って居住まいを正した。

周りを見るとみんながこちらを見てクスクスと笑っている。

チョルは若干小さめの声でミエに話し掛ける。

「・・お前」

「もし・・」

来る!とミエは目を見開いた。

「明日時間あるなら・・・」「あるっ!」

「あるっ!あるよっ」

キラキラした瞳でそう言うミエに、チョルは少し面食らう・・。

 

<えっ?何だって?>

 

「あ・・」

「そうか・・よかった」

ゆっくりと話すチョルから目が離せないミエ。

心臓がドクドクと大きく脈を打つ。

「それじゃあ・・」   なに?なになに?

なんで緊張してるの?

緊張しているのは自分かチョルか、境目が曖昧になってくる。

まるで永遠のように感じられる時間の中で、チョルはとうとう切り出した。

「もし良ければ俺と一緒に・・」

これは一体・・

 

地面についた指に、力がこもった。

しかし次の瞬間耳に入って来たのは、予想もつかない答えだった。

 

 

「ホンギュの誕生祝いに行かないか?」

 

[・・・えっ?]

あまりに斜め上から降ってきた答えに、ミエは目を丸くするばかりだ・・。

 

 

<もう一回言ってみて>

ミエは壊れたからくり人形のように、チョルが口にした言葉を繰り返した。

 

「ホンギュ・・ベ・ホンギュ?誕生日?」

「あぁ。明日塾が始まる前に屋上で・・ジョンウクが屋上の鍵持ってるから入れるんだ。あ、もう知ってたよな。

とにかくパーティーとか大袈裟なもんじゃないけど、来たらお前も・・」
 
「あの・・あんたメモ・・見てないの?」「メモ?」
 

 

「なんのメモ?」

そう口にしたチョルの瞳は澄んでいた。

知らないふりをしているわけではなさそうだ。

なにも言えないでいるミエに、チョルは気を回してこう続けた。

「あ、お前の母さんには俺が言うから心配すんな」

「お前・・・ホンギュとよく喧嘩するけどさ、実はあいつそんな悪い奴でもないし・・。

だから明日は誕生祝いを兼ねて、Sクラスのみんな呼んで喋ったり出来たらと・・。
 
お前には俺から言って、チャ・ヨンヒにはジョンウクが言うからって・・」
 
 
 
じわじわと理解が追いつく。
 
[え?何?それじゃあ・・・・]

ミエの脳裏に、走馬灯のように数々の場面が思い起こされる。

気まずそうに話し出すチョルの顔。

そして、「確実に大魔王は何かしてくる」と言ったユンヒたちの顔。

違った。

自惚れた。

期待してた。

けど、違った。

 

 

 

「ビデオ・・」

「ビデオ観た日のことは・・」

そう口にしたチョルの言葉を、ミエはまるで聞いていなかった。

いきなり立ち上がる。

ガバッ

そして次の瞬間、ミエの表情を見たチョルの目が、大きく見開かれる・・・・。

 

 


第八十六話②でした。

 

八十六話少し短くて、ちょっとここで一旦切ります〜すみません

 

あ〜〜〜〜なんと〜〜〜〜

キャラクター紹介の時に、「ミエとホンギュって誕生日一緒やん!」と思いましたが、

こういう伏線か〜〜〜〜〜!!!(膝100回打ってる)

何か因縁めいたものを感じますね・・同じ星の元に生まれた二人・・・

 

第八十六話③に続きます