『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

映画雑感23  (2019年7月~9月)

2019-09-29 12:09:14 | 映画


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映画雑感23  (20197月~9月)

   蜘蛛の巣を払う女

制作国: イギリス・ドイツ・スウェーデン・カナダ・米国

制作年: 2018

監督 : フェデ・アルバレス

主演 : クレア・フォイ

面白さ: ☆☆☆

感想 : 「ドラゴン・タトウーの女」に続く物語。「ドラゴン・タトウーの女」のリズベットが、アメリカ国家安全保障局(NAS)から核攻撃プログラムを取り返してほしいと開発者に依頼される。核攻撃プログラムの争奪戦が始まる。16年前に別れた双子の姉妹カミラが、父から遺されたマフィア組織を率いて、リズベットの前に立ちふさがる。寒いスウェーデンの雪の中で物語が進行する。タトウーだらけのリズベットは反体制の象徴なのかもしれないが、頭が冴えているという印象はないが、打たれ強いという印象がある。

   レイチェルの結婚

制作国: 米国

制作年: 2008

監督 : ジョナサン・デミ

主演 : アン・ハサウェイ

面白さ: ☆☆☆☆

感想 : 姉の結婚式のために麻薬治療の矯正施設から出て実家に戻った妹。実家には姉と父とその再婚相手の後妻がいる。後妻は黒人。そして姉が結婚する相手も黒人。離婚した母もやってくる。母の再婚相手は白人。崩壊した家族の間の葛藤はすさまじいが、自宅で行われるパーティーと黒人たちが主導する音楽とダンスの盛り上がりは実に楽しい。「花嫁の父」では黒人と結婚する白人の娘はたくさんの障害を乗り越えなければならなかったが、60年以上たったこの映画では、だれ一人、違和感を持つ人も、反対する人も現れない。しかし、本当だろうかと思ってしまう。

   レインマン

制作国: 米国

制作年: 1988

監督 : バリー・レヴィンソン

主演 : ダスティン・ホフマン  トム・クルーズ

面白さ: ☆☆☆☆

感想 : 父の遺産を全部相続することになった自閉症(サヴァン症候群)の兄とその後見人に対して、初めて兄の存在を知った弟が怒り、財産の半分かあるいは自分を後見人にするように要求する。そのために兄を病院から連れ出し、ロスアンゼルスの弟のうちに連れて帰る。その旅で兄の人柄と特殊な能力に目を瞠る。

トム・クルーズが若い。


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韓国等ドラマ備忘録11 (2019年7月~9月)

2019-09-28 21:31:55 | 韓国ドラマ

カインとアベル 下巻

韓国等ドラマ備忘録11 (20197月~9)

   ビックマン 

制作国・年:  韓国 2014年  

脚本   :  チェ・ジンウォン

俳優   :  カン・ジファン(主演)

        チェ・ダニエル   イ・ダヒ

面白さ  :  ☆☆☆

感想   : 心臓移植のために交通事故を装って殺されかけた孤児院育ちの男が生き返り、財閥の隠れた息子とされる。一方、心臓移植の必要に迫られている財閥の御曹子は、闇ブローカーのあっせんで中国へ移される。欲と死期に葛藤するチェ・ダニエルの演技が鬼気迫る。

 

   カプトンイ

制作国・年:  韓国 2013

脚本   :  クォン・ウムミ

俳優   :  ユン・サンヒョン(主演)

        キム・ミンジョン   イ・ジュン

面白さ  :  ☆☆☆

感想   :20年前の連続殺人事件は未解決のまま。刑務所の中で連続殺人犯を暗示する「カプトンイ」の落書きが発見される。分けありの刑事と精神科女医が刑務所内で「カプトンイ」を探す。

刑事役のユン・サンヒョンが健康的で見ていてほっとする。女医役もカプトンイ役も見ているだけで気分が悪くなる。

   カインとアベル

制作国・年:  2009

脚本   :  パク・ゲオク

俳優   :  ソ・ジソブ(主演)

        ハン・ジミン  シン・ヒョンジュン

面白さ   :  ☆☆☆

感想    :韓国ドラマらしい金持ち一家の相続者争いに恋人をめぐる三角関係。金持ち一家が大病院の医者。兄が弟を中国で殺害させる。しかし、弟は奇跡的に命拾いをする。弟の復讐が始まる。上海や中国の砂漠地帯のロケもあり、スケールが大きい。 


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読書感想268  よい旅を

2019-09-20 22:07:44 | 日記・エッセイ・コラム

読書感想268  よい旅を

著者      ウィレム・ユーケス

生年      1916

国籍      オランダ

出生地     オランダ領東インド(インドネシア)

