青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第四十八話③

2022-01-31 | 第四十六話〜第四十八話

遠くで、自分を呼ぶ声がする。

「ミエ」「ミエ」

「ミエ、起きて。もう夜だよ」

あ、声が変わった。

少し高めの、なんだかイラつく声だ。

「おい、ファン・ミエ!ここはお前ん家かっつーの」

また、声が変わった。

聞き馴染みのある、低い声——・・・。

「ファン・ミエ、起きろ」

はっ

ガタッ

「もう帰る時間だぞ」

チョルがミエの首根っこを掴んでミエを起こした。

寝ぼけ眼のミエにジョンウクが説明する。

「相当疲れてたみたいだから、起こせなくて」「俺もねみーや」

そして頭が働かないそんな状態のミエを、チョルは引っ張って行った。

「ほらカバン」

「靴履いて」

「じゃあね、またおいで」「やめろっつーの」
 
「え?え?」
 

ホンギュとジョンウクは同じマンションらしい。

二人を残して、チョルはミエを引っ張って行く。

「なに?」

「なんなん?」

知らない街の知らない通りを連れられ、ミエはそこまでやってきた。

バス停である。

「あのバスに乗れ」

そして半ば強引にミエはバスに押し込まれた。

ブロロ・・・

そして気がついたら、窓の外に自転車を押したチョルが見えた。

ミエが乗り込んだのを確認して、バスから背を向ける。

「学生さん、お金払って!」

運転手さんにそう言われ、ようやくミエは覚醒した。

「あ、すみません!降ります!」

「チョル・・キム・チョル!」

しかし降りたそこに、すでにチョルの姿は無い・・。

ええっ・・

「えっ・・ええっ?」

「何?いや、どこいった?!」

「チョル・・キム・チョル・・!」

そうやってあたふたするミエに、自転車の車輪が近づいてくる——・・。

「おいっ!お前何してんだよマジで!」

すごいスピードでチョルが戻ってきた。ブチ切れである。

「お前はフツーに生きらんねーのか!」

 

「なんでバス降りんだよ!この辺の道も知らねーくせに!家帰れんのか!?」

「え?あの・・」

「だって、言いたいことがあって・・

けど最近バタバタでつい・・昨日はほとんど徹夜だったし・・」

そのミエの答えに、チョルは抑えていた疑問をぶつけた。

「徹夜で人の分の宿題でもしたんか?!」
 
「え?いや、やってあげたってより・・
 
教えてあげようとしてたとこを、解説紙に書き直したっていうか・・」
 
「つーかなんで今日来たんだよ!」
 

「上げ底をな?入れることもあるだろーよ!」

いきなりそこ!?

チョルが突然インソールのことに言及したので、ミエはギョッとした。

しかしチョルの主張は止まらない。

「んなことのためにずっとビクビクして塾までサボって・・

俺が一体何したよ?!何言ったよ?!正面切って責めたりしたか?!」

「え?いや、その・・」

「俺があれを片して、クラスの奴らにも気づかれずに発表も無事終わったじゃねーかよ!」

 

「何の問題もねーじゃんか!なのに何日も不自然な態度ばっか取って・・

マジで理解不能だよ・・!」

チョルの話が止まらないので、ミエはもう恥を忍んではいられなくなった。

「だからっ・・あんたがあれを拾うからっ・・・!」

「あのねぇ、あんたは背が高いから理解できないかもしれないけど!

私は!あんたが!あれを!拾ったのが!」
 
「ずっと何日も引き摺るほど恥ずかしかったんだよっ!!私はっ!!」
 

とうとう本音をぶつけたミエ。

チョルはそこまでミエが気にしていたことに、驚きを隠せなかった。

「分かんないかなぁ?!」

「あんただって前泣いてたとき恥ずかしくて逃げたじゃんか!スニーカーも置いてってさぁ!

クラスの子達がからかった時も、初日から机を・・モゴモゴ」
 
「なっ!なんで突然その話が出てくんだよ!」
 

ミエが突然チョルの黒歴史を口に出したので、思わず口を塞いだチョル。

けれどミエはまだまだ言いたいことがあるので、バッとその手を振り払った。

「私だってわかんないけど、そうするしかなかったの!

何日経っても恥ずかしいんだから、避けるしかないじゃんか!」

「なんでサッカー見たいかって?見たいからに決まってんじゃん!

なんで今日来たのかって?マジで勉強したいから来たに決まってんじゃん!」
 

「ほんとのほんとに来たかったから、徹夜で解説の紙まで作って走って来たんじゃんかっ!!」

一息で言い切ったミエを前にして、チョルはポカンと口を開けている。

肩で息をするミエと、呆然とするチョルの間に、夜の沈黙が下りた。

ハッ

興奮しすぎたことに気がついたミエは、少しトーンを落として話し始める。

「だから〜〜その〜〜うちら、もう友達じゃん?

