『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

四季折々1068  花の苑地

2023-08-29 08:49:30 | まち歩き

津久井湖城山公園花の苑地。津久井湖を挟んで水の苑地の対岸にある。色々な草花が植えられている。

赤いペチュニア、アフリカンマリーゴールド。

ジニア?

「あつき日にしづかにのぼる峰の雲夕だちすべき空ぞまたるる」

(飛鳥井雅親 1416年~1490年)


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読書感想330  樹木たちの知られざる生活

2023-08-16 22:34:15 | 日記・エッセイ・コラム

著者     : ペーター・ヴォ―ルレーベン

生年     : 1964年

出身地    : ドイツのボン

出版年    : 2015年

邦訳出版年  : 2017年

邦訳出版社  : (株)早川書房

訳者     :長谷川圭

☆☆感想☆☆☆

著者は大学で林業を専攻し、20年以上営林署で勤務、フリーランスでの森の管理を経て本書を出版した。本書はドイツでベストセラーになり、34か国で翻訳されたという。

本書は樹木についての、静かに成長し環境に受身な存在であるといった固定観念を覆すものである。動物のように記憶もあり、痛みも感じ、仲間同士が助け合う社会性があるというのである。

木のコミュニケーションの手段は芳香物質、香りである。サバンナアカシアとキリンの例が挙げられている。アカシアは葉を食べにキリンがくると、数分以内に葉のなかに有毒物質を集める。毒に気づいたキリンは100mぐらい離れた別の木に移動する。それは最初に葉を食べられたアカシアが周りの仲間に知らせるために警報ガス(エチレン)を発散するから、周囲の木は有毒物質を用意する。それで警告が届かない木まで移動するのだ。

また痛みも感じる。ブナもとうひもナラも毛虫が葉をかじると、かじられた部分の周りが変化する。

また「唾液を分類する」という樹木の能力は味覚のようなもので害虫退治に役立っている。害虫は種類によって唾液の成分が違うので、種類がわかったらその害虫の天敵が好きなにおいを発散する。そうすると天敵がやってきて害虫を始末してくれる。

樹木は自ら有毒物質を作り出して害虫を寄せ付けない。ナラは樹皮と葉にタンニンを送り込むことができ、ヤナギもサリシンという物質を作り出す。

また時間の感覚があり、記憶力がある。春か晩夏かと、昼の長さと気温で判断する。

根や菌類を通じて光合成ができなくなっている仲間の木に栄養をおくり助け合っている。

経験を学習する能力があり、著者はおそらく根の部分に脳のような機能があるのだろうと推測している。ミモザの葉に水滴を落とす実験をすると、初めのうちはすぐ葉が閉じたが、しばらくすると閉じなくなる。閉じなくても危険ではないと学んだからだ。数週後にテストを再開すると、ミモザは前回学習したことを覚えている。葉が閉じないのだ。

そのほか森の樹木と公園や街路樹の樹木の違い、針葉樹と広葉樹の構造のちがいなど、興味深い。

本書を読んでから、樹木や植物に対して、今までよりももっと私たち人間や動物に近い存在に感じるようになっている。


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読書感想329  脱北、逃避行

2023-08-04 18:16:27 | 時事・歴史書

脱北、逃避行(文春文庫)

著者  : 野口孝行

生年  : 1971年

出身地 : 埼玉県

出版社 : (株)新人物往来社

出版年 : 2010年

☆☆感想☆☆☆

著者の野口氏はアメリカのアーカンソー大学を卒業後、メーカー、商社勤務などを経て、2002年に民間活動団体NGO「北朝鮮難民救援基金」に参加、脱北者救援活動に携わっていた。2003年12月に広西チワン族自治区南寧市で脱北者2名とともに身柄を拘束され、8か月の実刑判決をうけ、2004年8月に刑期を終え国外退去処分となり、帰国した。その時の体験を綴ったのが本書であり、2010年に出版された。

本書は脱北者や脱北方法に関する第一部と、中国で未決囚が収容される看守所での生活の第二部が記述されている。どちらも貴重な体験であり、記録である。

第一部では、北朝鮮から脱北した人々にとって隠れ住む中国東北地方からの脱出の困難さが大きな壁になっている。中国国外に脱出する方法がなく、中国の公安から身を隠しながら何年も中国東北地方にとどまっている人も多い。脱出方法では東北地方から近いモンゴル経由が中国当局の監視強化のためにつかえなくなり、南部からベトナム、カンボジア経由を選択せざるをえなく、野口氏もそのルートで一回目は成功し、二回目で拘束されたのだ。野口氏のNGOが救援する脱北者は日本から北朝鮮に帰国した元在日朝鮮人やその家族である。日本に支援してくれる親戚がいる人も、全く支援してくれる親戚を持たない人もいる。ベトナム、カンボジアルートを使う時に、韓国の脱北者救援組織の協力をえなければならなかったが、韓国の担当者は、韓国ではなく、日本に帰国したいという脱北者の希望に難色を示した。なんとか協力を取り付け、そのルートを開拓したのだ。電話、特に携帯電話が大活躍する。脱北者が日本の親戚と電話で話し、資金援助を頼んだり、東京のNGO本部と中国やベトナムで連絡を取り合っている。

