臨済宗南禅寺派圓通寺

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『百喩経』その1

2014-11-30 | 仏教
『百喩経』1-10「三階建」

 昔、財産家で愚かな人がいた。富豪の家に行って三階建ての高くそびえるのを見て、たいへんうらやましく思った。お金を貯めて、必ずこのような家を建てようと決心した。
愚かな人は大工にたずねた。
 「あのような立派な建物を建てる方法を知っているか」。
 大工
 「はい」
 愚かな人
 「あのような三階建てを建ててください」
 大工は地面を固くして、レンガを積み重ねて三階建ての家を建てた。愚かな人はその建物を建てるところを見て納得できない。
 愚かな人
 「どうしてそのようにするのか」
 大工
 「三階建てを建てるのです」
 愚かな人
 「私は下の二階はいらない。最初に最上階を建ててくれ」
 大工
 「それは無理です。どうして最下をつくらずに、
その上をつくることができるでしょうか。どうして一階二階をつくらないで、三階の建物ができましょうか」。
 愚かな人は頑固に言った。
 「私は下の二つの階はいらない。必ず私のために最上階をつくってくれ」
 他人がこれを聞いて大笑いした。それで皆はこのように言った。
 「どうして一階をつくらずにその上ができようか」と。
たとえば世尊と四人の弟子たちと同じである。仏法僧(仏教)を修め敬わずに、修行をおこたって悟りを求めようとしても無理である。自分には下は不要だとして、ただ最上の悟りを求めても、また人が大笑いをする。あの愚かな人と全く同じである。
          翻訳 吉富宜健


「サトウキビを灌ぐ喩え」第1巻16
 昔、二人がサウキビを植えた。そうしてこのように約束した。
「どちらがたくさん収穫できるか競争しよう。たくさん収穫できたらほめることにしよう。負けた者には重罰を当てることにしよう」
ときに二人の内、一人は心の内に誓った。
「サトウキビを圧して汁をとり、サトウキビの根元にそそげば甘みはよくなり、必ず勝てるだろう」
 それで彼はサトウキビを圧して汁用を取り、根元にこれを灌いだ。ところがやりそこなって、種は腐り、サトウキビすべてを失うところとなった。
世の人もまた同じである。善福を求めて、おのれに富をあてにする。専ら勢いをあらわにして民を脅して財物を奪う。もって福の本をなそうとして善果を期待するが、かえって其のわざわいのあることを知らないのである。サトウキビを圧して彼がこれをことごとく失ったのと同じである。




圓通寺 土曜坐禅会 毎週土曜日午前6:30~8:00 初心者歓迎 参加費無料
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