盛唐の詩人、詩聖 杜甫の有名な五言律詩 「春夜喜雨」を紹介します。
春夜喜雨
好雨知時節
当春乃発生
随風潜入夜
潤物細無声
野径雲共黒
江船火独明
暁看紅湿処
花重錦官城
春夜 雨ヲ喜ブ
好雨時節ヲ知り
春に当タツテ乃(すなわ)チ発生ス
風ニ随(したが)ヒテ潜(ひそ)カニ夜ニ入ル
物ヲ潤シテ細ヤカニシテ声無シ
野径雲ハ倶(とも)ニ黒ク
江船火ハ独リ明ラカナリ
暁ニ紅ノ湿(うるお)ヘル処ヲ看(み)レバ
花ハ錦官城ニ重カラン
「訳」
よい雨は降るべき時節を知っており、春になると降り出して、万物が萌えはじめる、雨は風につれてひそかに夜まで降り続き、こまやかに音もたてずに万物を潤している、野の小道も雲
と同じように真っ黒であり、川に浮かぶ船のいさり火だけが明るく見える、夜明けに、赤くしめりをおびたところを見るならば、それは錦官城に花がしっとりぬれている姿なのだった。
「鑑賞」
35歳の杜甫が官を求めて都長安にいたころ、唐王朝は爛熟期にあった。48歳で四川省盛都に赴き草堂を築いてしばしのやすらぎを得た。この詩は草堂での春の雨をうたって、もの静かなうちにも喜びのあふれた作となっている。
5月から6月初めの雨の頃、拙宅の周りの林からはホトトギスの声が聞こえます。今年は殊に
よく鳴きます。
石川忠久「漢詩紀行」 日本放送出版協会
春夜喜雨
好雨知時節
当春乃発生
随風潜入夜
潤物細無声
野径雲共黒
江船火独明
暁看紅湿処
花重錦官城
春夜 雨ヲ喜ブ
好雨時節ヲ知り
春に当タツテ乃(すなわ)チ発生ス
風ニ随(したが)ヒテ潜(ひそ)カニ夜ニ入ル
物ヲ潤シテ細ヤカニシテ声無シ
野径雲ハ倶(とも)ニ黒ク
江船火ハ独リ明ラカナリ
暁ニ紅ノ湿(うるお)ヘル処ヲ看(み)レバ
花ハ錦官城ニ重カラン
「訳」
よい雨は降るべき時節を知っており、春になると降り出して、万物が萌えはじめる、雨は風につれてひそかに夜まで降り続き、こまやかに音もたてずに万物を潤している、野の小道も雲
と同じように真っ黒であり、川に浮かぶ船のいさり火だけが明るく見える、夜明けに、赤くしめりをおびたところを見るならば、それは錦官城に花がしっとりぬれている姿なのだった。
「鑑賞」
35歳の杜甫が官を求めて都長安にいたころ、唐王朝は爛熟期にあった。48歳で四川省盛都に赴き草堂を築いてしばしのやすらぎを得た。この詩は草堂での春の雨をうたって、もの静かなうちにも喜びのあふれた作となっている。
5月から6月初めの雨の頃、拙宅の周りの林からはホトトギスの声が聞こえます。今年は殊に
よく鳴きます。
石川忠久「漢詩紀行」 日本放送出版協会
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