臨済宗南禅寺派圓通寺

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縫い目のない墓を建てる

2022-09-08 | 

◯お墓を買った、は間違い。墓所には法律上の所有権はない。寺院と檀信徒との行き違いの原因はこれが多い。
「墓所、寺院は欲を離れる修行の場」で寺院(霊園)は寄付をしてもらって方に祭礼権を貸し与える。だからやめるときに返金は無い。

◯僧侶の墓を「無縫塔」と呼ぶ。卵型なので「卵塔」とも呼ぶ。埋葬されている僧侶の名前のないこともある。なぜか。執着を離れることが仏道の目的であるためである。

◯「国師塔様」『従容録』第85則
粛宗帝(711~762・ 唐8世紀)が慧忠国師に問うた。
「百年の後。もとめるところは何か」
国師はいった。
「老僧のために縫い目のない塔(墓)をつくって欲しい」
皇帝がいった。
「どのような塔でしょうか」
国師は少し(黙って)間をおいてからいった。
「分かりましたか」
皇帝はいった。
「分かりません」
国師はいった。
「私の弟子に耽源(ちょうげん)というものがいて、このことをよく理解している」と。
後に帝が耽源を召して尋ねた。
「この意味はどういうことか」と。
耽源は云った・
「相の南、譚の北には黄金があり一国に満ちている。影のない樹下の合同舟。宝の殿閣に道理はない」。
(妄想分別の雲が晴れた世は捉われがなく素晴らしい。一つになったこの心境は理屈ではない、こだわりがなく、すがすがしい)

〇最近「こだわる」を良いこととして使っている。「材料にこだわって作りました」というように。 本当は「こだわる」とは執着心のことで悪い意味。こだわりを離れることが仏道の目的である。
「無縫塔を建てる」ことは「執着を離れる修行」の意味。それは合掌礼拝で解決する。合掌の功徳は大きい。

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