出版年     2012

邦訳出版年   2014

訳者      長山さき

☆☆感想☆☆

 本書は日本軍占領時代のオランダ領東インドでの刑務所の体験を70年たった95歳で綴ったものである。著者の家系はインドネシアに所縁のある一族で、著者もそこで生まれ2歳のときにオランダに戻り教育を受けた。著者は勤務先の日本駐在員として1937年から1939年まで神戸で過ごしている。大変豊かで楽しい独身生活で、日本人の恋人もいた。しかし最終的に日本で育ったイギリス人の女性と婚約し、インドネシアのジャワ島に転勤してから結婚している。ジャワ島での牧歌的な新婚生活は、1941127日の日本軍による真珠湾攻撃で幕を閉じた。オランダ領東インド軍(KNIL)の予備役少尉だった著者は招集されたが、ほとんど抵抗することもなくKNILは降伏した。著者は、日本語ができるということで自宅に住みながら日本軍の通訳を務めた。それが暗転したのは、オランダ軍に日本軍の配置の情報を流すスパイ組織に加わったことからである。このスパイ組織が摘発され、著者も逮捕された。数か月にわたって尋問され、懲役5年の判決を受け、刑務所に移送された。刑務所は次々と変わり、食料不足から多くの囚人がなくなり、著者もあと1週間終戦が遅れていれば、餓死しただろうという惨状のなか、生還することができた。戦後も後遺症が続き、日本人を見ると恐怖心から卒倒しそうになった。日本人を見ても落ち着いていられるようになるのに戦後35年を要している。戦後51年がすぎた1996年に家族といった中華料理店で白飯を見たときに思い出すことのなかった飢餓の記憶がよみがえったこともある。著者について驚くべき点は、刑務所での過酷な体験にもかかわらず、日本人に対して恨みが残らなかったと言っていることである。日本や日本人にたいする肯定的な感情が損なわれなかったのは、神戸での2年半の生活があったからだという。個人的によく知るようになった日本兵についても悪い印象は持っていない。初めて通訳した将校に対しては敬意を持ち続け戦後行方を捜したりしている。いろいろな話をするようになった看守も気に入らない意見を言っても殴らないという約束を守ってくれたと感謝している。尋問中の拷問も酷いものはなかったと言っている。それでも二つ挙げている。自白一歩手前で行われる水攻めと、火かき棒で強くはないが繰り返し数秒に一度膝をたたくもの。前者は免れ、後者は後遺症に苦しんだそうだ。

著者はインドネシアで従軍慰安婦として働かされた若い女性に日本政府が謝罪すべきだと訴えている。そうでない限り、恨みを持ち続けるだろうと。戦後、連合軍によって慰安所運営の日本軍の責任者が2名ほど死刑になっている。当時日本人だった朝鮮人慰安婦や日本人慰安婦は公娼だったのとは違い、オランダ人の女性を踏みにじったということか。インドネシア人の慰安婦についても責任は追及されたのだろうか。慰安婦問題は事実とプロパガンダが入り混じっているので、真実がどこにあるのかがわかりにくい。いつか全貌を明らかにする必要があるだろう。

その時代、その場に連れていかれるような臨場感あふれる描写で、重いテーマだったが一気に読んでしまった。 


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読書感想267  クリフトン年代記

2019-09-16 00:44:56 | 小説(海外)

読書感想267  クリフトン年代記

著者      ジェフリー・アーチャー

生年      1940

出身地     イギリス、ロンドン

出版年     2011年~2016

邦訳出版社   (株)新潮社

☆感想☆☆

何年にもわたって書き続けられてきた年代記である。イギリスの港町ブリストルで生まれた貧しい少年が、作家として成功し、初恋の女性とも結ばれ、波乱万丈ながらも豊かで名誉ある人生を終えるまでを描いている。少年の名前はハリー・クリフトン。ハリーをめぐる重要人物はハリーの友人のジャイルズ・バリントン、そしてその妹のエマ・バリントン。二人はブリストルの造船会社の創業者一族。始まりは第1次世界大戦直後に生まれたハリーにはすでに父親がいなかったことだ。戦死したと聞かされていたが、ハリーは父親の死が本当に戦死なのか疑いを抱いていた。ハリーの母親のメイジー、ジャイルズの父親ヒューゴー・バリントンも何か秘密を隠している。

全部で7部に分かれている。

1部「時のみぞ知る」

2部「死もまた我等なり」

3部「裁きの鐘」

4部「追い風に帆を上げよ」

5部「剣より強し」

6部「機は熟せり」

7部「永遠に残るは」

極貧層からボーイソプラノの声をかわれて進学校の聖歌隊のメンバーとして入学が許可されたり、第2次世界大戦がはじまったアメリカで手違いから刑務所にぶち込まれたりする12部あたりが面白かった。いつのまにか、恵まれたエリートの一員になってしまい、冒険も冒険ではなくなってくるし、ハリー以外の人たちの活躍に重心が移っていってしまう。企業経営や株の買い占め、また選挙や議会活動についてもエマとジャイルズの活躍として詳しく描かれている。進学校時代でも戦地でも悪玉はあくまでも悪玉で、常に善玉、ハリーやバリントンの2人が勝利するような展開になっている。いつもいつも出版する本がベストセラーになるのも調子のよい展開だし、主人公たちに失敗の2字が起こらないのがあまりにご都合主義だ。それでもそれぞれがどうなったのか知りたくて一気に読んでしまった。 


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