goo

宇宙は何でできているのか 村山斉

最先端の素粒子理論で、宇宙が何からできているのか、どのような法則がそこにあるのかを解説した本書。本書を読んでいると、判りやすいとはどういうことなのかを考えさせられてしまう。本書では、難しい理論が、日常の現象に例えて「判りやすく」解説されているが、それで本当に判りやすいかと言うと、あまり判りやすいような気がしない。そこには、日常に例えれば判りやすいという思い込みがあるような気がする。難しいものは難しいまま記述しなければいけないという分野があるような気がする。大変勝手な考えだが、そもそも著者の、正確には理解してもらえなくてもその面白さが判ってもらえれば良い、ここまで科学は進んだということを理解してもらえれば良い、という目標そのものがいけないのではないかとさえ思う。判ったつもりになってくれ、共感してくれというだけでは、ある意味読者に失礼ではないかとさえ思う。楽をして判ったつもりになりたいという読者もいることはいるだろうが、多くの読者は、著者自身がそれを理解したときの自分の追体験を判りやすく語ってくれることを望んでいるはずだ。著者自身がそれを理解した際に日常生活の中の比喩で理解したのでなければ、もっと別の伝え方があるはずだと思う。(「宇宙は何でできているのか」 村山斉、幻冬舎新書)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )