『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想322  扇動者

2023-02-19 19:51:51 | 小説(海外)

煽動者 下 (文春文庫)

読書感想322  扇動者

著者    : ジェフリー・ディーヴァー

生年    : 1950年

出身地   : 米国シカゴ生まれ

出版年   : 2015年

邦訳出版年 : 2016年

邦訳出版社 : (株)文藝春秋

訳者    : 池田真紀子CBI9

☆☆感想☆☆☆

キャサリン・ダンスを主人公にしたシリーズの第4作。舞台はカリフォルニア州の風光明媚なモンテレー。カリフォルニア州捜査局(CBI)の捜査官のキャサリンはボディランゲージを手掛かりにして人の思考を読み取るキネシクスの専門家。そのキャサリンがキネシクスを駆使して麻薬ネットワークについて不利な証言をするというセラーノの事情聴取をして無罪放免した後で、実は麻薬ネットワークの殺し屋であることが判明する。キャサリンのキネシクスの信用は崩れ去り、キャサリンは銃の携帯使用を禁じられて民事部に配置換えされる。その同時期にコンサート会場で外部の火事の煙が充満して観客が非常口に殺到し多数の死傷者が出る事件が発生する。非常口の外にはトラックが止まっていてドアが開かなかったのだ。キャサリンは権限がないにもかかわらず、上司には内緒でこの事件の関係者の事情聴取を行う。同じようなパニック事件が続く。しかしキャサリンには犯人の動機がわからない。

キャサリンには亡くなったFBI捜査官の夫との間に2人の子供がいる。12歳のウェスと10歳のマギー。2人の気持ちがキャサリンにはよくわからない。そしてキャサリンの現在の恋人、コンピューターの専門家のジョン・ボーリングと、昔からの友人のモンテレー郡保安官事務所の刑事部長マイケル・オニールがキャサリンを支えてくれる。

本編の中には日本と関係するものが多数出てくる。文化的な親和性がこんなに進展しているのかとびっくりした。まず、車はホンダ、日産、トヨタ、レクサスとほとんど日本製だ。ゲームではニンテンドー、ソニーのプレイステーション。漫画は日本で買ってきたというデスノート。さらに日系の下院議員に、第二次世界大戦中の日系人たちの強制収容所の跡地まで。

ゲームやビデオ、映画の残酷なシーンが殺人欲求を高め、それを実際に見たいという欲求が需要としてあるというのが本編のすべての謎の背後にある。

今まで読んだキャサリン・ダンスのシリーズの中で一番納得したし、印象的だった。


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読書感想321  夏に凍える舟

2023-02-05 17:02:03 | 小説(海外)

夏に凍える舟の画像

読書感想321  夏に凍える舟

著者     : ヨハン・テオリン

生年     : 1963年

出身国    : スウェーデン

出版年    : 2013年

邦訳出版年  : 2016年

邦訳出版社  : (株)早川書房

訳者     : 三角和代

☆☆感想☆☆☆

エーランド島四部作の掉尾を飾る作品。今までの作品の中で登場してきた人々が事件に巻き込まれていくが、その中でも元船長のイェルロフ・ダーヴィッドソンがいくつかの章で語り部として物語を進行させている。同じく元船長で親友のヨン・ハーグマンや親戚の警察官ティルダ・ダーヴッドソンも登場する。二十世紀の最期の夏でイェルロフは八十四歳になっている。春から夏は海辺の自宅に帰り、秋から冬は島内の高齢者施設で生活している。六月の夏至祭に、いつもは閑散とした別荘地やリゾート地には観光客が溢れている。イェルロフの自宅にも本土から娘の家族がやってきてにぎやかになっている。イェルロフはその喧噪を避けて。海辺のボート小屋で寝ることにした。すると夜中にびしょ濡れの十二歳のヨーナスが助けを求めて現れる。ヨーナスは幽霊船の中で船員が殺されているのを見たと言う。ゴムボートで沖に出たヨーナスは大きい船に衝突して船の甲板によじ登ってその惨状と殺人者を見たのだ。ヨーナスはエーランド島リゾートを経営するクロス家の一族で夏休みにエーランド島に来たのだ。クロス家は広大な土地を所有し、今はそれを休暇村に変えた金持ち一族だ。70年前、イェルロフは十四歳のときに当時のクロス家の長男エドヴァルト・クロスの墓掘りに駆り出された。その時次男イルベルトも亡くなり、三男シーグフリッドがクロス家の土地をすべて相続した。一緒に墓掘りに駆り出された、もっと幼い少年アーロン・フレドは義理の父親と一緒に新しい国へ移民していった。そのころ、スウェーデンからアメリカに移民する人は多かった。

