婦人科の待合の椅子は木製の高級感ある座り心地の良いものだ。
夫婦でその椅子に持たれながら何気なく前の席に座る女性の後ろ姿が気になっていた。
浅く腰かけているのだろう、姿勢悪くスマホを見続けているらしい。
妊婦さんならこんな姿勢は苦しいはずだ。
その内、七十代と思われる女性が隣の席に着いた。
どうやら親子のようである。
患者はこのご高齢のご婦人の様子。
腕を手で押さえていたので血液検査から戻ったようだ。
件の女性は一言二言交わすとまた同じ姿勢に戻った。
そこに事務の女性が何やら話しかけた。
その付き添いと思われる女性に体温計測をお願いしたようだ。
この病院では患者だけでなく付き添いにも体温測定をお願いしている。
件の女性曰く、まだ止血が5分経っていないので後で行きます。
暫くするとご高齢のご婦人が問診票と二つの体温計をとりに行った。
そして再び問診票と二つの体温計を事務の女性のところまで運んでいた。
この付き添いはスマホを覗き込んだまま動くことはなかった。
妻に言わせると、運転手として来ているのでしょう。
動けるようだからわざと手伝わないのではとも言った。
そんなものだろうか。