第二部の看守所の生活は不謹慎だが、実に面白い。いろいろな人が未決囚として拘留されている。野口氏は簡単な中国語以外は話せないので、筆談で会話する。中国人の未決囚も退屈しているので、会話が弾む。収賄容疑で捕まっている共産党の幹部や市の幹部は、野口氏に彼らに連絡していたらうまくベトナムに逃がしてやったと言ってくれる。今度は連絡してくれと連絡先を交換する。金や地位によって看守所の中の待遇も全く違ったものになる。寝る時以外獄舎に戻ってこないで、看守たちと一緒に食事をとったり自由にしている幹部もいる。中には自分の家に帰っている幹部までいる。未決囚の中でお金のある人が食事代を出してお金を出せない人にも一緒に分け隔てなく食事をする。お金をだせない人は皿洗いなどをする。食事の場面では日本人にはとても受け付けないものもある。中庭で飼っていた子犬が大きくなったと言って屠殺して一日中食べる。著者は美味しいと感想を述べている。日本に帰国する空港に行く途中で、蛇屋によって蛇粥を注文し著者に公安職員が食べさせてくれる場面もぎょっとしてしまう。広州の空港では高級な広東料理を公安職員たちと一緒にご馳走になる。警官と国外退去処分になる囚人が一緒に食事するなど日本では考えられない。

地元の有力者にコネがきく南寧の弁護士が4千元(約5万6千円)で野口氏の釈放を請け負うとNGOに言ってきていたのだが、NGOは半信半疑でこの申し出を断ってしまった。

人治の国、中国。恐ろしいが面白い国だし、人々だ。


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欧米・アジア・日本のドラマ備忘録31 (2023年7月)

2023-08-02 15:43:21 | 映画

ワン・ザ・ウーマンの画像one the woman

①インターンは元上司         面白さ(5点満点):☆☆☆☆   

制作年・国:2020年 韓国       主演:パク・ヘジン

コメント:新入社員で入った会社で上司に苛め抜かれ、退職した青年が新しい会社で成功した。そこに元上司が再就職でインターンとして入って来る。立場が逆転した二人は・・・・  会社での苦労が良くわかるドラマだ。

②one the woman                                         面白さ(5点満点):☆☆☆☆    

制作年・国:2021年 韓国       主演:イ・ハニ イ・ユンサン

コメント:財閥の嫁とそっくりな不良検事が、間違って命を狙われ嫁として財閥一家に引き取られる。財閥一家には自分が偽物であることを隠しているが、あまりに破天荒なので、実はみんながわかるようになってしまう。本物の嫁を探し、自分の過去の因縁も解いていく。イ・ハニがうまい。

③私のIDはカンナム美人     面白さ(5点満点):☆☆☆☆

制作年・国:2018年 韓国     主演:チャ・ウヌ イム・スヒャン

コメント:容貌に劣等感を持ち、幼いころからのいじめの原因だと思い込んでいた女の子が、大学入学をきっかけに整形手術を受けて全く別人の顔になる。過去と決別したつもりだったが、中学の同級生が同じ学科に入学してくる。整形手術を受けても自分が不細工だという気持ちからは解放されない。競争社会でなんでも点数をつけ上下関係を決めていくなかで、女の子は容貌の偏差値に縛られる苦しみがよくわかるドラマ。カンナム美人は整形美人の隠語。主人公の女の子より、男の子が整形しているのではないかと思うほど、イケメンだった。脇役も上手で面白かった。

④女神降臨            面白さ(5点満点):☆☆☆

制作年・国:2020年 韓国     主演:チャ・ウヌ ムン・ガヨン

コメント:「私のIDはカンナム美人」の姉妹編のようなドラマ。主役はチャ・ウヌで同じだが、女優がムン・ガヨンに代わった。整形ではなく、化粧で美人に変身する話になっている。高校2年生で漫画喫茶でホラー漫画が好きな男女高校生。家族や友達も多くにぎやか。「私のIDはカンナム美人」で主人公の友達で味方だったパク・ユナが演じる高校生が片思いから裏切り者になる展開。ドタバタの喜劇が強調されている。

⑤新米史官ク・ヘリョン      面白さ(5点満点):☆☆☆

制作年・国:2019年 韓国     主演:シン・セギョン  チャ・ウヌ

コメント:朝鮮王朝時代の設定。女性の史官が別試(科挙の一種)で採用される。男勝りのしっかり者。史官の仕事は王様や王族の言動を記録に残すこと。一方、こっそり恋愛小説を書いてベストセラー作家になっている大君と絡む。二人の恋は女性主導になっている。時代を反映しているのかも。


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