山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

花咲く北岳 平成23年7月16-18日(3日目)

2011年08月04日 | 南アルプス
 7月海の日の三連休2日目、北岳肩の小屋は今までに無い混雑だった。何度も利用している肩の小屋だが、1階までほぼ満室となり、食堂を寝床として開放したのを見たのは初めてだった。しかし、半分折りの毛布に1人ずつ寝られるだけのスペースは確保できた。決してきれいとは言えない肩の小屋だが、この小汚さが山に来ているという感覚を湧かせてくれ、私は好んでこの小屋を使っている。

 7月18日(3日目)
 早朝3時に起床して準備を始める。日の出は4時40分ごろで、それまでに山頂に到着するには3時半前に出発しなくてはならない。この日に夜明けの山頂を目指したのは8人中5人。2人は夜が明けてから山頂を目指し、1人は前日山頂を踏んだので小屋で待機となる。3時20分ごろヘッドライト点灯して小屋を出発し、順調に登って1時間ほどで山頂到着となった。
私は標高点のある南峰には行かず、北峰の上で1人三脚を構える。薄明の青い空には若干間に合わなかったが、台風接近のためかこの日の空は面白い雲が流れ、空は赤く焼け始めていた。北岳北峰から見る南峰の上には人がたくさん集まっていて日の出を待っているのが見える。その左側に富士山、右下側に間ノ岳から農鳥岳に続く3,000mの山並が連なる。甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳も良く見え、撮影場所としては南峰よりもこちらのほうが優れている(と思う)。

    北岳山頂と朝焼けの空


    朝焼けの甲斐駒ケ岳


    朝焼け雲流れる仙丈ケ岳

 日の出が近付くにつれて空はますます真っ赤に焼けてくる。眼下の雲海と朝焼けの空、流れ行く雲、めったに見られない素晴らしい景色が360度の眺望で広がる。何度も山の上で朝を迎えているが、これほどの朝はほんの数回しか記憶に無い。今回のメンバーはきっと山の神様に愛されているのだろう。

    朝焼けの空


    燃える朝焼け空に昇る朝日


    影北岳

 赤く焼けた空の下、やがて奥秩父山塊から朝日が昇る。空を真っ赤に染めて昇る朝日にしばし酔い痴れる。後に肩の小屋の小屋主、森本さんに話を聞いたが、今シーズン最高の朝だと言っていた。ふと後側を見れば大きな影北岳が出ていた。南峰に移動し、この影北岳を入れながら山梨百名山標柱のところで記念撮影する。朝日を浴びて皆の顔も赤く焼けた。

    北岳山頂で影北岳とともに記念撮影

 ここで2人は寒さと寝不足のためリタイアして肩の小屋に戻り、私を含めて残り3人は南東側斜面(トラバース道付近)のお花畑を見るため北岳山荘側に行く。北岳はこの先のお花畑が凄い。斜面一面に広がるハクサンイチゲを中心としたお花畑を前景に間ノ岳や仙丈ケ岳を入れて撮影するポイントがゴロゴロしている。今年はミヤマオダマキが例年に無くたくさん咲いていた。キンロバイは雪崩で木が傷んだのか(キンロバイは草ではなく低木)茶色い木の上部が露出して花がついていなかった。他にイワベンケイやハハコヨモギ、ミヤマシオガマ、チシマアマナなどの花が咲き、ウラジロキンバイという花も見つけた。ただ、絶滅危惧種キタダケキンポウゲはかなり注意して山頂付近のお花畑を探したつもりだったが、発見できなかった。

    ハクサンイチゲのお花畑と間ノ岳


    ミヤマオダマキ咲くお花畑


    イワベンケイ


    ミヤマオダマキ


    ハハコヨモギ


    山頂付近のお花畑と中央アルプス


    北岳山頂から見る北峰と甲斐駒ケ岳  朝は向こうのピークから撮影。私しかいませんでした。

 8時半、肩の小屋に戻る。荷物を詰めなおし、着替えをして最後に肩の小屋前で小屋主さんとともに記念撮影をして下山となる。毎年のように訪れているためか、顔と名前を覚えていただいたようだ。9時半下山開始、予定では3時のバスかタクシーに乗るはずだったがピッチが上がらず、4時ごろのジャンボタクシーに乗って芦安に戻った。芦安町営の山渓園という温泉に立ち寄り、3日間の汗を流して甲府に戻った。

    小屋主の森本さんとともに記念撮影

 初心者を連れての北岳だったが、全員無事に山頂に登り、下山できたことが何よりだった。若干雨に降られはしたが、花も景色も最高の条件に恵まれた素晴らしい山行だった。後に甲府駅前のTime Gangという飲食店で反省会をやったが、メンバー一同大満足だった。みんな楽勝で登ったと思っていたのだがそうでもなかったようで、疲れるには疲れたようだ。次の山をどこにするか、また検討したいと思う。

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
朝焼け 最高ですね (相模のtake)
2011-08-05 00:04:02
日の出直前の朝焼けは見事ですね
空一面に広がる雲が染まる光景は言葉になりません!

皆さんの笑顔もいいですね
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へろへろ (食うかい)
2011-08-09 05:17:56
昨日は、ありがとうございます。
・・・と自分が言うのもおかしいですが
アドバイスをくださり、大変役立ちました。

自分は、情けないくらいにへろへろで退却して来ましたが
彼は、今頃甲斐駒山頂目指していることでしょう。
天気は、こちらの北岳のように
スカッと行きませんでしたが、まあ降られなかったのでOKです。

いつかご一緒できる日を楽しみにしています。
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へろへろ2 (のぞむ)
2011-08-10 10:53:21
今回もほんとに御世話になり、ありがとうございました。仙丈も甲斐駒もアドバイスがとても役立ち、ヘロヘロになりつつも楽しい山行になりました。

次回北岳に行く際には誘って下さいね。
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食うかいさんへ (ヨッシー)
2011-08-18 14:13:43
 あの日、甲府は午後3時ごろから雲行きが相当怪しかったので心配してました。降られなくて良かったですね。仙丈ヶ岳日帰り、かつバス時間に間に合うように帰ってくるのは相当大変だったと思います。私には無理!
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のぞむ君へ (ヨッシー)
2011-08-18 14:23:36
 ご苦労さまでした。2日目は夕方甲府では雷でした。早く下山していて良かったですね。今年もう一度北岳に行くかどうか月と星の位置を見ながら検討中ですが、たぶん普通の山小屋泊りはしないで、夜行虫になると思います。
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あらためてこちらへ (のぞむ)
2015-08-21 07:21:18
南峰から富士と北峰のアングルはどこかで見たことがあると思っていましたが、やはりこちらでした。
私が泊まった日も、ヘッデンを点けて登った方が大勢いて、小屋からその灯りが見えていました。
今回出来なかったことは色々あるものの、初めての北岳は天気に恵まれ、十分楽しめました。
色々とアドバイスを頂きありがとうございました。
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のぞむ先生へ (ヨッシー)
2015-08-22 01:03:28
 レポ拝見しました.天候に恵まれ,雲海の上に出た富士山は素晴らしかったですね.南峰から見る北岳山頂と富士山の景色は写真を撮る人にとってはたまらないアングルです.日本第2の高峰,存分にお楽しみいただけたことと思います.

 そういえば,私が薄暗い中で写真を撮っていたら間違えて登って来た人が数人いましたね.
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