だからできるなら理解したいじゃんか・・ま、無理な時もあるだろうけど・・」
 
「ただ、それでもさ・・気ぃ遣って見ないふりしたりとか・・あともう少しだけ親切にしてくれたら・・」

 

「・・ダメかな?」

ミエはそう言って、チョルの手を取って彼の顔を見上げた。

怒るのでもイラつくでもなく、ただ自分の感情を素直に伝えた。

「あ、でも私が変なことして怒らせちゃったよね!ごめんね!

もちろん、インソール隠してくれたのはありがたかったし・・」
 

「うーん・・そんなもんかな・・?」

伝わってきたその気持ちを、チョルは受け止めて妙な気持ちになった。

そしてあのことを、伝えてみようと思ったのだ。

「・・月曜」「え?」

「月曜に・・」

ミエの必死さに後押しされるように、チョルはそのことを伝えていた。

ミエは目を輝かせて、嬉しそうに頷いた——・・。

 

 


第四十八話③でした。

 

ホンギュとジョンウクは同じマンションなんですね

チョルも高句麗中時代は近くに住んでたのかなぁ。

 

そしてついにチョルミエが本音をぶつけましたね!

いいぞいいぞ〜!

 

第四十八話④に続きます


第四十八話②

2022-01-29 | 第四十六話〜第四十八話

・・というのが、チョルとの勉強会に来たミエの顛末であった。

「あ、そうだ!この間は(インソール拾ってくれて)ありがと!」

「あと、挙動不審だったよね!ごめんね!」

・・と軽く謝る想像をしたミエであったが、チョルを目の前にしたら、

なにも言えなくなってしまった。

あまりにもまっすぐ見つめて来るので・・。

「どうしたの?」「ううん〜〜えーっと・・・それじゃ、中間テストの勉強しよっか!」

いや、今言ったりしたら・・

ホンギュが絶対突っ込む。

「ん?話どーゆー流れ?」って。

そしたら・・。

「ぷはははは!上げ底!上げ底だってよ!」「ミエは本当に面白いなぁ」

・・となるのは目に見えているので・・、

後で家帰るときに言おうっと

目を逸らしたり睨んだり、百面相のようなミエをチョルはじっと見ていた。

そしてそれを気にするミエもいた。

しかも・・なんか今日目つきがおかしくない?
 
さっき外では普通だったけど・・いやさっきもおかしかったか

ていうかあそこで何してたんだろ。なんかあったんかな・・?

 

ミエにとってはチョルも挙動不審であった。

そんなことを思いながら手元の紙を見ると・・

「あれ?」

「うわっ!またこれ持ってきちゃった!」「なんだ?」
 
「知り合いに英語教えようとして解説の紙作ってきたんだけど、
 
半分くらい持って来ちゃったよ!」
 
「なーんだ、んなことかよ。つか空回ってばっかかよ。
 
お前サッカー見る見る言って見れねーし、解説紙作ったのに持ってくるし」
 

”教えよう”と?解説紙作ったって?

「よく見たら中身スッカスカじゃん」「そんなことないし!!」

ミエとホンギュのやり取りの中から、

ミエが言っているのはモ・ジンソプとの約束のことだとチョルは感じ取る。

あ〜〜またあの人に何か言われそうだなーーけど半分は残してきたんだからいいよね?

浮かない顔で紙を見るミエに、チョルはこう声をかけた。

「もうこっち来ちまったんだから、勉強すんだろ?」

「うん!する!」「わかんねーとこあったら聞けよ」「うん!」
 

<勉強を始め勉強が終わる>

 

一同は黙々と勉強した。

その静けさに、昨夜ほとんど寝てないミエに眠気が襲う。

ふわぁ〜〜

とにかく問題解いて、勉強しながら自然に話しかけよう。
テンション上げてこ!

そんで家に帰るときごめんって・・

ミエはそう思いながら、皆と同じく勉強に取り組んだ。

ジョンウクもホンギュも真面目に勉強している。

「おじさんとおばさん、あと兄弟も今日遅くなるって?」「うん」

りんごを食べながらホンギュがジョンウクに聞く。

そして暗くなるまで、皆で勉強したのだった。

 

 


第四十八話②でした。

 

あのリンゴは・・ジョンウクが剥いたのかな!

