それも日々

趣味と日々の記録

背中

2013-01-23 21:33:39 | お話


懸命に、ただ懸命に踊る


伸びやかに、腕を掲げ
指先を見つめる

引き締められた背中は
その稽古の充実を示し
嘘をつかない


床から生えた脚は
その背中に羽を生やす


懸命に、ただ懸命に踊る

音に乗り、
仲間と一体になる

時として、数十人が
一群の妖精となる

同じ衣装、同じ化粧
同じ動き


それでも尚、
我が子とわかる
何かに指し示されているのか
ふと、目が
端で踊る我が子の背中を
捕らえる


いつか、見知らぬ誰かが
一群の中から
我が子を見つける日が来ると
夢想するを

自嘲とともに
胸にしまう




晦日より

2013-01-23 21:31:42 | お話



里より届きし
心尽くしの黒豆を水に浸す


一年ぶりの新年の仕度に
ノートを繰る


里芋、蓮根、牛蒡、人参、蒟蒻
切っては出汁で炊く


傍らでは夫が大根を千切りにして
塩水に浸ける


紅白膾のめでたさを楽しみに
冷たい水を、乗り越える


黒豆、金団、煮しめ
雑煮の出汁
火はいくらあっても足りず


御節が出来れば
大晦日の夕げの仕度


労いの酒が身に沁みる
夜更かしを喜ぶ子らの笑顔に
笑いを誘われる


繰り返す
年末の日々が
また来る事を願い
除夜の鐘を聞く

潜む

2013-01-23 21:29:29 | お話



今日もまた、周囲の会話を遮断して
自分一人に埋没して

子の泳ぐを見守る


耳が働き過ぎるを
戒めること、叶わず
迫り来る言葉の意味を
消すこと、叶わず


言葉なくして生きられず
言葉を無視して生きられず


大音量の音楽を頼りに
母親達の波間に潜む


硝子越しの子は朗らかに泳ぎ
我を振り返り見て、手をふる


子が見つける我が顔が
穏やかであるために

音楽よ
歌よ


尖る心を守りたまえ

人でなし

2012-11-22 14:21:13 | お話




くっらーーーーーい、つぶやきのようなものです。
過去のテキストの中にあったので、日時をさかのぼってさらします。(2015年10月7日)










 今日もニュースが流れ、子どもを殺した親を、赤の他人が糾弾しています。

 私は、私は知っているんです。
 私の中にある、

 「子どもを、ののしる気持ち」
 「子どもを、殴る気持ち」
 「子どもを、蹴り飛ばす気持ち」
 「子どもを、放置する気持ち」
 「飢えても、いいという気持ち」
 「なかった事に、したいという気持ち」
 「男のために、子どもを捨てる気持ち」


 やらないだけ。
 やらないだけで、そんな気持ちがあるんです。



 法を犯していないだけ。
 子どもが知らないだけ。
 家族が知らないだけ。

 で、

 私の中には罪の種が、芽吹いては枯れ、芽吹いては枯れているのです。
 枯れても枯れてもまた芽吹いて、あやうく育ちそうになるその罪を。
 私は今日も踏みつぶしているのです。


哀しみのお月さま

2012-05-24 16:15:21 | お話

 なんでだよ。

もし、唯一の神様がいて
旧約聖書の言うとおりに人間を作ったというのなら
仕様がおかしいだろ。
設計ミスだろ。

 男のあばら骨から作る時に、余計な小細工をしただろ。



なんで、毎月毎月内臓の内膜が剥がれて出血しなきゃいけないんだ。
当然痛い。当たり前。
これが胃壁や腸壁だったら大ごとだろ。そうだろ。入院だろ。
貧血で倒れて当たり前だ。
体が動かなくて当たり前だ。


さらに、イライラしたり落ち込んだり自分の精神がコントロールできない。


これが本当にめんどくさい。被害が周囲に及ぶ。
仕事の生産性は、恐ろしく落ちる。
家族もこっちのぴりぴりを気にしてる。
会話の端々に棘が混じる。

なんとか平静を装おうと、痛み止めを飲んだり専用のハーブ茶を飲んだりするが、大した成果もない。
成果が上がらない上に出費が嵩んで、罪悪感倍増。


ああ、専用の衛生用品だって本当に無駄金だ。
外出時の荷物は増える(かさばるんだよ!)。でも持たないわけにはいかない。持ってないなんて悲惨の上に恥の上塗りするようなことができるか。


服もシーツもいくつも汚した。
しみぬきだって限度がある。
キレイに洗濯したはずのシーツに残る滲み。自分の汚れをそのまま残すようで切ない。
だからって、シーツを使い捨てにできるか?できないだろ。どこの金持ちだ。
だから、今日も滲みを見ないふりをする。



なのに、
「これは、誰にでもあることなので気にせずリラックスしていつも通りに日々を送ってください。仕事は休んでもいいですよ?周囲に迷惑をかけなければ。ありますよ?有休。なんなら専用の休みもありますよ?月に一日だけだけど。申請する相手の上司は漏れなく男性ですけど。しかも、胡散臭そうに見られるけど。さらに、入社以来コンスタントにとらないと信用されないから評価が下がるけど。そんなにつらいなら休めますよ?」と、世間は言う。


世間という名の女が言う。


そしてそいつらは、痛くもかゆくもないんだ。
同じ仕様じゃないのか。同じ設計じゃないのか。


同じことが起こっていて、同じ痛みが共有できない。
そういう奴らは概して体力がある。
仕事も安定してこなす。
(そりゃそうだよ。痛くないから休まない。メンタルも安定しているから仕事の出来にぶれがない。ということは、上司は使いやすい。)


「私ができるのに、なんであなたはできないの?」
「そんなに具合が悪くなるなんて、不摂生なんじゃないの?」
挙句の果てに、
「結婚して、子どもでも産めば?」



おおおおおおきなお世話だーーーーー!



女稼業40年。きっと一生納得できない。