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あんじゅう 宮部みゆき

三島屋変調百物語の第2作。話はますます面白く、どうしてこのような話が書けるのか不思議になるくらいに、心に染みいる内容だ。本書のように複雑で微妙な心のひだを描写する文章を他に読んだことは皆無である。まさに現代の語り部の面目躍如ということだろうが、そこにあるのは時代や国を超えた日本の宝ではないかという気さえしてくる。本書では5つの話が描かれていて、全ての質の高さに驚かされるが、それぞれの趣の微妙な違いやゆるいつながりなども、全てが計算されつくされている。話はもう少し続きそうな感じで、本当に続編が楽しみだ。(「あんじゅう」 宮部みゆき、新人物往来社)

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