なんでも出来そうなジョンウク・・裏がないことを願うばかり!(そればっかり)

 

第四十八話③に続きます


第四十八話①

2022-01-27 | 第四十六話〜第四十八話

さてここで、ファン・ミエがどうやってモ・ジンソプとの約束を切り上げたのかを見てみよう。

まるで映画のようなワンシーンに目を奪われたファン・ミエ。

そんな彼女の胸の内を図りながら、モ・ジンソプはミエに向かって踏み出した。

自然に壁ドンしながら、ミエの気持ちを虜にする——・・。

「今日・・よろしくね」

これで大抵の女の子はメロメロになるはずなのだが、

ミエはやはり一味違っていた・・。

「おう!」

「座って座って!」

「これ見て!これ解説の紙ね!」

ミエは持って来たものを全て机の上に出し、早口で説明を始めた。

「問題の説明、全部詳しく書いておいたから!

これ見た方が私が直接教えるよりずっと理解しやすいと思うよ?でも答えは書いてないからね!」
 
「え?」
 
「実は今日急用が出来て、早く行かなきゃなんだ。ごめんだけど
 
けど答えだけ教えたって何の意味もないでしょ?」
 

「ええ?」

「だから最後まで責任持って全部教えたげるから!難しくて引っかかりやすい問題を何問か、」

「このキャンディーを食べ終わるまでに質問受け付けます!」

そう言ってミエは、先ほど街に出た時にモ・ジンソプからもらったアメを口に入れた。

「よーい、スタート!」

「えええ・・?」「何してんの!早く!」

モ・ジンソプは予想もしてなかった展開に、ポカーンである。

すると次の瞬間、ミエが口に入れていたアメをボリンと噛んだのだった!

「え?ちょ・・・待っ・・」

その後もミエがボリボリと噛み続けるので、モ・ジンソプは訳もわからぬまま解説紙に目を落とす羽目になった。

「あ・・その・・これ?1番?」

「これは関係代名詞でうんたらかんたら・・OK?!次はこれ?これはただ単語を覚えるだけ!はい次!」

・・えっなにこの時間・・

自分が主導権を取ってミエを困らせてやるつもりだったのに、

モ・ジンソプは今の状況に頭がついていかなかった。

「難しい?わかんないとこない?早く質問して!」

「あ・・これ・・?」
 
「これはどうやって解くかというと・・てか聞いてる?」
 
そして全く頭に入らないまま、タイムアップになったのである。
 
「食べ終わった!」
 
 
ババババッ
 

「その解説の紙見ながらやれば、簡単にできるから!」

いつの間に?!とモジンソプが目を丸くしている間に、ミエはスタコラと教室を出て行った。

「じゃーね!」

そして嵐が去った後の教室には、モ・ジンソプが一人ポツンと残された。

机の上には、ミエが置いていった解説の紙が数枚・・。

「な・・なんだ?え?どういうこと?てか答えねーじゃん。え?なんでこれしかないの?」

そのミエが残していった解説紙は、明らかに全宿題の半分くらいしかなかった。

ということは、残り半分の宿題は依然として白紙のまま、というわけで・・・。

プルプル・・

そして誰もいない学校に、学校一のイケメンの叫びが響き渡ったのであった・・。

「ファン・ミエ〜〜!!!

 


第四十八話①でした。

 

す・・すごい!学年一のイケメンを振り回すミエ・・おそろしい子!(白目)

でもこの約束のために前日睡眠を削って解説紙作ってあげたんですもんね。優しい子・・!

面白くなって来ましたね〜〜^^

 

第四十八話②に続きます


第四十七話⑥

2022-01-25 | 第四十六話〜第四十八話

ファン・ミエとモ・ジンソプは、再び学校に帰って来た。

今日は土曜日、ジンソプの英語の宿題をミエが見ることになっている。

「待った?!じゃー始めよっか!」

小走りで教室に入ってきたミエが目にしたのは、なんとも美しい光景だった。

「あぁ」

キラキラとした日差しが彼に降り注ぎ、そよ風がカーテンを揺らした。

まるで映画のワンシーンのようなその光景に、ミエはつい目を奪われる・・。

 

 

 

 

 

所変わって、こちらはパク・ジョンウクの住むマンション。

無言でチョルを見ていた二人は、やがて顔を見合わせた。

互いに同じ違和感を感じているようだ。

むっつりと黙り込んだキム・チョル。

明らかにご機嫌斜めの彼を前に、ホンギュとジョンウクはヒソヒソと会話した。

「チョル、遅れて来たのにファン・ミエも来てないね」「こいつ一体どーしたんだ?」

「触れないでいよう」「今日は静かに勉強しよーぜ」

チョルの頭の中は、先ほどのミエとジンソプのことでいっぱいだ。

いやいやバカじゃねーの?宿題を代わりにやってやるって?
宿題自販機ってか?子分かよ!
 
