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著者 : 佐々木譲
生年 : 1950年
出身地 : 北海道
出版年 : 1988年
出版社 : (株)新潮社
☆☆感想☆☆☆
著者の「第二次世界大戦3部作」の第一弾に当たる。第二弾が「エトロフ発緊急電」、第三弾が「ストックホルムの密使」だ。第二次世界大戦の確認できない秘話である。1940年の12月に零戦が日本からドイツのベルリンに飛んだという話である。ヨーロッパに駐在していた日本人が零戦をベルリンで見たという目撃証言を受けて独自に調査したものを著者が受け継いで小説という形にまとめたものである。三国同盟を結んだドイツから零戦の実物を検分して良ければライセンス生産したいので2機ベルリンまで送ってほしいという申し出があった。その飛行ルートはソ連の領空ではなく、南回りを指定されて、インドシナ、インド、イラク、トルコ、イタリアを通るルートに決まる。イギリスの支配下にあるインドやイラクを通らなければならない。給油と整備の飛行場が必要である。この難しい任務を託されたのは超一流の飛行機乗りの安藤大尉と部下の乾一空曹。現地で飛行場とガソリンの確保を依頼するのはイギリスからの独立を目指す有力者。イギリス側の情報員も暗躍している。空からインドの川の流れを見て秘密の飛行場を探し出すのは至難の業。無事にベルリンまでたどり着けるのか。
実に面白かった。