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・・・子ども達が自信を持つための手助けをするのが教師の仕事・・・

2013-03-18 22:33:16 | 月刊『平和がいちばん』
 「平和がいちばん」3月号の「わわわのわ」は・・・社会問題を子どもと一緒に考える高校教師 牧口誠司さん
 取材をする中で、教育の一番大切なことが見えてきた。以下・・・ 

牧口さんは、東海大学付属仰星高等学校の国語の教師である。
 教師を目指すきっかけは、高校時代にさかのぼる。宮城県の進学校に入学した彼は、その高校の大学入試だけを目的にした雰囲気に違和感を持った。「高校を辞めることは現実から逃げることになる。かといってこのまま続けるのは、自分にうそをつくことだ」。その当時、牧口さんは『暮らしの手帳』をよく読んでいた。1979年春号にトラクターに乗った牛飼いの30歳代の男性の写真があった。その男性は片岡さんという京都出身の人で、借金をして北海道で牧場を開き、産直をしているという。「このおっちゃんやったら、受け入れてくれるかもしれない」と考え、親には「旅行に行ってくる」と言い、護身用の木刀とギターをかかえて、アポなしで片岡さんに会いに出かけた。今はなき北海道広尾線の「大樹駅」にたどり着き、やっとのことで片岡さんに会うことができた。「学校教育に疑問を感じ、高校を辞めてきた。ここで働かせてもらえないだろうか」と伝えると、意外なことに「それなら、しばらく働いてみるか」という返事だった。

 滞在して数ヵ月後に改めて「どうして受け入れてくれたんですか」と聞くと、片岡さんは、「だってな、ガリガリに痩せて目だけギラギラさせた兄ちゃんが木刀を持っているし、とりあえず働けと言っておけば、仕事がきついからそのうち音をあげて帰るだろうと考えていたんだ」。それから、牧場で働く人たちの中に入って懸命に汗を流した。トラクターの運転も任され、信頼されていると感じて自分の居場所はここだと思ったという。夏になると牧場実習に来た大学生50人ほどと、労働を通じた交流ができた。牧場での労働を続ける中で「大学もいいな」と思い始めていた。そんな折、片岡さんから「お前に行動力があるのは分かった。でもな、ここはお前の勝負する場所ではない」と諭された。

 その経験から教育に関わろうという漠然とした思いが芽生えた。高校復学後は勉強をし、現役で京都の大学に入学した。そして現代社会の問題を一緒に考え、社会をつくる仲間になってほしいと子ども達に語りかける教師になりたいという目的ができてきた。
 
 教師生活で印象深いのは、9年前に担任した1年生の子ども達。子ども達のやりたいことは全てした。遠足で淡路島から無人島探検や、オリジナル劇を演じた文化祭等々。子ども達のつながりが深まっていった。そのクラスの教室の黒板に「私はこのクラスの一員になれて幸せです」と小さく書かれていたのを見た時、「人は認められないと自信をもてない。自信をつくる手助けをするのが教師の仕事だ」と再確認したという。そしてこの一言こそが教師冥利に尽きる言葉だとも。

 今、ホームレス問題と学校のいじめ問題はつながっていると考えている。アメリカでは「ただいま」は「I am home」とも言う。人には安心して居ることのできる「ホーム」が必要なのだ。子どもたちのホームをつくろうと日々奮闘が続く。
 
 彼の趣味は料理、腕はプロ級。「カフェ・ド・マキグチ」が時々開店する。パレスチナ文学研究者の岡真理さんも、このパーティーの常連である。シェフも勤める彼は、今オリジナルの肉のカルパッチョの研究をしているとか。彼の将来の希望の一つは、イタリアン料理を食べながら国際的な出会いもできる、多様な人が交流する地域でのホームづくりだと言う。
 最後に彼は「人間を信頼していない者は、子どもをも大切にしない。未来の破壊者だ」と語り、橋下大阪市長の教育行政を痛烈に批判している。   
(取材・文 おおた幸世)


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