何やら芝居の評判が芳しくない様子だったので、覚悟して見に行きました。
そうでもないけど?????
ヅカファンも新しいお客さんが増えたので、悪評を語りつがれる作品を知らないのかも
(下には下がって言い方も、よくないけどね)
今回の「ライラックの夢路」は、確かに気になるところはあるしもっと面白くできたんじゃ?とは思うけど、
過去の不快・意味不明な作品とは別物ですよ。
(ヤマタイとか呪いのどんぐりとか星の王子様とかジャジーな妖精とか)
でも、謝先生一人で、脚本演出振付までやるのはちょっと無理あったかも。
振付を誰かに依頼したほうが良かったですね。
単純に時間が足りないでしょ?
さて。
良かったところ~
・「カラマーゾフの兄弟」を、努力が実って運も助けてくれて関係者の人柄も良くて、まるっとハッピーエンドになる形にしたお話だった。
途中、悩んだり間違ったりするキャラクターにも救いがあって、明るく終わる。
・ヒロイン(エリーゼ)とサブヒロイン(ディートリンデ)が、最後に協力しあえる関係になっている。
自立した女性になりたいエリーゼが、家に甘えてきたディートリンデの精神的な成長を促して、女性同士の友情をはぐくんでいく様子を見せてくれる
・役が多い。たくさんの組子が場面をもらって、しっかり仕事をしてる。誰が歌っても歌がうまい。
・主人公が、強引で少々自分勝手だけど倫理的にきちんとした人。
自分の事業のために戦争に加担することを拒否するとか、農民の農地を取り上げるようなことはしない、とか。
主人公の人格が、勝手な兄だけど憎めない、文句言いながら次男も兄についていくという流れに無理がない。
案外、主人公のキャラクター造形って大事。
最初から悪い人ですよって提示されてるならそれでいいんだけど、普通~良い人くらいなら、倫理的におかしなことをする時にはちゃんと悩んだり追い詰められたりしないと、「あれ?そこ平気なの?」ってなっちゃうからね。
そりゃ文句もあるよな~な所
・ポスターとタイトルが、すごく夢々しいのに、内容はすごく現実的な人間の成長譚。
夢がダブルミーニングになってるんだけど、芝居本編は、ほぼ現実的な成し遂げたいこと=夢 なんだよね。
しかも、冒頭の兄弟の歌が強い勢いのあるタイプの曲で。多分、そこで混乱しちゃう人多いんじゃないかな。
・群像劇(5人兄弟、軍隊、製鉄工場、ディートリンデの取巻きたち)が、スムーズに切り替わらない。
ぶつ切り感がある割に、あんまり説明がないので、状況を呑み込むのにちょっと時間がかかる。その間に芝居が進んでしまってる。
・長兄ハインドリヒの成長が分かりづらいので、次男フランツの苦悩からの納得が想定的に弱くなっちゃう。銀橋ソロ曲まであるのに。
・夢人チームがいることで、基本的には明るいハインドリヒの周囲に常に不安の影がつきまとってるはずなんだけど、
歌で説明するだけになってて、ハインドリヒの背後での関係性みたいなものがよくわからない。
あの夢人チームを、兄弟の誰か一人だけは見えるようにしてもよかったのでは?
って感じでした。
で、ショー。
とても良い藤井大介ショー!
和希そらに女装させると聞いて、「また悪い癖」と思ってたけど、あれはやらせたくなる場面。
そもそも、芝居、歌、ダンスと何でもできる実力派ではあるんだけど、
ダンスに特化させた場面を、ああいう形で見せたい!ってのはわかる気がする。すばらしい。
今後も、男役の女装場面を作るなら、特性を活かした方向性でがんばって(上からwwww)
夢白ちゃん大劇場トップお披露目ですが、
ちゃんとトップ娘役としてメインで扱われてて、安心した。
声がヒロイン声で、顔立ちがノーブル。もっと華やかになれるのでは。
カンカンの場面の夢白ちゃん、好きですね。
それから、デュエットダンスのバラ色のドレスの似合うこと!美しい~~~。
幸せあふれる白羽ゆりってかんじなので、
彩風夢白で、是非「ベルばら フェルゼンとアントワネット編」やってほしい。頭に帆船乗せてほしい。
初日からの休演者が全員復帰したタイミングでの観劇で、とてもラッキーでした。
久城あすさん!元気に戻ってきてた!!!!
芝居では、ナイス小悪党。
髭も似合って、ちょっとすっしーさん(寿つかささん)みたいでした。
ショーでは、歌で大事な場面をいただき、群舞ではぐいぐい踊り、
大階段は、白の変わり燕尾に赤いバラを胸につけて。階段で位置についただけで美しい。
ダンスも指先まで美しく、しなやかで。
やっぱり、ちょっとすっしーさんを感じたりして。
雪組で言うとどなたの系譜なんだろうな。
今回も見られて本当によかった。
多分、すっごい角度で下手からオペラが自分の方向いてるなと思ってたことでしょう。
ちらりと目線を飛ばしてくださってありがとうございました。
一日でも長く宝塚にいてください。
欲を言えば、まなはると二人で管理職になってください(強欲)
それにしても。
(ここから昔話)
劇場で雪組を見始めたのが、水・白羽「きみを愛してる/ミロワール」から、
初めて劇場に行ったのが、安蘭・遠野「さくら/シークレットハンター」なので
彩風さんのトップ就任も感慨深いし、
芹香さんのトップ就任も、本当に感慨深い。ここまで本当に長かった。おめでとう。
あの時初舞台ロケットしてた子たちがねぇ、立派になってねぇ。
長く見てると、あの子もこの子もって欲がでるけど、
皆がトップスターになれるわけじゃないからね。
運がかなり作用するし。
雪組で言えば、あーさが順当にトップスターになるんだろうけど、
あれだけ見せてくれる和希そらが脇にそれるのはもったいない。
だからってどこか場所があるかと言われると難しい。
縣千もいるしねぇ。
宙組では損な身長も、雪組では何の問題もないし、要するにもっと見たいという客の欲。
(ちなみに、多分和希そらを最初に認識したのは、宙組「クラシコ・イタリアーノ」の子役 上手かったのよ)
願わくば、タカラジェンヌ全員が納得のいくジェンヌ人生を送ってほしいです。はい。