語り部はヨーナス、エーランド島リゾートのホテルで歌手として働くリサ、帰ってきた男と新しい国での体験を語るアーロンと多彩だ。

殺人は幽霊船以外でも続く。七十年前の因縁が連続殺人の背後にある。

ずしりと重い真実が暴かれていく。しかしイェルロフとヨーナスの七〇歳以上の年の差を越えた友情が重い物語の光明になっている。過去の因縁が殺人事件につながっているというのはエーランド島四部作すべてに貫かれている。バルト海の短い夏が六月七月で終わり、八月には寒くなり観光客も去るというのは、やはり北極圏に近いということがわかるし、日本とはずいぶん夏の感覚も違うと思う。


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映画雑感47  2023年1月

2023-02-01 21:43:15 | 映画

マークスマン

①崖っぷちの男          面白さ(5点満点):☆☆☆☆

制作年・国 :2012年 アメリカ    主演 :サム・ワーシントン

コメント :ダイヤを盗んだ罪で服役中の元警官が父の葬儀で来た墓地から脱走。高層ビルの窓の外に立つ。自殺願望がある男なのかと思ってしまうが、意外だ。

②マークスマン         面白さ(5点満点) :☆☆☆☆

制作年・国 :2021年 アメリカ   主演 :リーアム・ニーソン

コメント :麻薬カルテルに追われる不法入国したメキシコ人の母と息子を国境に住む牧場主が助ける。感動的な話。お金に困っている牧場主が金のために助けるのではないと幼い子供のために証明して見せる。

③ナイブス・アウト グラス・オニオン   面白さ(5点満点) :☆☆☆

制作年・国 :2022年 アメリカ    主演 : ダニエル・クレイグ

コメント :名探偵部ブノワ・ブランが大富豪の地中海の島のパーティに紛れ込む。そこで殺人事件が発生。エドワード・ノートンも出演するなど俳優がいい。

④息子のしたこと       面白さ(5点満点) :☆☆☆

制作年・国 :2018年  スペイン・フランス    主演 :ホセ・コロナド 

コメント :息子に瀕死の重傷を負わせた男達を探し復讐する医師。医師が短絡的に見えて知性が感じられない。ギャングと同じ。

⑤追憶        面白さ(5点満点) :☆☆☆

制作年・国 : 2017年 日本   主演 :岡田准一  小栗旬  

コメント :富山県で起きた殺人事件を追う刑事が、昔の友達2人との因縁にたどりつく。貧しく暗い雪深い日本海側の雰囲気が出ている。

⑥秘密        面白さ(5点満点) :☆☆☆

制作年・国 : 2016年  日本  主演 :生田斗真

コメント :死者の脳に残された記憶を映像化するMRI技術を開発した警察官。まだ公式に認められていない技術。そうであれば、生きている人間の記憶も映像化できるのではないか。しかし、その設定はない。

⑦17 again                   面白さ(5点満点) :☆☆☆☆

制作年・国 :2009年  アメリカ    主演 :ザック・エフロン

コメント :何もかもうまくいかない中年男が、17歳にもどって大学に推薦入学していればと思っていたら、なんと17歳に戻ってしまう。息子と娘と同じ高校に通うようになる。どたばたで面白い。


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