川塵録

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郷路征記弁護士の「違法伝道」訴訟は、事例判断にすぎない

2023年09月28日 | 法律・海外法務
郷路征記弁護士は、統一教会の伝道それ自体が違法だとして、「違法伝道訴訟」って類型の裁判を起こしてきた。

長年やって、ほとんど負けてきたようですが、札幌地裁とか、2000年9月14日の広島高裁岡山支部判決とか、郷路先生の主張が認められた事案もあるようだ。

しかし。

郷路征記弁護士が勝ったといえる事案もあるけど、統一教会が勝った事案も多い。

要するに、郷路征記弁護士による「違法伝道だ」という主張が認められた裁判も、広く一般的・普遍的に統一教会の伝道が違法だと認定したわけではない。

その裁判の、その事案限りの、「事例判断」がされただけ。教会の伝道が広く<違法伝道だ>という判例が確定したわけではない。

実際、最近の、令和3年3月26日の東京地裁判決でも、以下(太字の部分)のように、「事例判断だ」と認定されています。

~~~以下引用~~~
                                                
原告らは,彼告のこれまでの資金獲得活動の仕組み等に照らし,被告及び被告信者らの伝道・教化活動は、宗教活動に名を借りて,専ら被告の利益獲得すなわち対象者を被告信者とした上でその全財産を収奪することを当初からの目的としてなされているなどとして,継続的な一体の不法行為である旨主張する。

しかしながら、本件全証拠によっても、本件当時、被告が組織的に対象者を被告信者とした上でその全財産を収奪することを当初からの目的として伝道・教化活動を行っていたとか,被告信者らの原告らに対する勧誘行為について当初から全財産を収載することを目的としていたことを認めるに足りない。

原告らは,他の裁判例において被告について上記のような認定がされていることをその根拠とするが、当該裁判例はその訴訟における証拠と弁論の全趣旨に基づいて事実認定をしているものであるし,本件と当該裁判例とはその時期、場所、勧誘行為者等を異にしているから,当該裁判例における事実認定をもって,被告信者らの原告らに対する動誘行為の目的等を認定することはもちろん、当該裁判例の認定事実と同様の事実が本件においても存在したと認定することもできない。

よって,原告らの上記主張は採用できず、前記のとおり,原告らがした個々の支出ごとにその勧誘行為の違法性の有無を検討するのが相当である。

~~~引用終わり~~~

ま、「ある宗教の伝道が違法だ」って判断が、普遍的な判例になるはずもないので、変な事例の変な裁判の、特殊な一例だろうとは思っていましたが、案の定、「違法伝道」ってのは、25年前くらいの裁判の、30年くらい前の事案の、特殊な話です。

ひと世代前の、「パワハラ」って言葉がなかった時代の話です(「パワハラ」という言葉が生まれたのは2000年)。

パワハラという言葉がなかった20世紀には、日本中で、いや世界中で、乱暴で高圧的な人間関係は、いたるところにはびこっていました。

そんな大昔の統一教会時代のイチ判決を取り出して、鬼の首を取ったように「違法伝道だ」と家庭連合を攻撃することは、フェアではない。
                                   
    
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