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「教育活動を強化し原点を学ぼう」(「改革者」より転載)

2006年06月29日 | Weblog
■連載「労働運動 新たな再生を願って」の第4回原稿!
 本29日は株主総会の集中日。しかし、ここでは企業を支える従業員・労働者の集まりである労働組合について、記述いたします。
 本稿は、「労働運動 新たな再生を願って」の共通タイトルの下、月刊誌「改革者」に一年間連載したものの第4回原稿で、同誌2005年8月号から転載したものです。なお、月刊誌「改革者」は、政治・経済・労働・外交などの記事を掲載する総合政策提言誌です。購読希望者は、政策研究フォーラム(℡03-5445-4575)までお願いいたします。 
    政策研究フォーラム http://seiken-forum.jp/index.htm

 「教育活動を強化し原点を学ぼう」(月刊誌「改革者」2005年8月号より転載)
●八月一日に友愛会創立を記念する会
 民主的労働運動の源流である友愛会が、鈴木文治ら一五名により東京・芝のユニテリアン教会で創立されたのは大正元年(一九一二)八月一日。それを顕彰し、民主的労働運動の継承を目的とした「友愛会創立を記念する会」が、八月一日に友愛会館で開催される。
 主催は友愛会創立を記念する会(宇佐美忠信会長)で、記念行事は二部構成。一部は記念講演会で、『ドイツ再軍備』などの著書で知られる岩間陽子教授が、「最近の国際情勢と日本」と題して講演を行い、二部は記念パーティとなっている。
 友愛会を創立した鈴木文治はクリスチャンで、明治一八年九月四日の生まれ。今年は生誕一二〇年となる。この鈴木文治について元電力総連副事務局長の芳賀清明氏(友愛会創立を記念する会会員)が、月間誌『労働レーダー』に本年一月号から「日本労働運動の先駆者 鈴木文治 心の風景」として連載を行っている。
 友愛会はその後、総同盟へと発展し、戦前の日本労働運動を代表する中央労働団体として活動したが、昭和一五年七月に解散に追い込まれている。
●労使研が労働資料の公開へ
 大正・昭和の友愛会・総同盟を中心とした民主的労働運動に関連する資料の収蔵を行ってきた労使関係研究協会(江口亨会長)は、新たに日本労働会館資料室(仮称、現在、名称募集中)を設置し、八月一日に仮オープンする。これは友愛連絡会(高木剛会長)から同盟や友愛会議に関連する労働運動資料の委譲を受けたのを契機に、関連団体の資料収集も行い、戦前・戦後の民主的労働運とその関連資料を整理・保管し、公開するもの。
 資料室の設置により、友愛会から同盟へと続いた民主的労働運動の資料閲覧が可能となる。なお資料室は、民社党・全文教・核禁会議などの友誼・関連諸団体の資料収集・公開も予定しており、各団体との協議が整った段階で資料の収集・整理に入る。
 具体的な閲覧手続きなどは現在、労使研で検討中だが、八月一日以降の早い時期に一般公開される見通し。また労使研は今後も労働運動資料の収集を行い、その充実を図っていく予定で、関係団体・個人からの貴重な資料の寄贈に期待している。
●原点に学ぶ、今に活かす運動を
 経済のグローバル化、企業の海外進出、バブル崩壊後の長期低迷経済、産業構造・就業構造の変容などを背景に、日本企業では正社員が減少し、非正規労働者が増大している。このため民間組合員数は減少を続け、専従役職員も削減されて、労働組合は厳しい状況下にある。連合も一九八九年の結成時から一〇〇万人以上が減少している。このような時、心配になるのは、①単組における活動、特に教育活動が停滞すること、②官公労組合の比重が高まること、③理念を無視した組織再編の動きが出てくること、などである。
 特に日々の活動が優先される単組台での教育活動の停滞は、労働運動の原点と労働組合の基本を学ぶチャンスを組合員から奪うことになる。労働運動のポイントが継続であり、積み重ねである以上、組合員に運動の原点とその方向性をしっかりと理解してもらうことは、現在の組合活動を強化・充実させるために不可欠のものである。
 いまこそ労働組合は教育活動を強化し、労働運動の原点を学んで欲しい。八月一日に友愛会創立を記念する会が開かれるのを契機に、「労働者の人間的成長と職業能力の向上」を謳った友愛会綱領を再読し、そして友愛会運動がめざした「より良く生きる」ための活動を、いま実践して欲しい。
                                以上