<それは私のせいじゃない>
固まっているミエの頭の中で、六年前の記憶が蘇った。
「一緒に行こ〜」
「一緒に行こうよぉ〜」
暑い暑い日差しの中を、息を切らせて走ったあの日を。
「一緒にいこ!」
「私も一緒に行く〜!」
ズンズン先に行くチョルの背中に向かって、ミエは何度も何度も呼び掛けた。
「なんで先行くの!聞こえないふりしてるでしょ!」
バッ
「!」
チョルがようやく振り向いてくれた、とパッと顔を輝かせるミエ。
けれどチョルは、またすぐに背中を向けてしまった。
すると、ドカドカとチョルのお父さんがやって来て、ゲンコツをチョルに一発食らわせてしまった。
「こいつ!ミエちゃんと仲良くしろって言っただろ!」
「あっ!」
「・・・」
ギロッ
[この子はいつもファン・ミエをこんな目つきで見ていた]
一緒に遊ぼうとしただけなのに・・というミエの弁解虚しく、
二人の間にある歯車はいつも上手く回らない。
<私は今非常に怒っています>
そして時は現在。
[しかしながらファン・ミエは納得がいかなかった]
[嫌な思いするのはミエだって同じなのに]
「チョルとミエ!」
「チョルとミエ!」
いつでも二人は「チョルとミエ」だ。
まるで2人で1セット。
↓呼ばれるたびに視線が怖くなる
そしてその流れ弾がミエ単体に飛んでくることも多くなった。
「ミエが立って解いてみて!」
[というか、むしろミエの方が被害は大きかったのだ]
「キーッ!ナメられてる!」
↓ずっと緊張しているので、授業後半は眠くなってしまう
カラン!
バシッ
[なんだかミエの方が損している気がする]
[ファン・ミエには感情がないとでも思ってる?]
「感情があるのはアンタだけじゃないし。私もあるし」
存在を嫌がるだとか無視だとか、なぜミエが一方的にされなければならないのだろうか?
感情のままに叫び出すことも、子供ならままあること。
しかし、それは子供だから許されることでもある。
「捨てて」「馴れ馴れしくすんじゃねぇ」
冷たい言葉。あからさまな拒絶の態度。
↓まるで親の仇を見るような目
ミエが低い声で一人呟く。
「てか16歳にしてはデカすぎじゃない?」
「ガキんちょ野郎が」
その怒りの矛先は・・
ドン!
ドドドン!
そしてミエの怒りの鉄槌が下された!
「誰がアンタに話しかけたくて話しかけたかっつーの!はぁ?知り合いヅラすんな?!
連帯責任で、チョルの靴はギッタギタにされたのだった・・・。
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第七話②でした。
あ〜全ての出来事が裏目に・・(懐かしワード裏目)
でもミエちゃん、大人だな〜。すごい気を遣ってあげたんですもんね。
どうにか報われて欲しいですね・・
第七話③に続きます