2017年1月から4月までに見た映画。
1.キャロル
2015年のアメリカ映画。ケイト・ブランシェット、ルーニ・マーラ出演。
年上の女に誘われてレスビアンになる若い女の話。年上の女が魔女のように見えてくる。レスビアンになる必然性がいまいちわからない。
2.ブルックリン
2015年のアイルランド、イギリス、カナダ合作映画。主演はシアーシャ・ローナン。アイルランドからニューヨークに渡った娘が、自活し夜学に通い、イタリア系の男と恋に落ち、いったんはアイルランドに戻りながら、アメリカでの未来を選択する話。主人公に普通に共感できるし、アメリカンドリームが生きている時代なので、楽しく鑑賞できる。
3.ウルフ オブ ウォールストリート
2013年のアメリカ映画。レオナルド・ディカプリオ主演。くず株を売ってお客を破滅させて儲けるウォール街の金の亡者の話。テーマがそもそもくだらないし、面白くない。
4.フォレスト・ガンプ
1994年のアメリカ映画。トム・ハンクス主演。知的障害のある青年のまっすぐな一生。現代のお伽話。
5.ハンナ・アーレント
2012年のドイツ、ルクセンブルク、フランス合作。バルバラ・スコヴァ主演。ナチスのユダヤ人虐殺をかろうじて逃れた実在のユダヤ系アメリカ人の哲学者が、アイヒマン裁判を傍聴するなかで、ナチスに協力したユダヤ人コミュニティの指導者たちの責任を問うと表明する。ホロコーストのただなかにいた人にそんなことを問えるのかと常識的には思うけれど。哲学者は無敵だ。
6.マグノリア
1999年のアメリカ映画。トム・クルーズ出演。ベルリン映画祭で金熊賞受賞。
9人の24時間。トム・クルーズがいい。マッチョな男を演じながら、内面が真逆のナイーブな男だ。不思議な映画だがとても面白い。
7.ダヴィンチコード
2006年のアメリカ映画。トム・ハンクス主演。ダン・ブラウンの原作の映画化。テンプル騎士団が守っていたものは何か。信仰を血統の問題にすり替えたように見える。あまりおもしろくない。
8.レヴェナント(蘇りし者)
2015年のアメリカ映画。レオナルド・ディカプリオ主演。アカデミー監督賞と主演男優賞を受賞。西部開拓時代の罠猟師の実話に基づいている。とても面白い。
9.キャプテン・フィリプス
2013年のアメリカ映画。トム・ハンクス主演。
ソマリア海賊に襲われ人質になった船長の実話に基づいている。あまり面白くない。
10.マネーショート
2015年のアメリカ映画。ブラッド・ピット出演。
サプライムローンのバブルが崩壊すると予測した投資家が巨利を得るまでの話。登場人物は興奮しているが見ている方は醒めている。
11.クーパー家の晩餐会
2015年のアメリカ映画。ダイアン・キートン出演。
年老いた父親の家に集まる家族たち。よくあるストーリー。
12.シングストリート
2016年のアイルランド映画。フェルディア・ウォルシュ
公立高校に転校してきた生徒を中心にバンドを作る。音楽がいい。
13.ロスト・バケーション
2016年アメリカ映画。ブレイク・ライブリー主演。
ジョーズの女性版。とても面白い。
14.エクスポーズ
2015年のアメリカ映画。キアヌ・リーブス主演。
警官が殺される。目撃者の記憶が絡み合う。あまり面白くない。
15.天使と悪魔
2009年のアメリカ映画。トム・ハンクス主演。ダン・ブラウンの原作の映画化。「ダヴィンチコード」よりわかりやすい。ローマへ行ったことのある人にとっては面白いかもしれない。
16.ジャングル・ブック
2006年のアメリカ映画。ニール・セティ主演。
狼に育てられた少年の冒険。少年を助ける動物がいたり、憎む動物もいて、動物と話ができるというお伽話。まあまあのストーリー。
17.鑑定士と顔のない依頼人
2013年のイタリア映画。ジェフリー・ラッシュ、シルヴィア・フークス
鑑定依頼人が電話だけで、絶対に姿を現さない。とても面白い。
18.The departed
2006年のアメリカ映画。レオナルド・ディカプリオ
ギャングの中に潜入捜査に入った警官と、警察に入ったギャングのスパイの暗躍。
とても面白い。
19.パリ3区の遺産相続人
2014年のアメリカ、イギリス、フランス合作映画。ケヴィン・クライン主演。
相続した遺産はパリの高級アパート。しかしそこには人が住みついていて処分できない。
面白い。
著者 桜木紫乃
生年 1965年
出身地 北海道釧路市
出版年月 2008年10月
☆感想☆☆☆
著者の作品の多くが北海道を舞台にしているように、本作品も北海道の東部を舞台にしている。根室と釧路。
釧路で母親の書道教室を引き継いだ篠塚夏紀は、出生の秘密を知るために根室に向かった。母親の素性も父親もわからない夏紀が、わずかな手がかりから母親の痕跡を調べる旅だった。認知症になった母親が「行かなくちゃ」としきりに言う「ルイカミサキ」がその手がかりだった。地元新聞に載った歌の中に「涙香岬」の名前を見た夏紀は、それが母親の言う「ルイカミサキ」ではないかと思ったのだ。歌の作者は退職した元中学校教師の沢井徳一。涙香岬には沢井徳一とその息子の沢井優作が案内に立ってくれた。涙香岬の近くには古い水産会社の建物や事務所があり、廃材や使い古した冷蔵庫や水槽、コンテナなどの積まれた駐車場を抜けたところに岬があった。そこに夏紀は母親の痕跡を見つけることはできなかった。涙香岬の近くには3軒の家があった。一番奥にあるのが川田旅館。いまは営業していないが、密漁を仕切りソ連とも通じていると言われる、泣く子も黙る地元のボスの一家。一軒は無人の佐々木家。そしてもう一軒。沢井徳一は30年前、赴任早々に受け持った佐々木彩子に対して海に落ちて死ぬまで何もしなかったことに自責の念を抱いていた。彩子は拿捕されソ連で病死したと発表された父親に銃創の跡があり、それを調べると徳一に語り、まったく学校に来なかったのだ。彩子が死ぬ前に妊娠していたということを聞いていた徳一は、息子に彩子の子供を探したいと言う。こうして涙香岬を巡る夏紀と沢井親子の謎解きが始まる。
漁業の町が密漁しなければ成り立たない。ソ連の国境警備隊との取引で密漁が黙認されている。そういう裏を仕切るのはやくざかマフィアか。そんな国境の町のなりわいが目に浮かぶような作品。