 
この前怖がってたよな?あの二人一体何なんだ?

気になる二人の関係性もそうだが、チョルには先ほど目にした光景が引っかかってしょうがない。

つーかあいつなんでよく頭突きしようとすんだ?前が見えてねーのか??

つい先日、自分はミエにこう言った。

「本当に一緒に勉強したいと思ってるか?

負担に思うんなら明日来なくてもいいから。一度考えてみろよ」
 

だからあいつと宿題しに行ったのか?

バイバイ、と手を振るミエを見る限り、

強制されているようには見えなかった。

つまりミエはチョル達と一緒に勉強することが負担だと思ったから、

モ・ジンソプと一緒にいることを選んだということ・・。

目の前に広げられてるたくさんのテキストとノート。

中間テストは目前だ。

集中しよう

今、自分がやるべきことは勉強だ。

チョルはモヤモヤした気持ちを振り切るように、ペンを持つ手を動かした。

ホンギュとジョンウクがノートを書きながら何か言っていても、

気になることなくチョルはようやく集中のゾーンに入った。

なので目の前に人が来たことに、気づくのが遅くなった。

突然、目の前にファン・ミエがいた。

チョルは驚きのあまり目をまん丸にしている。

「おっす!ちょっと遅れちゃった!」

「ちょっと迷ったし、この辺初めて来たからさぁ」

「おせーよ」

「これで一緒に勉強できる!」

そう言ってニカッと笑うミエを見て、チョルは本当に驚いた。

まさか二兎を捕まえるとは・・。

 


第四十七話⑥でした!

 

おおっ!まさか本当に二兎を捕まえるとは!ミエちゃん頑張りましたね〜!

そしてここ(笑)

頭突きしてると思ってるとかww チョルww

体は大きいのに、本当気持ちが純情というか・・微笑ましいです

 

第四十八話①に続きます

 


第四十七話⑤

2022-01-23 | 第四十六話〜第四十八話

「くそっ・・!」

チョルは走った。

ファン・ミエとモ・ジンソプが一緒に歩いて行ったからだ。

バッ!

しかし少し目を話した隙に、チョルは二人を見失ってしまった。

「どこ行っ・・」

いつの間にか二人は校内を出ていた。今度こそ見失わないように追いかける。

いつの間に・・

通りに出た二人を追跡していると、ふとモ・ジンソプが謎の動きを見せた。

なんとミエの前に回り込み、顔を近づけたのだ!

バ・・ッカ野郎!子供に何してんだ?!

「おいっ・・!」

あの・・チョルさん、ミエは同い年です(笑)

突然ダッシュしたので、チョルは少し足がおぼつかなくなった。

トトト、とたたらを踏む。

「げっ!!」

 

・・と、その間にまた二人を見失ってしまった。

どこ行った?!

バッ

バッ

近くを走り回ってみたものの、二人はいない。

嫌な想像が脳裏を巡る。

「おい宿題手伝えよ。授業終わったら待ってろ」「うん・・」

なんだ?マジでいじめられてんのか?
 
俺に言えっつったのに・・
 

嫌な汗が背中を伝った。

心に刻みつけられた傷が疼く。

その嫌な予感を払拭するように、チョルは走った。

すると、曲がり角の向こうにミエの姿が見えた。

あくびをしている・・?

キキキッ

突然止まったので、地面にブレーキ音が響いた。

その音を聞いて、こちらを向くファン・ミエ。

突然現れたキム・チョルを見て、ファン・ミエは目を丸くする。

チョルはすごい形相で、息を切らせながらミエを見ている。

ミエはポカンと口を開けていた。

「おい・・」

呼び掛けながらミエに近づこうとしたチョルだったが、次の瞬間曲がり角の向こうから声がした。

「買ってきたよ。行こう」

「キャンディーも買ったんだけど食べる〜?」「うん!私チョコ味がいいな」

向こう側にいるモ・ジンソプと会話をするミエ。

話が終わると、チラッとチョルの方を見た。

「まだいる」という顔をしている。

「早くいこ!早く早く」「え〜?」

ミエはそう言ってモ・ジンソプを押すと、

やがて半身だけ出してチョルに手を振った。

「バイバイ!」

サッ

「は・・」

その予想外な光景を前にして、チョルはただ息を整えるしか出来なかった。

はぁはぁ、とまだ小さく肩を上下させながら・・。

 


第四十七話⑤でした。

 

あら〜またすれ違っちゃって・・

あとここ笑いました↓

子供ってw チョルの中でミエは妹と同じような感覚なんですね・・・。

そしてモジンソプがなぜ顔を寄せたのか気になる木・・

 

第四十七話⑥に続きます 

四十七話長くなりました。次回で終わりまーす